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産経から
http://www.sankei.com/premium/news/150918/prm1509180003-n1.html
日本の原子力政策の中核となる「核燃料サイクル」が重要な岐路にさしかかっている。国はこのほど、国の監督を強め、事業を堅持していく方針を打ち出したが、朝日新聞など“反原発派”は「幕引きを図れ」と執拗に断念を迫っている。反原発派は、核燃サイクルで回収されたプルトニウムを「核兵器に転用可能」と不安をあおるほか、「膨大なコストがかかりすぎて、直接処分した方がいい」という。こうした主張は正しいのか、こと細かく検証してみた。(原子力取材班)
「白紙に戻せ」「なぜこだわり続けるの」
反原発新聞が、どれだけ核燃サイクルを嫌っているか、最近の社説を拾ってみよう。
毎日新聞は8月30日付朝刊で「幕引きこそ知恵絞れ」という見出しで、核燃サイクルは「技術や安全性、コスト面で大きな問題を抱えている」との社説を掲載した。「政府が力を入れるべきは、サイクルの延命策ではなく、幕引きのための対応策である」と主張する。
その上で、「再処理で生じるプルトニウムには、核不拡散の観点からも大きな問題がある。消費できるあてのないまま軍事利用が可能なプルトニウムを生産すれば、国際社会から疑念を持たれることにもなる」とその理由を挙げる。
朝日新聞も7月27日付社説で、「計画は白紙に戻すべきだ」との見出しを掲げ、毎日と全く同じ根拠で「技術、費用、安全性、外交のどの観点から見ても合理的とはいえない」と断じた。
プルトニウムの保有については、「海外から疑念さえ招いている」として、「唯一の被爆国であり平和国家を任じる日本にとって、外交上マイナスだ」と強調。再処理ではなく、「使用済み燃料を直接、地中に埋めて処分するほうが安上がりだとの試算もある」とした。
東京新聞は9月7日付朝刊で、「なぜこだわり続けるの」との見出しで、「経済的にも技術的にも、とうに破綻しているのではないか」と主張した。
「国の監督」明確に
なぜ最近になって、反原発新聞がこうした社説を出したのか。
それは、政府が核燃サイクルの堅持をはっきりと示すようになったからだろう。
経済産業省は7月から核燃サイクルのあり方を議論する専門家の会合を開いており、8月31日に今後の方向性をまとめた。その中で、使用済み燃料の再処理事業を継続するため、監督権限が強い「認可法人」を新設する案を示したのだ。
これは、再処理工場を運営する日本原燃(青森県六ケ所村)に対し、認可法人から事業を委託する形をとる。国の関与を強めることで、事業者が再処理事業から撤退できなくするのだ。
原燃は現在、電力会社の出資で運営しているため、「民間活力が阻害される」との意見も根強い。しかし一方で、原燃は事業者からの拠出金が頼りで、来年4月に電力小売りが全面自由化されると、支えてくれていた事業者が経営の悪化で、サイクル事業から撤退しかねない恐れがある。
このため、国の監督を強化した認可法人が核燃サイクルの維持を掲げ、事業者に対し、その費用を法人へ拠出するよう義務付けることも、法律上、可能になるのだ。
12・6兆円の巨大事業
ここで核燃サイクルとは何かをおさらいしておく。
六ケ所村には、原発の使用済み燃料を再処理する工場やその他施設が集まっている。燃料から取り出したプルトニウムや燃え残りのウランを混合酸化物(MOX)燃料に加工し、再利用する施設だ。
高速増殖炉でMOX燃料を使い、消費した以上のプルトニウムを増産するという「夢の計画」もあった。
ただ核燃サイクルはこれまでまともに動いたことがない。
再処理工場は当初、平成9年に完成予定だったが、22回も延期されている。建設費用も当初の7600億円から3倍に膨れ上がった。原燃の計画では年間最大800トンの使用済み燃料を処理し、40年間操業する予定で、総事業費は12・6兆円もの巨大事業となる。
というのも、再処理の過程で出る高レベル放射性廃棄物を、安定性の高い「ガラス固化体」にする工程が難航したからだ。
しかし、原燃によると、平成24〜25年の性能確認や安定運転の中で、技術は確立したという。自信を得た原燃は26年1月に、原子力規制委員会に審査を申請、早期の稼働を目指している。
プルトニウムの大量保有が周辺諸国の脅威に?
では、ここから反原発派の言い分を検証していこう。
まず大きな問題として指摘されているのは、核燃サイクルで生み出されるプルトニウムだ。核兵器の材料となるプルトニウムを大量に保有しているのが、周辺諸国の懸念となっているのは本当だろうか。
まず、再処理の過程で「プルトニウムが発生する」という表現は間違いで、原発で生み出されたプルトニウムを再処理で「回収する」という表現が正しい。つまり、たとえ再処理をなくしたとしても、プルトニウムの問題は消えないのだ。
日本は現在、プルトニウムを国内外含めて47・1トン保有しており、そのうち核兵器に転換可能とされる核分裂性のプルトニウムは31・4トンとされる。1発6キロと換算すると、プルトニウム型爆弾が、5000発以上造れる計算になる。
取材班は再処理に携わる関係者に「核兵器に使うことは可能か」と直接聞いてみた。
関係者は「サイクルで回収されるプルトニウムは質が悪くて、純度の高いプルトニウムを用いる核兵器にはとても転用できない」と率直に語る。
関係者によると、六ケ所村にある再処理工場では、ウランとプルトニウムを必ず混合して回収している。プルトニウムを単独で回収できず、もともと核兵器に転用できない工程になっているという。
さらに“核の番人”である国際原子力機関(IAEA)の職員が常駐し、工程をカメラで見たり、抜き打ち検査したりしながら、監視しているという第三者の担保もある。
関係者からは“極秘”データも見せてもらった。
通常の軽水炉でプルトニウムを燃やす「プルサーマル」が動けば、1基当たり年間0・3トンのプルトニウムの消費が可能だという数字だ。
プルサーマルは福島第1原発事故前の計画では、16〜18基予定されており、フルMOXで年間1・1トンの消費が可能な大間原発(青森県)を含めると、年間約6・5トンのプルトニウムの消費ができる。
つまり、現在保管されているプルトニウムは5年以内に消費可能で、反原発派がいう懸念はすぐに、解消できるのではないか。
プルトニウムの資源価値
プルトニウムの利用は、代替可能なウラン資源の節約につながることも指摘しておく。
通常の原発の燃料となるウランの指標価格を公表している米UXコンサルティングによると、1990年代から2000年代初頭まで、1ポンド(454グラム)当たり10ドル前後で推移していたが、2007年に135ドルに暴騰。2011年70ドル、2014年30ドルと再び落ち着いているが、アジアを中心に各国が原発を増設していることを考えると、価格上昇の可能性は否定できない。
使用済み燃料に備蓄されているプルトニウムの燃料価値は、将来のための「備蓄燃料」として使える。
山名元原子力損害賠償・廃炉等支援機構副理事長によると、プルトニウムの膨大なエネルギー量を考えると、その資源価値は、「化石燃料の数百兆円分、あるいはそれ以上に匹敵すると見てよいのではないか」(『間違いだらけの原子力・再処理問題』)という。
「直接処分」という愚かな選択肢
反原発派は再処理を捨てて、「直接処分」を主張するが、その選択による悪影響の可能性はむしろ高い。
直接処分は、プルトニウムを含めて、使用済み燃料全体をそのまま処理せずに地層処分してしまうことだ。再処理であれ直接処分であれ、地中深くに埋める「地層処分」は変わらない。再処理に反対すれば、最終処分場の候補地を選ばなくてもいいのでは、という誤解があるが、そうではない。
再処理をすることで、燃料の最大の重量を占めるウランを取り出せるという利点がある。
資源エネルギー庁によると、直接処分に比べて、使用済み燃料の体積を4分の1ぐらいまで減らせる。大幅に処分物を軽減できれば、処分場の面積も小さくできるという利点がある。
エネ庁によると、再処理ではウランやプルトニウムが除かれるため、潜在的な有害度は、12分の1に低減するという。
最大の問題は今ある使用済み燃料をどうするかだ。
再処理を実際に止めるとなると、使用済み燃料を引き受けてきた青森県が発生元に持ち帰りを要求する。もともとそういう取り決めだからだ。
こうした問題点の解決策や対案も示さずに、「こうした課題をどう解決するかにこそ知恵を絞ってほしい」(毎日の社説)と主張をするのはあまりにも無責任ではないだろうか。
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