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「発電コスト」で判明! 原子力VS火力VS太陽光、一番安い電力は?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150722-00015782-president-bus_all
プレジデント 7月22日(水)15時15分配信
■今年のピーク電力は乗り越えられるか
今年もまた、電力消費がピークになる夏を迎えた。2011年の東日本大震災から4年あまり、国内の原子力発電所がすべて運転停止というなかで、幸いにも大停電は起きていない。この間、老朽化した火力発電所の稼働や定期検査時期の調整など火力を中心とした供給力確保策により、難局を何とかしのいできた。だが、日本の電力の安定供給は依然として予断を許さない状況に置かれている。
それだけに、原発再稼働の是非が繰り返し俎上に上る。その行方を左右するのが、原発の安全性を審査する原子力規制委員会だ。同委員会は、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、地震や津波といった自然災害対策の強化など、従来の基準を大幅に見直すとともに、放射性物質の拡散防止など重大事故への対策が盛り込まれた新規制基準を策定し、審査会合を開催してきた。これまでに、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)、そして、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)を新基準に適合すると判断しており、早ければ今夏の再稼働も取りざたされている。
こうした中、7月16日、政府の長期エネルギー需給見通し小委員会において、2030年時点での「望ましい電源構成(ベストミックス)」が決定された。ここでは、原子力の比率を「20〜22%」と東日本大震災前の28.6%より低く抑えた。逆に再エネは、「22〜24%」という方針を掲げた。この方針の重要な検討要素となったのが、今年2〜5月に行われた「発電コスト検証ワーキンググループ」による各電源の発電コストなどについての検証である。具体的には、原子力、火力、再エネといった電源別にモデルプラントを用いて、キロワット時(kWh)の発電コストを検証してきた。それによって、現在および近い将来の“エネルギーミックス”、すなわち発電方法をバランスよく組み合わせていこうというわけだ。
その内容について、日本エネルギー経済研究所研究主幹の村上朋子さんは「原子力は設備利用率を70%と設定すると、足元の2014年モデルプラントで10.1円〜/kWhと一番安い。私どもでは、各電力会社の出している有価証券報告書も用いて、電源別長期発電コストの推移も評価したが、やはり同じ結果になりました」と話す。その他の発電コストでは、石炭火力が12.3円/kWh、LNG火力が13.7/kWh、風力発電(陸上)が21.6円/kWhとなった。
■「原子力の発電コスト」とは
電源別発電コスト(2014年モデルプラント試算結果)
ここで特筆されるのは、発電コストの内訳だろう。資本費(設備費)や運転維持費、燃料費といった基本的な項目に加えて、立地交付金などの政策経費が含まれる。さらに原子力のコストには、新規制基準に基づく追加的な安全対策費や、事故時の損害賠償や除染などの事故リスク対応費用、使用済燃料の再処理や最終処分の費用などいったバックエンドコストなども含まれる。事故リスク対応費用については、福島第一原子力発電所の事故対応費用を基に約9.1兆円と想定し、発電コストへ反映した。尚、この費用は増える可能性もあり、1兆円増えると、0.04円/kWh増加するとしている。
「コストの多寡よりも、なぜ、この発電コストになったのか条件や根拠を示すことが大事」と村上さんは話す。特に今回の検証ワーキングでは、追加的な安全対策費用と事故リスク対応費用の関係をどう読み込むかが話題になった。結果としては、安全対策によって事故の発生頻度が下がるという考えに基づき、追加的安全対策費は前回検証時の0.24円/kWhから0.6円/kWhへ上昇し、事故リスク対応費用は0.54円/kWhから0.3円/kWhへ減少した。
もちろん、火力にも再エネにも、それぞれ一長一短はある。火力の石炭、石油、LNGは安定した運転が可能なことから、重要な電源として期待できる。半面、調達を海外に依存していることから、原油価格や為替相場等の価格面の問題のみならず、中東情勢等の調達リスクをも抱えている。調達コストの低減や調達先の多様化という点で、シェールガスなどにも注目が集まっているが、村上さんによれば、「すでに調達契約が想定コストに入っている。しかし、欧米並みの価格実現は難しい」という。さらに原発や再エネにないCO2対策費が必要になる。一方、再エネは、何よりもクリーンという特性を持つものの、新規設置のための資本費が高く、メガソーラーの発電コストは24.2円/kWhと高い。しかも、そのコストには系統安定化費用は計上されておらず、実際に大量に利用する場合のコストは、さらに高くなる可能性が高い。
■日本にとってベターな選択
これからの15年間で発電コストの構成割合が、想定外の変化をすることも考えられよう。世界経済の動向や発電設備を取り巻く技術的イノベーションに資本コストあるいは燃料コストは影響を受ける。気になるだけでも、ニューヨーク商品取引所の動きやアジア新興国での太陽光パネルの製造による価格変動などがある。もちろんそれは、プラス、マイナス両面に働くこともあるが、いずれにしてもコストは極めて重要なファクターだ。
と同時に、地球温暖化対策も無視するわけにはいかない。政府は30年までの温室効果ガス排出量を、2013年比で26%前後削減する新たな目標を打ち出した。そして、この数値を国際社会にも宣言したのである。再エネの順調な拡大、休止中の原発再稼働が前提となっている。だが、並大抵の努力では達成はむずかしいのが現状だ。
エネルギー政策の基本方針は、「S+3E」である。福島第一原発の事故を踏まえた安全確保(Safety)の「S」を大前提に、エネルギー安定供給(Energy security)と経済性(Economy)、環境保全(Environmental conservation)の3つの「E」の同時達成をめざすという考え方だ。日本が持続的に発展していくために、ベストは困難だとしても、ベターの答えは何かが求められている。
ジャーナリスト 岡村繁雄=文
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