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[真相深層]美浜原発、存続の瀬戸際
40年超の運転、迫り来る審査期限 残り1年、規制委と関電が神経戦
関西電力の美浜原子力発電所(福井県)が存続の瀬戸際に立たされている。古くて出力も小さい1、2号機は廃炉が決まり、3号機も国の規制で定められた原則40年の「寿命」が迫る。1970年に大阪万博の会場に電気を送り、日本の原子力利用の歴史に一歩を刻んだ美浜原発は役目を終えてしまうのか。
美浜原発は日本で最も古い原発の一つ(福井県美浜町)
10月27日、原子力規制委員会の臨時会合は重苦しい雰囲気に包まれた。田中俊一委員長をはじめとする5人の委員に向き合うのは、八木誠社長ら関電経営陣。美浜3号機の運転延長の前提となる安全審査の進め方が最大の焦点だった。
「期限に間に合うか確信を全く持てない」。規制委の更田豊志委員が指摘したのが、審査が「時間切れ」になる事態だ。東京電力福島第1原発事故後の法改正で原発の運転期間は原則40年に制限された。規制委が認めれば最長60年まで延ばせるが、その是非を判断するための期間は限られている。
近く運転開始から39年になる美浜3号機の場合、延長認可の期限は2016年11月末だ。まだ1年ちょっとあるとはいえ、のんびりはできない。安全審査に加え設備の詳細な確認手続きを経る必要があり、一筋縄でいくものではないからだ。
全国43基で最も早く今年8月に再稼働した九州電力川内1号機(鹿児島県)でも、この作業に2年近くかかった。美浜3号機は設備の設計が古く、技術的な対応はさらに難しい。4月に始まった審査は停滞しており、八木社長の「全力を尽くす」という言葉には切迫感がにじむ。
「歴史刻んだ灯」
審査に遅れが生じた要因は地震対策を巡る対立にあった。「まったく理解できない」。9月15日の審査会合では更田委員が関電への不満をあらわにした。設備の耐震性をどう評価するか、方法論への見解が食い違い、議論は平行線をたどった。
8月までは、そもそもどの程度の地震を想定するかでもめていた。規制委が安全を考慮してより強い揺れに備えるよう迫り、関電がこれを受け入れる形で折り合ったが、施設の耐震性をいちから見直す必要が生じた。
原発は無数の機器で構成される巨大なシステム。耐震性の評価をやり直せば膨大な時間がかかる。メーカーの三菱重工業にしかできない作業もあり「遅れを取り戻すのは至難の業だ」(規制委の田中委員長)。
期限までに審査が終わらないと、廃炉が現実味を帯びる。関電の対応に不満を持つ規制委側も「時間切れは本意ではない」(事務局幹部)。「電力会社の経営には関知しない」のが基本姿勢だが、民間企業の重要な資産の廃止につながりかねず、責任は重い。
美浜原発は日本で最も古い原発の一つで、関電の象徴でもある。1号機は運転開始にあたり、大阪万博の会場に「原子の灯」をともして原発時代の到来を印象づけた。
地元との結びつきは深く、関電の原子力事業本部は美浜町にある。建設の理解が得にくい使用済み核燃料の貯蔵施設の受け入れにも、美浜町は前向きな姿勢を示してきた。ある幹部は美浜町を「足を向けては寝られない存在」と表現し「簡単に灯は消せない」と語る。
2号機に続き3号機も廃炉になれば、もはや美浜原発は「発電所」ではなくなる。雇用を含め地元経済への打撃は必至だ。国からの交付金も減る。関電の八木社長は「原発は地域と一緒に運営する基本的な考え方がある」として、運命共同体の関係を強調する。
「大飯急げ」の声
関電にとって悩ましいのは美浜3号機ばかりに集中できないことだ。15年3月期まで4期連続で最終赤字だっただけに、業績回復に向けてより規模が大きい大飯3、4号機(福井県)などの再稼働を急ぐべきだとの声が社内にはある。
出力の大きい原発が動けば発電コストは下がり、来春以降の電力小売り全面自由化による競争でも有利になる。関電としては「美浜も大飯も譲れない」(幹部)のが本音だ。審査官の人員が限られる規制委は10月27日の会合で「同時並行で審査はできない」と関電に取捨選択を迫ったが、八木社長は「優先順位は付けられない」と反論し続けた。
審査対応の人員を増やしあくまで正面突破をめざす関電。延長に向けた審査で「合格を出せるかどうかも約束できない」とくぎを刺す規制委。両者の神経戦は続く。
(鈴木大祐、生川暁)
[日経新聞11月20日朝刊P.2]
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