15. 2015年9月25日 08:27:50
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九州電力やらせメール:4年前の問題…原発再稼働不信再び 毎日新聞 2015年09月09日 20時21分 福島第1原発事故後の新規制基準で初の再稼働となった九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が10日、営業運転を始める。九電は業績回復に期待を膨らませるが、一方で国民の不安が根強い原発の運転を担う責任が重く課せられる。4年前、原発の再稼働を巡る「やらせメール」問題で問われた九電の企業体質は改善されたのか。やらせの舞台となった説明番組の出演者は、今も厳しい目を向けていた。 「リスクを考えず、経済優先の体質は変わっていない」。佐賀市の映画評論家、西村雄一郎さん(63)は語気を強める。やらせがあると知らずに説明番組に出演した一人だ。 九電は原発事故後の2011年6月、玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働に向けて佐賀市で開かれた国主催の説明番組で、賛成意見のメール投稿を子会社などに呼びかけた。この問題を発端に、過去にも公開討論会で社員が「仕込み質問」をしていたことが判明するなど、なりふり構わず原発を推進しようとする企業体質が問われ、信用を失墜させた。 西村さんは、九電自ら設置した第三者委員会が、やらせメールで佐賀県の古川康知事(当時、現衆院議員)の関与があったと認定したにもかかわらず、九電が一貫して認めなかったことを疑問視。「県民から見たら知事とのもたれ合いは明らかなのに、処分も含めうやむやにした。普通の企業では考えられない」と納得していない。 13年には、九電の松尾新吾相談役が、佐賀県内の医療施設への寄付が滞っていることに「原発が再稼働すれば何てことない」と発言。西村さんは「『原発さえ動かせば金をばらまきますよ』と聞こえた。上から目線で、再稼働にこだわる姿勢はやらせ問題から変わっていない」と批判し、「安全を求める人間の本能を捨ててまで利益を追っている」と手厳しい。 同じくやらせを知らずに番組に出演した佐賀県玄海町の農業、平田義信さん(53)も、やらせ問題の幕引きの仕方について「責任の所在が不明瞭。(このような企業体質なら)仮に原発事故が起きたら誰に責任があるのか分からない状態になる」と不信は根強い。避難計画の実効性が疑問視される中での再稼働についても「避難がうやむやなうちに原発を動かすのはおかしい」と批判した。 九電はやらせ発覚後、組織再編で原子力部門の透明性を図り、「お客さまとの対話の会」を開くなどして信頼回復に努めてきた。だが、13年に九電が実施した顧客アンケートでは、信頼再構築の取り組みを評価できると回答したのは33.9%にとどまる。 猛暑だった今夏も原発ゼロで乗り切り、九電が説明する再稼働の理由は電力不足から経営安定に移っている。平田さんは「(説明が変わり)不信感につながる。自社の赤字を埋めるために原発を動かしたいのだろうが、再生可能エネルギーにも力を入れるべきだ」と注文する。〖岩崎邦宏〗 ◆九電やらせ問題 震災後の2011年6月に開かれた県民説明番組で、九電が玄海原発再稼働への賛成メール投稿を呼びかけ、141人の九電関係者が応じて番組への意見は賛成多数となった。全国初となった玄海原発へのプルサーマル発電導入を巡る05年の討論会でも、九電社員による導入推進の「仕込み質問」があったことなどが判明。九電第三者委員会は九電による「作られたイベント世論」と指摘し、やらせメールは当時の佐賀県知事の発言が発端だったと認定した。九電は否定しているが、佐賀県議会は今年3月、知事発言が発端とする決議を可決した。 http://mainichi.jp/select/news/20150910k0000m040075000c.html |