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UAE原発、違約金の危機 韓国電力、揺らぐ信頼性
韓国電力がアラブ首長国連邦(UAE)で進めている原発建設事業で違約金の支払いを求められる可能性が高まってきた。現地での稼働に先だち、韓国で2015年9月までに同型炉の運転を始めることで安全性を証明する約束だったが、いまだに韓国政府の許可が下りないためだ。韓国初の原発輸出という重要案件にケチがつきかねない状況に陥っている。
「2号機の原子炉設置を成功裏に終えました」。韓国電力は6月19日にUAE原発建設事業が順調に進んでいると発表した。09年に受注した同事業はUAEアブダビ首長国に出力140万キロワットの原発4基を建設するという大型案件。1号機は17年5月の完成を目指す。
だが、韓国電力には素直に喜べない事情がある。3月26日に新古里原発3号機(蔚山市)の新規運営許可を審議した原子力安全委員会の結論が「次回再審議」だったからだ。同原発は「APR1400」と呼ぶ韓国の独自モデル。UAE原発と同じタイプだ。試験運転期間などを考えると、約束どおり9月に稼働するにはこの日が許可を受ける最後のチャンスだった。
同委の4月の会議も結論は持ち越し。「次回日程は決まっていない」と関係者は明かす。韓電が期限を守るのは絶望的だ。遅れた場合、工事代金の0.25%を違約金として毎月UAEに支払うことになる。月に2億5千万〜5億ウォン(約2800万〜5500万円)程度になると韓国メディアは報じている。
問題は金額ではない。稼働の遅れの理由が単なる工期遅れによるものではなく、信頼性に関わることだからだ。
新古里3号機は11年に完成して運転許可を申請したが、その後に相次いで問題が発覚した。
13年には冷却装置を作動させるのに使う制御ケーブルの品質試験成績書を民間検査会社が偽造していたことが発覚。新古里3号機にもこの部品が使われていたため交換を余儀なくされた。14年末には窒素ガスが漏れ出し作業員3人が死亡した。15年には原発部品のリコールもあった。
UAE原発は日立製作所・米GE連合なども受注を目指したが、韓国勢が競り勝った。官民一体となって原発産業の育成を目指す韓国の記念すべき輸出第1号案件だ。ただ、自らも使ったことがない新型炉を輸出するのは「背伸びが過ぎる」という指摘は当時から出ていた。韓国はそのツケをどういう形で払うことになるのだろうか。
(K)
[日経新聞7月16日朝刊P.11]
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