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高速増殖炉「もんじゅ」(「Wikipedia」より)
24年間運転せず年間2百億円を浪費…悪夢の原発・もんじゅ、安倍首相は「存続」の意思
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151117-00010007-bjournal-soci
Business Journal 11月17日(火)22時33分配信
先週末(11月13日)、ついに高速増殖炉「もんじゅ」に最後通牒が突きつけられた。原子力規制委員会の田中俊一委員長が馳浩文部科学大臣に勧告したもので、運営主体の交代か、廃炉を含む抜本的見直しかの二者択一を安倍政権に迫っている。
もんじゅは、使った分よりも燃料を増やせる「夢の原子炉」というのが売りの次世代原発だ。資源小国・日本の福音とされてきた。だが、完成から24年間、トラブル続きでほとんど運転していない。加えて、東京電力福島第一原発事故の発生で、2050年以降の商用化を目指す高速増殖炉の必要性や、国産技術の開発という大義名分がすっかり色褪せた。
原子力事業を所管する政府機関がもんじゅの廃炉を含む抜本見直しを提言するのは、今回が2度目だ。時を同じくして、河野太郎行政改革大臣が指揮する行政事業レビューも、もんじゅの多額の無駄を指摘した。今度こそ、民意と見識を汲み取るのが安倍政権の責務ではないだろうか。
この高速増殖炉の名称が「もんじゅ」に決まったのは、1970年のこと。知恵の象徴とされる文殊菩薩にちなんで命名したことが、これほど皮肉に聞こえる結果になるとは、誰も想像できなかっただろう。それほど現実は厳しかった。核燃料サイクルの中核技術として50年以上前から実用化を目指してきたものの、95年の発電開始からわずか4カ月でナトリウム漏れによる火災事故を起こしたうえ、事故隠しで世間を揺るがせた。運転再開に漕ぎ着けた2010年も、直後に機材の落下事故を起こして再び運転停止に陥った。
12年には、重要機器を含む約1万点の点検漏れが発覚。3段階で重要度の最も高い「1」の機器のうち15点を92年から点検していなかったり、「1」の機器を「3」に分類するミスが確認された。民間の電力会社から「1点でも点検漏れは大問題。我々の常識ではあり得ない」と失笑が漏れた。呆れ果てた原子力規制委員会は13年5月、運営主体の日本原子力研究開発機構に対して、運転準備の凍結を命じた。その後も日本原子力研究開発機構は、一向に信頼を回復できなかった。
一方で、もんじゅの総事業費はすでに1兆円に達し、維持費だけで年間200億円を費消している。大変なカネ食い虫なのだ。
政府は、05年に閣議決定した「原子力政策大綱」で、もんじゅの成果を踏まえて、高速増殖炉の「50年頃から商業ベースでの導入を目指す」としていた。しかし、12年末になると、原子力政策の司令塔だった旧原子力委員会が「今後の原子力研究開発の在り方について(見解)」をまとめ、「年限を区切った研究計画を策定・実行し、成果を確認の上、研究を終了すべきである」と、出口戦略づくりを求めた。福島第一原発事故を受けて、従来の政策を転換し、「(使用済み核燃料を含む)廃棄物の減容や(原発の)有害度の低減等を目指」すほうが社会的なニーズが大きいと判断したからだ。
●変わった優先度
そもそも、2050年以降とはいえ、世論が原発の新設を容認するかは、大きな疑問だ。相次いで原発先進国が高速増殖炉の開発を断念する中で、国産技術の開発にこだわる重要性が薄れたとの判断も働いた。
当時、委員長代理として原子力委員会見解のとりまとめを主導した鈴木達治郎氏(現長崎大学核兵器廃絶研究センター長兼教授)は、「福島原発事故以降、研究開発全体の優先順位が変わり、根本的な見直しが必要になった。福島の廃炉や廃棄物処分、将来の人材確保など、高速炉・核燃料サイクルより優先順位の高い課題は多い」と、研究者の布陣見直しの重要性を強調する。
今回、原子力規制委員会はさらに踏み込んで、日本原子力研究開発機構にレッドカードを出し、もんじゅの運営主体の交代を勧告した。機構は、ナトリウム漏洩事故を起こした「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」を改組した「核燃料サイクル開発機構」と、「日本原子力研究所」の2つが統合された機関である。現実問題として、日本には日本原子力研究開発機構に代わる運営主体など存在しないだろう。機構は日本で唯一の原子力に関する総合的研究開発機関だからだ。
また、もんじゅは研究施設であり、商用施設ではない。このため民間の電力会社が運営するのは難しい。もんじゅの最大出力は28万キロワットで、100万キロワット級が中心の商用炉に比べて小規模で採算がとりにくいことも影を落としている。
そんな八方塞がりを承知で、原子力規制委員会が文科省に与えた猶予は「概ね半年程度」と短い。その間に、機構に代わる運営主体を特定するか、「もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直す」ように迫っているのだ。規制委員会の田中委員長は馳文科大臣に勧告を手渡す際に、「そう簡単にできるものではないと思いますが」と申し添えたという。この発言を勘案すると、原子力規制委員会はもんじゅの廃炉が必要だと考えているのだろう。
●色褪せた国策
これに対して、安倍首相は11月11日の国会の閉会中審査で民主党議員の質問に対する答弁に立ち、「(もんじゅを)国際的な研究拠点と位置付けている。速やかに課題解決に対応すべきだ」と述べ、もんじゅの存続に強い意欲をみせた。半世紀前に決めた高速増殖炉開発という色褪せた国策を、引き続き金科玉条として守り続ける構えなのである。
しかし、原子力規制委員会は、政府が各地の商用原発の再稼働にお墨付きを与えるために新設した専門機関だ。12年の発足以来、新規制基準を設けて、各施設の安全性の確保を担ってきた。その原子力規制委員会が、機構にはもんじゅの運転準備さえ許さないとの決定を下しているのである。しかも、田中委員長は、前身の日本原子力研究所・副理事長を経て、日本原子力研究開発機構の特別顧問を務めた人物である。いわば身内がダメだしするほど、機構には問題が多いのだ。
政治家としては、もんじゅを廃炉にした場合、立地自治体の産業・雇用対策が頭の痛い問題なのかもしれない。が、それは別途、真摯に対応すべきテーマだ。経済対策や雇用対策のために安全でない実験用原発の運転を許すなど、あってはならない。
かつてはバラ色の夢だった原発が、悪夢の原発と化しつつある今、もんじゅにこれ以上拘泥するほどの愚策はない。
文=町田徹/経済ジャーナリスト
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