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規制委、もんじゅ見直し勧告 運営主体変更「期限は半年後」 見えぬ受け皿、廃炉も
原子力規制委員会は13日、安全管理の不備が相次いで見つかった高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)について、日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を探すよう馳浩文部科学相に勧告した。回答期限は半年後とした。所管する文科省は民間を含め移管先を検討するが、専門技能が必要などの理由で難航は必至。受け皿が見つからない場合、国策で開発してきたもんじゅの廃炉も現実味を帯びる。
「そう簡単にできるものではないと思いますが……」。13日午後、馳文科相に勧告の文書を手渡した規制委の田中俊一委員長はこう語りながら、もんじゅの運営主体の交代を迫った。不可能な場合は「もんじゅのあり方を抜本的に見直すこと」が必要だとし、事実上、廃炉を含む検討を求めた。
安全を監視する規制委が運営のあり方まで断じるのは極めて異例。馳文科相は「重く受け止める」と厳しい表情で語った。
規制委が2012年の発足以来、初となる勧告に踏み切ったのは、ここ数年、繰り返されてきた機器の点検漏れなどが安全の根幹にかかわると判断したため。「原子力機構はもんじゅを運転する主体として必要な資質を有していない」と見限った。
当初、勧告の「儀式」は事務方で済ませる予定だった。規制委側がトップ同士の面会を打診したのに対し、文科省の事務方が「大臣の都合がつかない」として拒否したという。この事実を知った馳文科相は「これ以上に重要な日程がどこにあるのか」と怒り、自ら勧告文書を受け取った。
危機感の欠如とも受け取れる文科省の姿勢は、もんじゅの見直しが険しい道のりになることを予感させる。
規制委は新たな運営主体の条件として「十分な知見がある」ことを挙げる。通常の原発(軽水炉)と、もんじゅが採用する高速増殖炉は構造が違う。技術に詳しい専門人材を抱える組織が簡単に見つかるとは考えにくい。
規制委は検討期間も半年に区切った。文科省に残された時間は少ない。
受け皿があったとしても、運転再開までのハードルは極めて高い。機器を管理する体制を整えた後、規制委の安全審査が控える。通常の原発でさえ審査には数年単位の期間がかかる。
運転の見通しが立たない中で存続させても、理解は得られない。もんじゅは停止中の現在も維持管理に年間200億円の国費を投じている。
約1兆円もの費用をかけて開発してきたもんじゅのあり方は、文科省にとどまらず政府としての説明責任が求められる。菅義偉官房長官は13日の記者会見で「(もんじゅが)国民から信頼を得る最後の機会」との認識を示し「関係府省あげて全力で取り組むべきだ」と述べた。
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核燃サイクル混迷の公算 原子力平和利用に世界から疑念も
もんじゅの運営が揺らいだことで日本の原子力政策の柱である「核燃料サイクル」は混迷しかねない。原子力発電所から取り出した使用済み核燃料を再び原発で燃やすサイクルの中核に位置するもんじゅが頓挫すれば、国際社会から日本の原子力の平和利用に疑念をもたれる可能性がある。
高速増殖炉のもんじゅは一般的な軽水炉と異なり、消費した燃料以上の燃料を生み出す特殊な原子炉だ。国の原子力政策大綱は高速増殖炉を「もんじゅなどの成果に基づき2050年ごろから商業ベースの導入をめざす」と位置づけていた。
政府は軽水炉で燃料の一部を再利用するプルサーマル方式と高速増殖炉を両輪にして、原発で生じたプルトニウムを燃料として利用することを目指した。
国内で貯蔵されている使用済み核燃料は約1万7000トン。日本全体の発電量の少なくとも1年半分を生み出す資源となり得る。
もんじゅの行方は外交問題にも発展しかねない。プルトニウムを利用するための有力手段を失えば、余剰プルトニウムの核兵器への転用を疑われかねないためだ。日本が保有するプルトニウムは約50トン。代わりの消費方法を見いだすのは容易ではない。ある政府関係者は「プルサーマルだけでは国際社会から疑念をもたれる」と話す。
日本は使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理ができる唯一の非核保有国だ。これを認める日米原子力協定が18年に期限を迎える。プルトニウムを使う計画が難航すると、米国から再処理する特権が認められなくなり、核燃料サイクルそのものが破綻する恐れがある。
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核燃料サイクルとは
▼核燃料サイクル 原子力発電所で使った核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、再利用する政策。資源の有効活用が目的で、日本は半世紀以上前から導入を目指してきた。特に効率の高い高速増殖炉は中核施設となるはずだったが、実現の見通しは立っていない。このため、現在は橋渡しの技術として通常の原発(軽水炉)で燃やす「プルサーマル方式」が主体となっている。
[日経新聞11月14日朝刊P.3]
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