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「政府が原発推進にこだわる理由『核兵器をつくるための技術的な能力というものを
保持し続けたいというのが一番の動機なのです』-第156回小出裕章ジャーナル」
(ラジオフォーラム 2016/1/2)
http://www.rafjp.org/koidejournal/no156/
湯浅誠:
今日は、『原発と戦争』というテーマでお話を伺います。小出さんは、去年の9月、毎日新聞出版から『原発と戦争を推し進める愚かな国、日本』という本を出 されました。その本にも書かれてますが、日本政府が原発推進にこんなにもこだわる、そして止めない、その理由は何だと思われてますか?
小出さん:
はい。リスナーの皆さんは、この日本という国は平和国家で戦争なんかしないと思っていらっしゃったかもしれませんが、それは今、安倍政権の下で次々と壊さ れて、海外に派兵をするというようなところまできてしまっています。そして、まさか核兵器なんか持たないだろうと、日本の多くの方が思ってきたはずだと思 うのですが、実はそれが初めから間違えなのです。
日本国政府は、国会でこれまでも何度も何度も答弁していますけれども、自衛のための戦力は憲法が認めていると、その範囲であるなら、核兵器であろうと通常兵器であろうと、それを持つことは憲法は禁じていないというのが、日本政府の一貫した公式見解だったのです。
つまり核兵器は日本という国で持てると、それが日本国政府の見解だった、そして多くの日本人の人達は、日本は原子力平和利用であって、平和利用三原則もあるので核兵器などつくらないだろうと、そのようにたぶん思ってきたと思うのですが、それもまた実は違っていたのです。
日本というこの国は、もともと原子力というものを発電の道具として考えていたのではなくて、平和利用と言いながら、原子力発電をやることで原爆材料 であるプルトニウムを手にしたいという、そういう目的のために今日までずっと原子力をやってきたのです。もうすでに、原子力発電というのが膨大な危険を抱 えているということは、福島第一原子力発電所の事故で分かっているわけですし、原子力が経済的にもペイしないということももちろんわかっていて、電力自由 化という今の時代に電力会社自身が国が何か援助してくれなければ、もう原子力ができないというようなことを言っているわけです。
それでもなおかつ、進めると日本国政府は言ってるわけで、なぜなのかと言えば、それは原爆材料であるプルトニウムをずっと保持していたい、そして核兵器をつくるための技術的な能力というものを保持し続けたいというのが一番の動機なのです。
湯浅:
その政府をずっと担ってきた歴代の自民党政権の中でも、特に安倍政権の原子力政策というものについては、何か特徴がありますかね。
小出さん:
はい。安倍さんのやろうとしているそのことは、彼は経済最優先というわけですけれども、私から見ると、日本というこの国は米国の属国のような国だと思っていまして、米国の属国として、経済最優先で金儲けをするという、それがたぶん安倍さんの根本的な政策なのだと思います。
そうすると、米国が推し進めてきた原子力というもそれをまた金儲けの道具として、米国と一緒に推し進めるということにもなるわけですし、先程も聞い て頂きましたように、原子力というのはもともと核兵器をつくるたための能力を保持したいというものだったわけで、安倍さんとしては、もちろんそれは失って はならない、これからどんどん米国と一緒に戦争に出て行くという時には、日本も核兵器を持てる能力があるんだぞということを外国にも見せつけておかなければいけないということをこれからもどんどん進めていくんだろうと思います。
湯浅:
原発と戦争に関して言えばですね、日本は1950年代後半からですか。原子力の平和利用という言葉を信じてきたわけです。この歴史について、小出さんが今一番伝えたいと思われることは何でしょうか?
小出さん:
はい。歴史というのは大きな流れで流れていまして、危ないなと気が付いた時には、もう一人ひとりの力ではもうどうにも流れを変えることができないという状 態になってしまっていました。それは、もう先の戦争の時だけじゃなくて、長い歴史を見れば、ほとんどの時代で一人ひとりが気がついた時にはもう流れを押し とどめることができないということは多々あったわけです。
私は現在、安倍さんのやっていることを見ると、本当に危ない方向に日本というこの国が流されていると思いますし、何か抵抗しようと思い立った時には、もう手遅れになってしまっているという危険性があると思います。今、この時にそれぞれの人が戦争を防ぐために何ができるかということを考えながら、やはり声をあげる、黙っていてはいけないということが大切なんだろうと、私は思います。
湯浅:
そして現実には、まだ福島の原発事故は何も変わってないですよね。
小出さん:
はい。残念ながら変わっていません。溶け落ちた炉心がどこにあるかすら、未だにわからない。5年経った未だに、福島の人達、被害者の苦難というのは解消されていないわけです。リスナーの方も、未だにちゃんと気がついていないのではないかと私は思うのですが、2011年3月11日に日本というこの国は、原子力緊急事態宣言というものが発令されて法律が停止されているのです。
普通の人々は、1年間に1ミリシーベルト以上被ばくをしてはいけないというような法律もありました。しかしそんな法律はもう全く適用することができないということで、原子力緊急事態宣言が発令されて、実はその緊急事態宣言は未だに解除されていないのです。
今現在、日本というこの国は、原子力緊急事態宣言下にあるという非常に特殊な国になってしまっているわけで、それを5年経った今も乗り越えることすらができないという困難な状況にあるのです。
湯浅:
パリのあのテロで非常事態宣言下にあるという話が出てましたが、私達も緊急事態宣言下にあるっていうことですよね? 忘れちゃいけないですね。小出さん、ありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
------(引用ここまで)---------
原子力事業というのは暴力団のフロント企業のようなもので、表向きは合法な事業ですが、
裏でやっている本業は、核兵器用プルトニウムやウランの生成、濃縮なのです。
国を守るつもりで原発という看板を掲げて核兵器材料製造工場を稼働してきたものの、
それが大爆発し、広大な地域が原爆を何百発も落とされたに等しい汚染を被ってしまった。
これ以上愚かなことはないでしょう。
世界で唯一の被ばく国として核兵器の廃絶を訴えるべき立場なのに、実は国民に隠れて
こそこそ核兵器を製造していた。
これが広島・長崎の数え切れないほど多くの犠牲者を愚弄する行為でなくて何でしょうか。
福島の事故はその天罰です。
日本は、これから何百年にも渡って、放射能被ばくに苦しめられるでしょう。
(関連情報)
「小出裕章ジャーナル」 (ラジオフォーラム)
http://www.rafjp.org/koidejournal/
「槌田敦氏 『4号機原子炉で天然ウランに中性子を照射し、軍用プルトニウム239の生成実験をしていた』」
(拙稿 2016/1/29)
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/752.html
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