http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/331.html
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「昨年夏に公開された政府事故調による第1原発の吉田昌郎所長(当時)の聴取、いわゆる「吉田調書」の中でも、東日本大地震の直後から津波襲来までの約50分間に、機器に損傷がないことを確認した経緯が記載されている。
福島の事故は、想定を超える津波が非常用発電機などを水没させ、原子炉を冷やすことができず、重大事故を招いたのであって、主な原因が地震によるものではないことがすでに解明されている。
仮処分は、「著しい損害又は急迫の危険」(民事保全法第23条)があるときに行われ得る司法手続きである。決定文は「住民が(原発の)事故によって侵害される具体的な危険」があるとしているが、間違いや事実誤認だらけの決定文から、大地震や大津波で原発事故が起きるという「具体的な危険」について、科学的根拠を見いだすことは、私には到底できない・・・」
産経から
http://www.sankei.com/affairs/news/150612/afr1506120001-n1.html
高浜原発再稼働を差し止め(上) 樋口英明裁判長の異様な論理
決定文を読んだあと、例えようのない異様さを感じた。緻密な論理と精密な論拠を要求される裁判官が本当に書いたモノだろうかと。関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、福井地裁は4月14日、再稼働を認めない仮処分決定を下したが、この決定文には明らかな間違いが散見された。原発の基礎的知識すら欠いている記述も見受けられた。この判断のウラには何があるのか。(原子力取材班キャップ 天野健作)
審査を見たことがあるのだろうか
裁判長を務めた樋口英明判事は昨年5月、関電大飯原発(福井県おおい町)の運転差し止め判決を出した同じ福井地裁の訴訟でも、裁判長を務めていた人物だが、この判決は、原発の稼働について一切のゼロリスクを求めるという、科学技術の常識ではあり得ない面妖な論理を持ち出していた。
樋口判事は、原子力規制委員会の策定した原発の新規制基準を本当に理解しているのだろうか。動画投稿サイト「YouTube」などでも一部始終公開されている原発の審査を一度でも見たことがあるのだろうか。
高浜原発3、4号機をめぐる仮処分の決定文を読めば、反原発思想に凝り固まって、事実に目を背けているのではないかとさえ思える。裁判官であれ、いかなる思想を持つのも自由だが、事実に目を閉ざし、明らかな間違いを放置することは許されない。司法は裁判官の個人的な信条を実現する場ではない。裁判官の独善的論理がまかり通るようであれば、司法の信頼は確実に失墜する。
筆者は規制委の発足当初から2年半以上、規制委に密着取材を続け、原発の安全性を判断する新規制基準の作成過程や、現在進行中の原発の審査をつぶさに見てきた。その中で実感しているのは、イデオロギー論争にとらわれず、「科学技術の発達と、生命の危険あるいは環境の保護は、どのようなバランスで考えられるべきか。その関係性をどう捉えたらよいか」という壮大なテーマを考察する必要性である。
無論、私自身、いまだその明確な答えを持ち合わせていないが、樋口判事が関わった今回の決定文や大飯の判決文は、それ以前に、科学に対する基本的認識すら持ち合わせていないように思える。
既に設置済みなのに…
主文で「高浜発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない」と示した福井地裁の決定は、正式な裁判を経る前段階の仮処分命令である。仮処分としては、原発運転禁止を命じた全国で初めてのケースとなった。
決定はただちに法的効力を持つため、今後の司法手続きで取り消されない限り、高浜原発の2基は運転できなくなるため、国家のエネルギー政策、経済政策に重大な影響が及ぶ。
再稼働を認めない最大の理由の一つとして挙げられたのは、関西電力の「地震想定の甘さ」である。
関電は、原発の敷地内で想定される最大の揺れを意味する「基準地震動」を700ガル(加速度の単位)に設定した上で、設備や機器の耐震設計を構築し、重大事故に備えている。
しかし、決定文は、平成17年以降、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)など4つの原発で基準地震動を超える揺れが5回あったことを重視し、「基準地震動を超える地震が高浜原発に到来しないというのは楽観的見通しだ」と強調した。基準地震動を下回る地震であっても、「外部電源や主給水が断たれて冷却機能が確保できず、重大事故が生じ得る」と断じた。
その上で、原発が再稼働した場合、「(原発から半径)250キロ圏内の住民には事故によって人格権が侵害される具体的な危険がある」と判断し、高浜から遠く離れた大阪府高槻市や神戸市の住民にまで原告適格を認めた。
しかし、この決定文には、明らかな間違いがある。
第一に、決定文は「使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスにすべき」と提案していることである。プールが地震によって損壊する危険性を訴えたかったのだろうが、すでに原子力規制委員会は給水設備を耐震性で最も重要視されている「Sクラス」にしている。
第二に、高浜原発の両機には、重大事故が起きたときの前線基地としての機能を持つ設備「緊急時対策所」がすでに備えられているのに、決定文は、わざわざ「『免震重要棟』の設置が必要である」と、同様の設備の必要性を指摘したことだ。
第三に、地震で原発の外部電源が喪失した場合に備えて多重に講じられている対策のうち、より高い耐震性が求められるのは非常用電源装置であるにもかかわらず、これに関する言及が見当たらない。
「基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、主給水ポンプが破損し、炉心損傷に至る危険がある」「(主給水ポンプは)安全上重要な設備であるとして、その役割にふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる」などと指摘するが、「主給水ポンプ」は水を蒸気にしてタービンを回し発電するためにあるポンプで、重大事故対策とは直接関係がない。つまり、樋口裁判長らは原発の設備に期待されている役割や機能を全く理解していなかったのである。
「発言を曲解」引用学者も反論
ほかにも、全交流電源が喪失しても自前の設備で20日間ぐらいは給水を継続し、炉心損傷を避けられる機能があることも無視して、「全交流電源喪失から炉心損傷開始までの時間は5時間余」と断定するなど、事実誤認は所々にあるが、特に問題があるのは、原発敷地内で起こり得る地震想定の基準地震動に関わる誤認である。
決定文では、「基準地震動を平均像をもとに策定することに合理性を見いだせず、理論面で信頼性を失っている」と断じた。その根拠に、京都大学の入倉孝次郎名誉教授の発言を、活断層の状況から地震動の強さを推定する方式の提言として取り上げた。
入倉氏が過去の新聞記者の取材に「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない」「私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、平均からずれた地震はいくらでもある」と答えていることに着目したのである。
しかし、入倉氏は仮処分命令決定後、産経新聞などの取材に応じ、「発言を曲解された」「基準地震動は地震の平均像だけで計算しているわけではなく、原発が立地する地盤特有の影響や断層の動きの不確実性も考慮して策定される。明らかな事実誤認だ」と反論した。
入倉氏は判事の前で証言したこともなく、陳述書も提出していなかったが、原告の住民側が証拠提出した新聞記事をもとに、その発言が決定文に引用されたという。
そもそも地震だけで原発が重大事故を招くという認識自体が、必ずしも正しいとはいえない。決定文の中には、福島第1原発事故の主要因を地震破損説に依拠する記述が見られるが、この説はもはや有力ではないのを、樋口裁判長はご存じだったのだろうか。
福島の事故でも地震破損説はあったが、国会、政府、民間、東電、原子力学会がそれぞれ主体となった事故調査報告書の中で、地震破損説に触れたのは国会事故調査委員会のみだ。しかもその後、原子力規制委員会は9回の現地調査を実施し、コンピューターによる再現解析なども行った結果、国会事故調の地震破損説を科学的に否定している。
昨年夏に公開された政府事故調による第1原発の吉田昌郎所長(当時)の聴取、いわゆる「吉田調書」の中でも、東日本大地震の直後から津波襲来までの約50分間に、機器に損傷がないことを確認した経緯が記載されている。
福島の事故は、想定を超える津波が非常用発電機などを水没させ、原子炉を冷やすことができず、重大事故を招いたのであって、主な原因が地震によるものではないことがすでに解明されている。
仮処分は、「著しい損害又は急迫の危険」(民事保全法第23条)があるときに行われ得る司法手続きである。決定文は「住民が(原発の)事故によって侵害される具体的な危険」があるとしているが、間違いや事実誤認だらけの決定文から、大地震や大津波で原発事故が起きるという「具体的な危険」について、科学的根拠を見いだすことは、私には到底できない。
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