4. 2015年10月15日 19:47:43
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Domestic | 2015年 10月 15日 19:15 JST焦点:漂流続く放射性廃棄物問題 核燃料サイクルのコスト増大 http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20151015&t=2&i=1087168504&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXNPEB9E0GL 10月15日、九州電力川内原発(写真)2号が再稼働するなど「原発回帰」が徐々に進む一方で、打開策の見えない放射性廃棄物の処分に新たな懸念が高まっている。8月撮影(2015年 ロイター/Issei Kato) [東京 15日 ロイター] - 九州電力(9508.T)川内原発2号が再稼働するなど「原発回帰」が徐々に進む一方で、打開策の見えない放射性廃棄物の処分に新たな懸念が高まっている。国内で候補地絞り込みにめどが立たない中で、政府内からは海外での処分を検討する選択肢も聞かれる。 さらに、政府が処分策として進めているプルトニウムに再処理する核燃料サイクルのコストが増大、電力自由化の負担となる可能性も出ており、閉塞状況に拍車がかかっている。 <再稼働で増える「核のゴミ」> 「国が住民、国民の意向を無視して一方的に処分地を決めていくことは一切ない。乱暴なやり方で解決できるほどこの問題は簡単ではない」──。 今月4日、資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)が東京・品川で開いた高レベル放射性廃棄物の地層処分に関するシンポジウムで、同庁電力・ガス事業部の多田明弘部長は現状の厳しさをこう訴えた。 廃棄物問題は、原発推進政策の最大のアキレス腱だ。日本では、発電後に出てくる使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、再利用する核燃料サイクルを国策として進める方針を堅持してきた。 シンポジウムのテーマとなった地層処分とは、再処理の工程で出る廃液など放射能レベルが極めて高い廃棄物をガラスで固めて金属製容器に入れ、地下300メートル超の深部に埋設するという対策だ。しかし、電力業界の出資で2000年に設立したNUMOが処分場の候補地探しをしてきたが、「15年間、進展はなかった」(多田氏)という。 原発再稼働に批判的な世論への対応から、政府は今年5月、「廃棄物を発生させてきた現世代の責任として、将来世代に負担を先送りしないよう、対策を進める」と国が前面に出る方針を閣議決定した。 とはいえ、現政権が積極的な原発再稼働は、行き場が決まっていない廃棄物を増やすことになる。国民の理解を得ようと、資源エネルギー庁は全国各地で国民との対話集会を開いているが、品川でのシンポジウムの参加者からは、廃棄物問題は「現世代の一部の責任ではないか」と批判的な意見も出た。 廃棄物の処分場がない原発は「トイレなきマンション」と揶揄されてきたが、早期解決のめどは立っていない。日本は、核廃棄物について発生国での処分を呼びかける「放射性廃棄物等安全条約」に加盟。高レベル放射性廃棄物など「核のゴミ」の処分場確保は国内でめどをつけることが原則だ。 とはいえ、外務省の担当者は、同条約が「放射性廃棄物をどこで処分するのかを明示的に禁止するものではない」と説明する。ある政府関係者は、廃棄物問題の解消に向けて「核のゴミを外国に持っていく可能性は常にある」と話す。 <原発依存低減は核燃サイクルにマイナス> 核燃料サイクルは、トラブルが相次ぎスケジュールが大幅に遅れた。電力各社の出資で建設された日本原燃再処理工場(青森県六ヶ所村)は22回も竣工が遅れ、建設費も当初見込みの7600億円から2.2兆円に膨らんだ。 総事業費12兆6000億円と見込まれる巨大プロジェクトは約10年前に撤退も検討されたが、エネルギー安全保障など理由で継続が決まった。 ある業界関係者は、「原発を積極的に推進していた福島事故の以前は、燃料を有効利用する核燃料サイクルを進める意義はあったが、政府が原発を減らす方針に転じたため、サイクルを進める前提が崩れている」と指摘する。 原子力の平和利用を鉄則とする日本は、使用済み核燃料は全て再処理する方針の一方で、「利用目的のないプルトニウムを持たない」ことを国際公約としている。これを保証するのが、プルトニウムを軽水炉で燃やす「プルサーマル計画」だ。 電気事業連合会は2015年度までに全国16─18基でプルサーマルを導入するとしていたが、すでに達成は不可能に。電事連は見直しを表明しているが、内容は未定だ。 16─18基には、活断層問題で再稼働が困難な日本原子力発電敦賀2号や北陸電力(9505.T)志賀1号、地元静岡県の川勝平太知事がプルサーマルに否定的な中部電力(9502.T)浜岡4号などが含まれる。東電は「3、4基」で実施としているが、地元新潟県の泉田裕彦知事の柏崎刈羽再稼働に対する姿勢は厳しく、実現は不透明だ。 再稼働やプルサーマルが業界想定を下回れば、六ヶ所再処理工場が操業しても稼働率が上がらず、燃料(ウラン・プルトニウム混合酸化物)の製造単価が上昇する可能性も否定できない。 来年4月、電力小売りが全面自由化され、業界を財政面で支えてきた「総括原価方式」は近い将来、徐々に撤廃される。この過程で、核燃料サイクルのコストが上振れした場合、誰が費用を負担するのか。これについても、「今後の検討課題」(経産省関係者)という段階にとどまっている。 (浜田健太郎 編集:北松克朗) http://jp.reuters.com/article/2015/10/15/focus-nuclear-idJPKCN0S911920151015?sp=true |