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(書評)澤田哲生(著)「御用学者と呼ばれて」 (双葉新書・2013年)    西岡昌紀
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/211.html
投稿者 西岡昌紀 日時 2015 年 10 月 27 日 18:03:49: of0poCGGoydL.
 

(書評)澤田哲生(著)「御用学者と呼ばれて」 (双葉新書・2013年)
http://www.amazon.co.jp/%E5%BE%A1%E7%94%A8%E5%AD%A6%E8%80%85%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%81%A6-%E5%8F%8C%E8%91%89%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%BE%A4%E7%94%B0%E5%93%B2%E7%94%9F-ebook/dp/B00I9TEKEG/ref=cm_cr-mr-title

5つ星のうち 3.0

澤田氏は、「地球温暖化」を信じるのか?,

2015/10/26

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 では、3・11以後、原子力ムラの何が変わったのでしょうか?
 私の目からは、残念ながら何も変わっていないように見えます。メディアからも一般の人たちからも徹底的に批判されましたが、ムラの住民たちは、いまはじっと嵐が過ぎ去っていくのを身をかがめて待っている状態でしょう。ムラ自体に自己意識の改革や外圧による変化が起きている様子はありません。3・11以後、意識が変わって、そのような言論、行動を始めている人たちもいますが、あくまで少数派です。

(本書167ページ)
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先ず、本書における澤田氏の姿勢に一定の誠実さが有る事は認める。又、福島第一原発事故の経過について、澤田氏が、本書において、原子力関係者であるが故の価値の有る記述をして居る事も認める。更には、日本の原子力産業の内情について、一定の貴重な情報を提供してくれて居る事も認める。

だが、総体としては、この本の内容には不満である。先ず、これを読んで欲しい。

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 ここで食い止めなければ事故の規模はどのくらいになったのか、と私が最初に質問すると、吉田さんは「チェルノブイリの10倍です」と、答えた。
「福島第一には、六基の原子炉があります。ひとつの原子炉が暴走を始めたら、もうこれを制御する人間が近づくことはできません。そのために次々と原子炉が暴発して、当然、(10キロ南にある)福島第二原発にもいられなくなります。ここにも四基の原子炉がありますから、これもやられて十基の原子炉がすべて暴走を始めたでしょう。(想定される事態は)チェルノブイリ事故の10倍と見てもらえばいいと思います」
 もちろんチェルノブイリは黒鉛炉で、福島は軽水炉だから原子炉の型が違う。しかし、十基の原子炉がすべて暴走する事態を想像したら、誰もが背筋が寒くなるだろう。
 石油などの化石燃料はいつか燃え尽きるが、原子力はそうはいかない。ひとたび原子炉が暴走を始めれば、原子炉を制御する人が「近づくこと」もできなくなり、次々と原子炉が暴発し、さらに燃え尽きることもなく、エネルギーを出し続ける。放射能汚染は限りなく広がっていくのである。それが「悪魔の連鎖」だ。
 当然、東京にも住めなくなるわけで、事故の拡大を防げなかったら、日本の首都は「大阪」になっていたことになる。吉田さんのその言葉で、吉田さんを含め現場の人間がどういう被害規模を想定して闘ったのかが、私にはわかった。
 のちに原子力安全委員会の斑目(まだらめ)春樹委員長(当時)は、筆者にこう答えている。
「あの時、もし事故の拡大を止められなかったら、福島第一と第二だけでなく、茨城にある東海第二発電所もやられますから、(被害規模は)吉田さんの言う“チェルノブイリの十倍”よりももっと大きくなったと思います。私は、日本は無事な北海道と西日本、そして汚染によって住めなくなった“東日本”の三つに“分割”されていた、と思います」
 それは、日本が“三分割”されるか否かの闘いだったのである。

(門田隆将「日本を救った男『吉田昌郎』の遺言」(月刊Will(ウィル) 2013年 9月号30~39ページ )同誌同号33~34ページ)
http://www.amazon.co.jp/WiLL-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB-2013%E5%B9%B4-09%E6%9C%88%E5%8F%B7-%E9%9B%91%E8%AA%8C/dp/B00DVMU83I/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1445935412&sr=8-1&keywords=WiLL++2013+9

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これが、あの時(2011年3月)、我が国が直面した状況である。あの時、日本はここまで追ひ詰められて居たのである。その事について、澤田氏が、一定の誠実さをもって反省の気持ちを抱いて居る事は認めるが、残念ながら、私には、その反省が十分であるとは感じられない。

本書において、澤田氏は、原子力ムラの住民として、原子力ムラに自己批判を加えて居る。だが、例えば、同じく原子力発電の専門家である桜井淳氏の次の様な言葉を読むと、澤田氏の原子力ムラに対する批判は、一定の「配慮」をした批判に過ぎない様に感じられる。

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 これまで九電力は、原研やサイクル機構(元動燃)に多額の献金をしてきました。両組織は、統合され、独立行政法人原子力研究開発機構(原子力機構)となり、九電力から原子力機構へ年間五千万円弱の献金がなされてきました。福島第一原発事故後、個々の電力会社からではなく、電気事業連合会(電事連)が取りまとめて同額の献金を続けてきました。その額は原子力機構の年間予算の五千分の一です。割合からすればわずかです。しかしその政治的意味は明らかです。
 九電力の意図は、研究や技術開発への見返りだけでなく、安全審査や安全規制にも多くの委員を出している原子力機構への暗黙の協力要請でもあります。分かりやすく言えば、九電力に都合のよい安全審査や安全規制の徹底のための「買収金」です。福島第一原発事故後も、それまでのいかがわしい行為が継続していたことに驚きました。
 私は昔、原研幹部から「原研の研究費には、電力からの献金(電源開発促進対策特別会計含む)が含まれており、そのことを十分に認識した言動をしなければいけない」と諭されました。私の研究は、そのような分野でなかったため、聞き流しました。その後の言動は『桜井淳著作集」(論創社)に記したとおりです。福島第一原発事故は。九電力が作りだした政治構造のネガティブな側面が顕在化したものです。

(桜井淳 (著)「日本『原子力ムラ』行状記」(論創社・2013年)27ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%80%8C%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%80%8D%E8%A1%8C%E7%8A%B6%E8%A8%98-%E6%A1%9C%E4%BA%95-%E6%B7%B3/dp/4846012816/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1445935792&sr=8-1&keywords=%E6%A1%9C%E4%BA%95%E6%B7%B3%E3%80%80%E8%A1%8C%E7%8A%B6%E8%A8%98


桜井淳(さくらいきよし)1946年群馬県生まれ。1971年東京理科大学大学院理学研究科終了(理学博士)、2008年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻研究生修了(科学技術社会論で博士論文作成中)、2009年4月から東京大学大学院人文社会系研究科で「ユダヤ思想」や「宗教学」の研究中、2009年9月から茨城新聞社客員論説委員兼務中。
物理学者、社会学者、技術評論家(「元日本原子力研究開発機構研究員、元原子力安全解析所副主任解析員、元原子力産業会議非常勤嘱託)。
学会論文誌32編(ファーストオーサー21編)及び国際会議論文50編(ファーストオーサー40編)。
著書『桜井淳著作集』など単独著書30冊(単独著書・共著・編著・監修・翻訳など50冊)。現在、自然科学と人文社会科学の分野を中心とした評論活動に専念。
(同書巻末の著者略歴全文)

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又、澤田氏が、原子力発電の必要性を主張する個所には、残念ながら、説得力が感じられない。澤田氏は、「二酸化炭素による地球温暖化」が科学的真実であるかの様に議論を進めて居るが、この話(人類が石油や石炭を燃やした結果、大気中の二酸化炭素が増加して、その温室効果で地球が温暖化しつつあるとする言説)は、本当であろうか?専門家の中には、こんな指摘をする人も居る。

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 二酸化炭素の濃度が現在の10倍くらいになれば、極地の氷が完全に溶けることもあるかもしれませんが、大気中のわずか0.04%でしかない二酸化炭素が年間1~1.4ppm程度の増加率で、この安定ゾーンを超えるのは無理でしょう。人為的に排出される二酸化炭素の量では到底「足りない」のです。そして、現在のように、地表に氷床があるかぎり、気温はほぼこの「安定ゾーン」以上は上がらないのです。

(丸山 茂徳「『地球温暖化』論に騙されるな!』(講談社・2008年)36ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%80%8D%E8%AB%96%E3%81%AB%E9%A8%99%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%AA-%E4%B8%B8%E5%B1%B1-%E8%8C%82%E5%BE%B3/dp/4062147211/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1445935644&sr=8-1&keywords=%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E8%8C%82%E5%BE%B3%E3%80%80%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96


丸山茂徳(まるやましげのり)1949年徳島県生まれ。徳島大学卒業後、金沢大学、名古屋大学で学び、米スタンフォード大学などを経て89年に東京大学助教授。93年より東京工業大学理学部教授に。地質学者で専攻は地球惑星科学。地球のマントル全体の動き(対流運動)に関する新理論を打ち立てて学界に衝撃を与え、日本地質学賞、紫綬褒章を受章。主な著書には『46億年、地球は何をしてきたか』(岩波書店)、『生命と地球の歴史』(岩波新書)、『ココロにのこる科学のおはなし』(数研出版)などがある。(本書巻末の著者略歴)
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又、この専門家は、澤田氏が議論の前提にする「地球温暖化」について、こんな裏話も書いて居る。

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 「地球温暖化=二酸化炭素犯人説」をおかしいと思っている科学者は、国内だけでなく世界中にたくさんいます。私が知っているだけでも数十人はいる。しかし、彼らの多くは、「その疑問は私もわかるのだが、公式には内緒にしてくれ」というのです。研究者の世界というのは、おそらくみなさんが思うよりもずっと閉鎖的です。みんな、「温暖化」という流れに逆らうのが怖いのです。
 2006年にアメリカで学術会議が開催され、私も日本から招待されました。そこで、あるドイツ人の学者と話す機会がありました。その方は過去6億年間の気象データをもとに研究をしている方で、「地球温暖化=二酸化炭素犯人説」がまったくナンセンスな議論だと断定していました。
 私も別の視点から議論をして、お互いに意見を同じくし、固く握手を交わしたものです。その方は、私に「君は気をつけなさい、こういうことをいって科学の世界で生き延びるのは困難ですよ」というのです。彼は大学を定年退職となり、故国ドイツを離れてカナダに移住し、悠々自適の生活を送っていました。「おれはもう関係ないが、君はまだ若いから大変だ」というわけです。

(丸山 茂徳「『地球温暖化』論に騙されるな!』(講談社・2008年)79~80ページ)
http://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96%E3%80%8D%E8%AB%96%E3%81%AB%E9%A8%99%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%AA-%E4%B8%B8%E5%B1%B1-%E8%8C%82%E5%BE%B3/dp/4062147211/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1445935644&sr=8-1&keywords=%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E8%8C%82%E5%BE%B3%E3%80%80%E5%9C%B0%E7%90%83%E6%B8%A9%E6%9A%96%E5%8C%96
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こうした事を、澤田氏ほどの専門家が知らないのであろうか?

更には、原子力ムラが、反原発派に対して行なって来た次の様な行為を、澤田氏は知らないのだろうか?

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 尾行していることを誇示するような写真を印刷した葉書もたくさん送りつけられている。その中には、活動家の子どもが遊んでいる公園の写真や尾行していることを示す写真などが含まれている。これらの送りつけの目的は、明らかに「お前の行動は監視されているぞ」「このまま活動を続ければ、本人や子どもなどに危害を加えるぞ」ということをほのめかした強迫であろう。
 このような写真を送りつけるためには、原発反対運動を行っている者の自宅がどこにあるかを知り、これらの活動家を追跡する時間と技術を持っている集団が関与していなければ不可能である。

(海渡雄一(編)「反原発へのいやがらせ全記録」(明石書店・2014年)25ページ(文・海渡雄一))
http://www.amazon.co.jp/%E5%8F%8D%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%81%84%E3%82%84%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%9B%E5%85%A8%E8%A8%98%E9%8C%B2%E2%80%95%E2%80%95%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%81%AE%E5%93%81%E6%80%A7%E3%82%92%E5%97%A4%E3%81%86-%E6%B5%B7%E6%B8%A1-%E9%9B%84%E4%B8%80/dp/4750339490/ref=sr_1_fkmr1_2?ie=UTF8&qid=1445935958&sr=8-2-fkmr1&keywords=%E5%8F%8D%E5%8E%9F%E7%99%BA%E6%B4%BE%E3%80%80%E3%81%84%E3%82%84%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%9B

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私は、反原発派であるが、澤田氏の人柄には一定の誠実さを感じて居る。それだけに、本書において、澤田氏が、「不都合な話」を避けて居る様に感じられるのは、残念である。

(西岡昌紀・内科医/原子力の日(10月26日)に)

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コメント
 
1. 2015年10月28日 04:30:07 : vPXxs7jhBA
原子力村の人間は身をかがめてじっと嵐が過ぎ去るのを待っている。←この認識は間違い。正しくは

原子力村の人間はありとあらゆる汚く陰険で悪辣な手を使って原発の再稼動にまい進しているだ。うその拡散、権力を使った反対運動の弾圧、不都合な記事を抹殺したり攻撃したりしている。それに加担する日本のマスコミの構図が見える。


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