http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/334.html
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日本火山学会の記事の一部です。川内原発がカルデラ噴火に直撃されることが言われていますので、その参考のために投稿します。
http://www.kazan.or.jp/doc/2014kokai.pdf より部分引用:
(3)カルデラ噴火予知の可能性
御嶽山の噴火ではっきりしたように,現在の噴火予知は完全なものではありません。ましてカルデラ噴火は我々人類が経験したことのない巨大噴火なので,予知などできるはずがないとの意見もあります。しかし本当にカルデラ噴火の予知は不可能なのでしょうか?私はそのようには考えていません。
噴火予知を可能にするには,まず過去に発生したカルデラ噴火の前兆的な地学現象を見つけ出し,どのような地変現象が,どのような時系列で進みカルデラ噴火に至ったのかを調べることです。たとえば姶良カルデラでは,カルデラ噴火直近の 3000 年間は,流紋岩質マグマの噴出が 1000 年に一度の割合へと急増しました。鬼界カルデラの 7300 年前のアカホヤ噴火の約 100 年前には,流紋岩質の長浜溶岩が噴出し,その数 100 年前には大規模な地すべり崩壊が発生しました。阿蘇カルデラでも Aso-4 噴火の約 100 年前に大峰火山ができ,高遊原溶岩が流れ出しました。
海外のカルデラでも類似事例が見つかっています。アメリカのクレーターレイクカルデラでは,カルデラ噴火の数 100 年以上も前から類似マグマの噴火が4 回発生しました(図 17)。なかでも最も新しい Cleetwood 溶岩はカルデラ噴火の直前に噴出しています。溶岩がまだ熱いうちに軽石が降り積もったため,溶岩直上の軽石堆積物は強く溶結し,白ではなく赤〜オレンジ色の硬い溶結岩体へと変化しています(図 18)。
図17 クレーターレイクのカルデラ噴火に先行して噴出した溶岩類(Bacon, 1983)
図18 Cleetwood溶岩を覆うカルデラ噴火初期の降下軽石堆積物(小林哲夫撮影)
フィリピンやインドネシアでも,カルデラ噴火の数 10 年〜100 年前に,流紋岩質マグマが溶岩として噴出した例が見つかっています。また流紋岩質マグマではなく,特異な安山岩質マグマが噴出した例が阿蘇カルデラで見つかりました。特異な安山岩とは,玄武岩とほぼ同じ温度・粘性をもった安山岩質溶岩です。そのような溶岩が,Aso-2 カルデラ噴火発生の数 100 年前から直前までの間に,何回か噴出しました。最後に噴出した秋田溶岩を覆う Aso-2 火砕流堆積物は,クレーターレイクの例と同じく,下位の溶岩との接触部付近が特に強く溶結した岩体となっています。
噴火だけでなく,大きな地震を伴った例もあります。ニュージーランド北島の中央にあるタウポ(Taupo)カルデラでは,カルデラ噴火の数 10〜100 年前に周辺の丘陵地で斜面崩壊が発生しています。鬼界カルデラで紹介した山体の地すべり崩壊もその例かもしれません。このように研究が進むにつれ,カルデラ噴火の前兆と考えられる地学現象が次々と発見されてきています。
マグマの蓄積が進んで溜めておける限界を超えると,噴火がおこるはずです。しかし粘り気のある流紋岩質マグマは,水のように地表に噴きだすわけではありません。まずマグマ溜りの外殻を破り上昇しなくてはなりません。当然ですが,大きな地震や地殻変動を伴うはずです。別の見方をすれば,大規模な地殻変動が発生するために,マグマの上昇が始まるのかもしれません。多くの前兆現象をみると,いきなり大規模噴火となってマグマが噴出するのではなく,まず流紋岩質マグマの一部が何とか噴出し,その後 100 年ほどの時間をかけて発泡したマグマが一気に噴火し,カルデラを形成する大噴火となっています。
また高温の安山岩質マグマが先に噴火する例では,カルデラ深部に存在していた安山岩質マグマが過剰に加熱されたために,浅所に存在する流紋岩質マグマに先行するように噴出したものと推定されます。この場合も地下深部から安山岩質マグマが放出されたため,流紋岩質マグマにかかる圧力が減少し,それがマグマの発泡を加速させ巨大噴火に至ったものと推定されます。
このようにカルデラ噴火を引き起こす要因には,長期にわたるものと短期的なものとがあるはずです。今の段階ではそれらをひもとき,直前予知に結び付けることはできていませんが,いずれはカルデラ噴火を引き起こす主要なきっかけは何なのかを知り,カルデラ噴火の予知ができるようになると考えています。
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