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核のごみの処分研究は地下350メートルで進行中(北海道幌延町、日本原子力研究開発機構の幌延深地層研究センター)
[真相深層]核のごみ「押しつけ」警戒
処分地探し、国主導に早くも難題 科学的根拠で不信拭えるか
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地探しが動き出した。政府は5月に閣議決定した新たな基本方針で、国主導で科学的な分析に基づき地下深くに埋めるのに適した地域を選ぶことにした。原子力政策を前に進めるにはなんとしても解決しなければならない最重要課題だが、各地で早くも「押しつけ」を警戒する声が相次ぐ。
条例で拒否
「核廃棄物は持ち込ませない。条例で北海道の住民の意思は示している。こうした会合は混乱を招くだけだ」。経済産業省が6月、札幌市内で開いた最終処分に関する住民向け説明会。会場から上がった最初の意見に、多くの参加者が拍手を送った。
核のごみは使用済み核燃料からまだ使えるウランとプルトニウムを取り出した後に残った廃液をガラスに混ぜて固めたもの。強い放射線を出すため、深さ300メートル以上の安定した地層に埋めることになっており、数万年以上も生活環境から隔離しなければならない。
処分地探しは2002年から電力業界が中心となり自治体の受け入れ表明を待つ形で始まったが、まったく前進しなかった。受け身の姿勢だった従来の反省を踏まえ、政府が新方針で打ち出したのが「科学的有望地」の提示だ。専門家の意見をもとに、活断層や火山、土地の隆起、浸食の影響などを検証したうえで処分に適した地域を日本全国から絞り込む予定で、作業は始まっている。
科学的な根拠を示すことで住民に理解を促す狙いだが、それも一筋縄でいきそうにない。
日本大学の高橋正樹教授は活断層など様々な条件を考慮し、処分場に必要な安定性を備える地域を独自に分析した。北海道東部の「根釧」、岩手県を中心とする「北上山地」、福島県の「阿武隈高原北部」の3つの海岸地域が浮かび上がった。
風評被害を懸念
対象に上がった地域では、反発が起きた。風評被害を恐れたからだ。北海道厚岸町議会は処分場受け入れを拒否する宣言を決議した。科学的といっても、簡単に受け入れられるものではない。
北海道固有の問題もあった。道北の酪農の町、幌延町には01年に開所した「幌延深地層研究センター」がある。核のごみの処分技術を研究する施設だが、運営する日本原子力研究開発機構は地元自治体と「放射性廃棄物を持ち込まない」とする協定書を結んでいる。
センターが建設される過程では、実際の核のごみの貯蔵施設をつくる構想が持ち上がったこともあった。住民の間には「本当に研究だけで終わるのか」との疑念がいまもくすぶる。こうした経緯もあって北海道には核のごみの持ち込みを拒否する条例ができた。
経産省は新方針の決定以降、各地で住民向けと並行して自治体向け説明会も開いてきた。参加自治体や開催日時などを非公開にして出席や発言を促そうとしたが、これまでに終えた46都道府県では約3割の市町村が欠席した。非公開には「透明性を欠く」と専門家から批判が強い。
「出席すれば誘致に前向きとの誤解を与えかねない」。07年に全国で初めて処分場の候補地調査の受け入れを表明し、町を二分する論争の末に取り下げた高知県東洋町も参加を見送った。福島県では原発事故の収束が優先としており、説明会の開催時期は未定だ。
政府が科学的な適地を示す手法は「もろ刃の剣」ともいえる。反発が表面化し、かえって議論が停滞する恐れもあるからだ。宮沢洋一経産相は「有望地になる自治体は相当数になる」との見通しを示すが、提示時期については言及していない。
もっとも、いつまでも先送りはできない。国内では8月、原発が2年ぶりに再稼働する見通し。安倍政権は原発を主要な電源として使い続ける考えで、原発が動き出せば核のごみはまた増える。
反発を覚悟のうえで処分地を本気で探すなら、科学的な分析だけでなく、強い政治的な意思が必要になる。東洋町で混乱が起きた当時、高知県知事を務めていた橋本大二郎氏はこう話す。「適地を示すことで政権への風当たりが強まることを恐れるぐらいなら、原発を語る資格はない」
(宇野沢晋一郎、浅沼直樹、生川暁)
[日経新聞7月29日朝刊P.2]
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