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燃料デブリ取り出し工法の現状「上の方から覗いて取り出すなんてことは到底できないのです」〜第147回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no147/
015年11月05日 ラジオフォーラム
20151031 R/F #147「小出裕章ジャーナル」【福島第1原発、燃料デブリ取り出し工法の現状】
西谷文和:
今日は「福島第一原発、燃料デブリ取り出し工法の現状」と題してお聞きしたいのですが、名古屋大学などが「素粒子、宇宙からの素粒子ですかね、を使って原子炉を透視した結果、2号機の核燃料の70〜100%が溶け落ちている可能性が高いことが分かった」というふうに報道されてます。1号機も全部溶け落ちていることが分かって、2号機もこの状態だったというこの現状なんですが、この現状について、小出先生どういうふうにお考えですか?
小出さん:
何をいまさら言ってるのかなと私は思います。1号機も2号機も3号機もほぼ100%溶けて落ちていると、私はもうずっと以前から言っていますし、たぶんそうだろうと思っています。
西谷:
政府や東京電力はまだこのデブリを取り出すというふうに言ってるんですが、これ本当にできるんでしょうか?
小出さん:
政府も東京電力もこれまで原子力に関する限り、ずっと甘い見通しでやってきたのです。もちろん事故そのものが起きないと彼らは言ってきたわけですし、残念ながらそんな彼らの甘い見通し通りにはいかないで、事故そのものも起きてしまいました。
その後も常に彼らは甘い見通し、甘い見通しでこれまでやってきたわけですが、事故の収束ということも、私はもう彼らが描いてる絵があまりにも甘すぎて、「そんなものは到底実行できない」というふうにずっと発言してきましたし、今もそう思っています。
西谷:
3つの工法があって、この取り出し工法を3つ考えてるということなんですが、この3つの工法の内容をもし、わかりやすく伝えて頂けるんなら教えて頂きたいのと、本当にできるのかということも。
小出さん:
はい。もともと国と東京電力は、溶け落ちた炉心を上の方から取り出すという工程表を書いていたのです。そのためには、格納容器という放射能を閉じ込めるために設計された容器全体を水浸しにしなければいけないのですけれども。
西谷:
でも、穴開いてますよね?
小出さん:
はい。格納容器そのものに穴が開いてしまっているわけです。どこに穴が空いてるか未だにわからないわけですし、何とかそれを突き止めたとしても、今度はそれを修理しなければいけないのです。
1ヶ所修理したと思っても、また他の所が破れていたとすれば、やはり水を貯めることはできませんので、またどこが破れてるかを探さなければいけない。そして、修理をしなければいけないということをたぶん延々とやらなければならないことになると思います。ようやくそれで修理したとしても、もともと格納容器というのは、水を満水にするなんていう設計になっていませんので、むしろそんなことをやれば、危険がまた生じてしまうだろうと思います。
その上ですけれども、やっとそれができたとしても、上の方から覗いて、溶け落ちた炉心がある格納容器の床というのは35メートルも40メートルも深い所で、そんな所から本当に物を取り出すことができるかということもものすごい大変なことなわけですし、私は実はもうそんな所にはないと、格納容器の広範な部分にもうバラまかれてしまっていますし、場合によっては格納容器の床、あるいは隔壁を突き破って外に出ているかもしれないと私は発言しているわけで、上の方から覗いて取り出すなんてことは到底できないのです。
だから、まあ彼らも様々な別の案を考えているというようなことを今、言い出していて、「横の方向から穴を開けて取り出す。あるいは、下の方向から穴を開けて取り出すというような方法も考えています」というようなことを言っているわけですけれども、ああだこうだ言いながら時間稼ぎをしていると私には見えます。
西谷:
そもそも水で冠水できるんであれば、汚染水漏れませんよね?
小出さん:
もちろんです。今現在、生じている放射能汚染水問題というのは、格納容器がもう穴が開いてしまって、注入している水がどんどん漏れてきてしまうということから始まっているわけですし、冠水ができるような水棺、水の棺と呼ばれていますけれども、そんなことができる道理がもともとないのです。でも彼らはできるできると、これまでずっと言ってきて時間稼ぎをしてきたと言うか、事態をいっそう悪くしてきてしまったのは彼らなのです。
西谷:
最後に先生ひとつだけ、燃料デブリと下の基礎のコンクリートが混ざっているという指摘もあるんですけど。
小出さん:
もちろんです。もうとっくに。
西谷:
とっくに入ってる?
小出さん:
はい。溶け落ちた炉心は、圧力容器という鋼鉄製の圧力窯の底を抜いて、格納容器の床の上に落ちたのですが、格納容器の床はコンクリートでできていまして、コンクリートと溶け落ちてきた炉心が猛烈に反応して、爆発性のガスなども大量に噴き出したはずだと私は思っていますし。
西谷:
コンクリートと混ざると、そういうガスが出てくるんですか?
小出さん:
そうです。一酸化炭素ほか爆発性のガスが大量に発生することになります。特に3号機の爆発というのが特別に巨大だったわけですが、それは私は溶け落ちた炉心と格納容器の床が反応して発生した爆発性のガスのためだと思っています。
西谷:
水蒸気だけではなくて? 他のガスもあったんではないかということですか?
小出さん:
はい。もともと水素爆発と言って、水素が爆発したというふうな推定だったんですけれども。それだけではなくて、溶け落ちた炉心が格納容器の床と反応して、爆発性のガスを大量に発生させて、それが爆発したと私は思っています。
西谷:
はい。どうも、本当に考えれば考えるほど、将来のことをほんとに危惧するわけですが。小出さん、やはりここでひとつ、やっぱり今までの改めてリセットしていかないといけない、時間稼ぎをしてはいけないということですね?
小出さん:
はい。まあ時間稼ぎなんかしてはいけませんし、まずは何よりもこれまでやってきたことが間違えていたということを全ての人に知って欲しいし、やってきた人達自身もそれをきちっと認識して、自分の責任を明らかにするということが、まず一番初めに必要だと思います。
西谷:
はい、よくわかりました。小出さん、今日はありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
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