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(Tokyo under fire for plans to speed return of Fukushima evacuees: DW English)
http://www.dw.com/en/tokyo-under-fire-for-plans-to-speed-return-of-fukushima-evacuees/a-18597707
原子力
福島避難住民の帰宅を早める計画で非難を浴びる日本政府
日本では福島の大事故のために多くの人々に自宅を離れることを強いた避難命令の解除を目指しているが、環境保護運動家たちはまだ多くの区域で高いレベルの放射能が示されており居住には適さないと語る。
損壊した福島原発周辺の避難区域の一部地区で安全な生活が可能になったという宣言を日本政府が準備中だが、その狙いは復興の加速だと批評家たちは見ている。安倍晋三首相が率いる連立政権は除染作業が期待通りに進んだ場合、2017年3月までに多くの避難命令を撤回するつもりだ。これはつまり、55,000人もの避難住民が4年以上前に放棄した自宅に帰れることを意味する。
さらに、日本政府は最近、この原子力危機の後に全員が避難した福島県の7町村の1つ・楢葉町の住民7,000人は9月5日より永続的な帰宅が可能だと宣言した。しかし、最近の調査によれば、発電所から南わずか20km(12マイル)に位置するこの町の住民感情はいまだに様々で、どれだけの人が帰宅するかはいまだ不明確だ。
2011年3月11日、マグニチュード9の地震と津波が東北日本を襲い、福島第1原発を大規模に破壊し、ついには3基の原子炉をメルトダウンに追いやった。これはこの数十年で最悪の原発事故となった。数十万の人々が放射線量が上昇する恐怖の中で避難を強いられ、72,500人を上回る人々−かつて発電所の半径20km圏内に住んでいた−がいまなお仮設住宅で生活している。
環境活動家たちは安倍首相の福島帰宅計画を批判している
大規模な除染事業
一方、環境省によれば、政府事業としての除染の取り組みは11市町村で少なくとも20,000人を作業が携わって進められている。このとてつもない作業では、作業者たちが何トンもの表土・植物・葉を袋に詰め、あるいは、被災区域のあちこちに設置された800ヵ所の屋外一時保管施設の1つに持ち込むことによって除去しようとしている。
この事業は、2011年3月の大災害で最も汚染された区域の1つである、200平方kmを上回る面積を持つ飯舘村の一部でも実施中だ。2014年より、飯舘村を含む福島県の一部で数万人の作業者が放射線レベルの削減に取り組んできた。
高まる懸念
しかし、このような取り組みが放射線レベルの削減に寄与していると国際原子力機関(IAEA)などの諸組織は述べているものの、特に発電所内の汚染水の処分方法や、周辺区域で生活した場合には誰でも年間20ミリシーベルトを上回るレベルの放射線に被曝するという事実を考慮すると、多くの問題がいまだに残っている。
世界的に許容されている放射線吸収量の上限は年間1ミリシーベルトだが、IAEAは年間20ミリシーベルトまでなら直ちに人体の健康に危険を及ぼすことはないと述べている。それでも、それ以下の被曝からでも健康に影響が出ることは様々な研究により示されている。さらに、この短期間で住居地域だけは除染されつつあるが、深い森や山など田舎の最も強く汚染された区域の除染は省かれつつあり、あるいは、除染は不可能だと批評家たちが主張している。
このような展開にグリーンピースなどの環境保護団体の懸念は高まっている。同団体は飯舘村の放射線汚染は範囲が広すぎレベルも余りに高く、「人々が安全に帰宅することは不可能だ」と危惧している。
『膨大な放射能の蓄積』
「安倍首相は、広大な福島県を人々が安全に居住可能なレベルまで除染可能だと信じている日本の人々と似た考えのようだが、現実としてその政策は失敗する運命にある。飯舘の森には膨大な放射能が蓄積されているので、直接的な危険であり続けるし、数百年間は潜在的な再汚染の源となり続けるだろう。除染は不可能だ」と、グリーンピース・ベルギーの放射線専門家ヤン・ヴァンダ・プッタ氏は語った。
グリーンピースは独自の調査に基づき、除染した田畑では除染後もなお放射線量が2マイクシーベルト毎時を上回っていたと主張している。これは、年間で一般の人々に許容される最大線量の10倍に当たる10ミリシーベルトを上回る線量に相当する。
重度に汚染された手つかずの森では、放射線量は通常1〜3マイクロシーベルト毎時の範囲内だ−この高いレベルが今後数年間続く」とグリーンピースは述べ、飯舘で進行中の森の除染は一般道路に沿って、数千人の作業者が10〜20mの幅で汚染された土壌や植物を除去しているに過ぎないと付け加えた。
グリーンピース・ジャパンでエネルギーを担当する活動家・関口守氏はこの状況をより広い視野で捉え、損壊したウクライナのチェルノブイリ発電所では30年近く経った後でもなお、周囲30kmが立入禁止区域になったままだと主張した。
「IAEA・安倍政権双方の声明は衝撃的で、彼らが過酷原子力事故の後でも『平常』に戻ることが可能だという幻想を生み出すことに躍起になっていることが表れている。彼らの立場は弁護が不可能であり、事実上の強制帰宅計画は中止すべきだ」と、関口氏は語った。
『どうしようもないほど不十分』
パリで活動している独立系の国際エネルギー・原子力政策コンサルタントのマイクル・シュナイダー氏は、今後も線量レベルが実際に平均1〜3マイクロシーベルト毎時であり続けたとしても、これは大部分の国々で適用されている1ミリシーベルトの上限を超えることになると、DWに語った。「これには閾値がなく、つまり安全な被曝レベルというものは存在しないため、人々の健康リスクは著しく増加するだろう。」
また、この原子力専門家は日本の除染活動の多くは「どうしようもないほど不十分だ」と述べ、これを厳しく非難した。彼の見解を説明すると、例えば、高圧の水が駐車場などの表面を洗浄するために使われるが、使用済みの水は回収されないため、汚染はある場所から次の場所へと押しやられると、彼は語った。
福島原発内と周辺の放射線レベルはいまだに高いと、専門家たちは語る
さらに、汚染レベルは一定しているわけではないとシュナイダー氏は指摘する。「山や森は漠然とした除染すらできていないので新たな汚染源としての役割を永続的に果たし続け、雨が降るたびに汚染は山から洗い出され平地へと流れ込むだろう。」
補償金は無くなる?
運動家たちも、政府の計画が実施されると補償金の支払いの一部が終わることを考えると、一部の人々にとって計画は放棄した家に帰る以外の選択はないという意味だと主張している。「原子力の被害者からただでさえ不十分な補償金を奪うのは、財政的な理由から安全でない高放射能区域に帰らざるを得ないよう強いることになりかねず、経済的な強制に等しい」と、ヴァンダ・プッタ氏は語った。
放棄した家に帰るためにもたらされる潜在的な健康リスクについて住民の感情は様々だ
シュナイダー氏も同様の見解を持っている。「除染プログラムと住民の帰宅を『許可』する政府の計画の目標は非常に単純で、つまり、被害者に支払っている補償金総額の削減だ」と、この専門家は語った。
ロイター通信によれば、東京電力は400億ドル(367億7000万ユーロ)程の補償金を住民に支払ってきており、この区域の除染と大破した原発の廃止のために巨額の資金をさらに支払う見込みで、廃止事業には推定で30年を要するかも知れない。
現在の補償の枠組みの下では、この事業者は避難者の精神的苦痛に対し1人毎月約1,000ドル(921ユーロ)を支払っている。日本政府の文書を引用すると、政府が避難命令を解除した1年後にこの支援は打ち切られることになっている。
発表 2015年7月21日
記者 Gabriel Domínguez
関連テーマ 福島
キーワード Asai、日本、福島、安倍晋三、ecacuees、放射線
−参考−
2015/07/21 プレスリリース :グリーンピース放射線調査、福島県飯舘村で除染後も高い放射線量を測定 村の75%は高濃度に汚染された森林、政府に2017年3月の避難指示解除の見直しを求め(国際環境NGOグリーンピース)
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