http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/150.html
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原発の格納容器は、原子炉や配管から漏れ出た放射性物質を封じ込め外部環境に出さないことを第一義の目的として設置されている施設である。
ベントは、そのような目的のために存在している格納容器のなかに溜まっている放射性物質をわざわざ外界に吐き出そうという処理である。
ベントを行うことは、BWRシステムの自己否定であり自己矛盾である。
BWR(沸騰水型軽水炉)は、原子炉の圧力を低下させるため主蒸気逃がし弁操作を通じて放射性物質を含む気体をS/C経由で排出し、格納容器内の圧力上昇を“自動的に”緩和するため蓋の接合部が緩むことでそこから圧力が抜け軽い放射性物質も漏れ出ることで、原子炉や格納容器の破損を防止している。
福島第一のあの事故では何度もベントを実施したが、すべて実施する必要がないベントであり、ベントを行ったことで放射性物質の外界への放出をいたずらに増大化させた。
ベントを実施しなければ、外界に放出された放射性物質の量は格段に少なく済んだはずで、誤ったベント操作を行ったことで、より膨大な量の放射性物質をまき散らし被害を拡大させたのである。
ベントの目的は格納容器の破損を防ぐためと説明されているが、格納容器は、圧力が高まると、構造的に蓋接合部から圧力が抜けていくようになっており、わざわざベントをする必要はない。(格納容器の蓋に透き間ができたことを政府事故調査委員会の報告書にも明記されている)
そのような構造だからこそ、1号機は、IC装置の確認で要員が施設に入った3.11午後5時頃にはすでに放射性物質が外に漏れ出ていたのである。(この事実は認めているがそれが意味することをきちんと説明していない)
事故の拡大を防ぎつつ放射性物質の外界への放出を抑えることが事故対策の本旨なのだから、BWRに追加的に設置すべきは、ベント装置ではなく、主蒸気逃がし弁操作や格納容器圧力上昇で外界に放出されてしまう放射性物質をできるだけ吸着するための装置である。
理解していたら原発の稼働がOKというわけではないが、このような基本さえ理解していない人たちが、事故対策を講じたとして、特定の原発の再稼働を容認しているのである。
※参照投稿
「1号機原子炉頂部ガス用ベント管設置は平成20年(2008年)秋:誤解も見られるベント(とくにドライベント)に関する補足」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/243.html
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原発の排気装置 米で設置義務付け見送り 日欧当局と判断割れる
【ワシントン=川合智之】米原子力規制委員会(NRC)はこのほど、東京電力福島第1原子力発電所と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)への設置を検討していた「フィルター付きベント(排気)装置」について、効果は薄いとして設置を義務づけないことを決めた。日本の原子力規制委員会は事故後に策定した新規制基準で、欧州にならい同装置の設置を義務づけた。日欧と米国の規制当局で判断が分かれた。
NRCの委員が投票し、反対多数で設置の義務付けを見送った。フィルター付きベントは、原発が重大事故に陥った際に放射性物質が大気に漏れ出すのを抑える装置。排気に含まれる放射性物質をフィルターで取り除く機能がある。
委員らは福島原発事故後、米電力会社が実施してきた安全強化策の内容を評価した。その結果、万が一の事故が起きても圧力容器内の核燃料を冷やしたり、放射性物質が大量発生する前に早めに排気したりするなど他の対策で安全は保てると指摘。仮にフィルター付きベント装置を付け加えても「安全性に実質的な差はない」(バーンズ委員長)と結論付けた。
原発には、BWRと加圧水型軽水炉(PWR)の2つの方式がある。フィルター付きベント装置の設置には1基あたり数十億円かかるとされる。NRCの決定を受け、業界団体の原子力エネルギー協会(NEI)は「業界で11億〜16億ドル(約1300億〜1900億円)の節約になる」と歓迎する声明を発表した。
一方、独仏やスイスなどでは、ほとんどの原発にフィルター付きベント装置の設置を義務づけている。チェルノブイリ原発事故で欧州の広範囲が汚染されたためだ。
日本の原子力規制委員会は新規制基準でBWRは再稼働前に同装置の設置を義務づけた。
[日経新聞10月15日朝刊P.6]
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