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玄海原発の廃炉28年の根拠
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2015.12.22 きっこのブログ
運転開始から40年が経過したため、現時点で廃炉が正式に決定してる原発は、九州電力の玄海原発1号機、関西電力の美浜原発1号機と2号機、日本原電の敦賀原発1号機、中国電力の島根原発1号機の計5基だけど、日本では今までに1基も廃炉作業を行なったことがないので、ハッキリ言っちゃえば「どうやればいいのか分からない」ってワケで、まずはそれぞれの電力会社が「廃炉計画書」の作成に入った。で、今日12月22日、全国で初めて、九州電力が玄海原発1号機の「廃炉計画書」を原子力規制委員会に提出した。
この計画書によると、玄海原発1号機は来年2016年に廃炉作業を始めて、終了予定は2043年、28年後だそうだ。工程は4段階になっていて、まずは6年かけて汚染されていない部分を解体しつつ、原子炉の配管などの除染を進め、使用済み核燃料を取り出し‥‥と調子よく書いてあるけど、ホントにそんなにトントン拍子に進むのだろうか?
この玄海原発1号機の「廃炉計画書」が全国初なんだから、もしも原子力規制委員会がこの計画書を認可すれば、他の廃炉が決まっている原発も似たり寄ったりの計画書を提出するだろう。だけど、日本の電力会社にとって原発の廃炉作業は未知の分野だ。この「28年」という期間の設定には何の根拠もない。そして、実際に取りかかってみたらぜんぜん計画通りに作業が進まず、28年後になっても半分も作業が進んでなかったとしても、電力会社も原子力規制委員会も政府も、誰も責任など取らないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、日本では未知の分野の「原発の廃炉作業」だけど、今、実際に作業をしているイギリスのトロースフィニッド発電所を「毎日新聞」が2年前に取材した記事を読んだ。その記事によると、廃炉は「想像以上に時間とコストのかかる作業」だということが分かる。「毎日新聞」の記事のログが時間経過のため消されてしまっていてリンクを貼ることができないので、以下、要点だけを紹介させてもらう。
「毎日新聞」(2013年8月19日付)
「世界で最も廃炉作業が進む原子力発電所の一つ、英ウェールズ地方のトロースフィニッド発電所(出力23.5万キロワット、炭酸ガス冷却炉、2基)の作業現場に入った。1993年の作業開始から20年。責任者は「既に99%の放射性物質を除去した」と説明するが、施設を完全に解体し終えるまでになお70年の歳月を要する。「想像以上に時間とコストのかかる作業」(作業責任者)を目の当たりにし、日本が今後、直面する道の険しさを思い知らされた。」
「65年に運転を開始し、91年に停止した。原子炉の使用済み核燃料(燃料棒)は95年に取り出されたが、圧力容器周辺や中間貯蔵施設内の低レベル放射性物質の放射線量は依然高い。このため2026年にいったん作業を中断し、放射線量が下がるのを待って73年に廃棄物の最終処分など廃炉作業の最終段階に着手する。」
「原子炉建屋に隣接する放射性汚染水浄化装置(長さ33メートル、幅5メートル、高さ6メートル)では除染作業が行われていた。燃料棒冷却や除染作業で発生した汚染水はすでに抜かれている。別室から遠隔操作する工作機(重量5トン)3機が装置内部の汚染された壁をゆっくりと削り取っていく。」
‥‥そんなワケで、イギリスの人たちのために、26年間、せっせと電力を作り出してきたトロースフィニッド発電所だけど、これを廃炉にするためには90年もかかると言う。トロースフィニッド発電所の廃炉作業の責任者は「初期に建設された原発は将来の廃炉を想定して設計されていない。初めて経験することが多く、手探りの作業だ」とコメントしている。廃炉が決まっている日本の5基の原発は、運転開始が1970年代なのだから、1965年に運転開始したトロースフィニッド発電所とほとんど変わらない。それなのに、日本の原発はホントに28年で廃炉にできるのだろうか?
いったい何を根拠に28年などと言っているのだろうか?もしかして、原子炉の見た目が「鉄人28号」に似てるから、とりあえずテキトーに28年と言ってみただけなのか?‥‥なんてのも織り込みつつ、今回の玄海原発の「廃炉計画書」よりも無責任で根拠がないのが、東京電力の福島第1原発の「廃炉計画書」だ。事故から5年が経過しても汚染水がダダ漏れで、原子炉には近づくこともできない状態なのに、どうすれば「廃炉完了までに30〜40年」などと書けるのか?
日本政府と東京電力による福島第1原発の「廃炉計画書」には「廃炉完了までに30〜40年、総費用は約2兆円」と書かれているけど、原子力専門家のアーニー・ガンダーセン氏は「最低でも100年、総費用は5000億ドル(約60兆円)」と見積もっている。
チェルノブイリ原発の場合は、メルトダウンした核燃料のコアが原子炉の最下部で「ゾウの足」と呼ばれている形状に留まった。約30年が経過した現在でも、近づいた人はわずか8分で死んでしまうほどの放射線が生じているけど、それでも近づかなければ問題ないし、汚染は広がらない。でも、福島第1原発の場合は、メルトダウンした核燃料のコアが地下水系に接触している上に、未だに発熱している。完全な停止状態に至っていない。
ガンダーセン氏によると、地下水系の止め方について既に確立された方法を専門家が日本政府に伝えたが、日本政府はそれを無視して「凍結遮断壁」という無駄な方法を選んだと言う。現在の方法は、バスタブから溢れる水を別のバスタブに移しているだけで、根本的な解決には至らないと言う。そして、毎日300〜400トンも生じている汚染水は、今後、数十年は止まらないとも言う。そして、こうも言った。
「ウクライナ政府はチェルノブイリ原発の廃炉までに最低でも100年かかると言っているのに、その100倍も困難な福島第1原発の廃炉を日本政府は30年だと言っている。日本人はまず、福島第1原発の廃炉を僅か30年で終えることなど絶対に不可能であり、最低でも100年以上かかると自覚すべきだ」
チェルノブイリ原発は1号機が1978年に運転開始したけど、8年後の1986年に4号機が事故を起こして停止した。つまり、チェルノブイリ原発が発電していたのはたった8年間だけで、その処理のために100年以上もかかるのだ。事故を起こしていないイギリスのトロースフィニッド原発にしても、発電していたのは26年で、これを廃炉にするためには90年もかかると言う。発電期間よりも廃炉期間のほうが長いということは、すべての原発が事故を起こさずに運転していたとしても、1つの原発を廃炉にするためには代わりの原発を新設しなきゃならないのだから、そのうちに世の中は「廃炉作業中の原発」だらけになってしまう。
‥‥そんなワケで、日本の場合は運転期間が「40年」と決められてるので、電力会社は「廃炉に40年以上かかる」なんて口が裂けても言えやしない。絶対に「40年以下」にしなきゃならない。そこで玄海原発の「廃炉計画書」には「28年」と書かれたのだ。この何の根拠もない数字は、「今さえ良ければいい」「自分たちさえ良ければいい」という人たちが、自分たちのツケを未来の人たちに負わせるために、こうした結果論から捏造したデタラメな数字じゃないのか?サスガは、できもしない、本気でやる気もないことを次々と宣言しちゃう安倍晋三首相が「重要なベースロード電源」だと言ってハバカラない原発だと思った今日この頃なのだ。
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