49. 2015年7月16日 13:54:22
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石原慎太郎×亀井静香対談 地震大国の日本、原発再稼働はダメだ 週刊朝日 2015/7/16 07:00 石原慎太郎氏と亀井静香氏、自民党時代から盟友の2人だが、原発への考え方は対極的だ。2人の大激論をお届けする。 * * * 亀井:日本は今や欧米に劣らない国になった。ただ、科学技術を含め、文明を制御できなくなってその反逆を受けている。 石原:原発のこと? 亀井:うん。しかし、原発問題だけではない。地球が危機に瀕している。世界中の人は今、他を排除しても自らの利益をつかもうとしている。けれど、人間はそれをある程度、制御しながら自然や他と共存する努力をしようという気持ちを本来、持っていた。それが失われた今、大地震、噴火などの天変地異が続き、自然から反逆を受けている。 石原:我欲のせいだよ。亀ちゃんもたまにはいいこと言うな。 亀井:慎太郎先生が大好きな原発についても同じことが言える。放射能は放射線治療に役立つが、使い方によっては人間を破滅させる力を持っている。 石原:人間が作ったものを人間はコントロールできないのかね? 21世紀に入って日本人が科学分野でとったノーベル賞の数は欧州各国を上回っている。だから僕は、日本人の知恵で制御し、克服できると思っている。 亀井:いや、できない。私の姉は、広島に原爆が落ちた後、援助のための学徒動員で市内に通い続け、二次被曝の被害に苦しんだ末に1986年に亡くなった。「白血球 測る晩夏の 乾きかな」という句を遺してね。東日本大震災で福島の原発は、広島に落とされた原爆とは比べものにならないほどの放射能をまき散らしたわけだから、これからが心配だ。 石原:放射能汚染が怖いのは、チェルノブイリの時もそうだが、次々世代まで影響が出ることだな。 亀井:ぜひ慎太郎先生に、作れるのなら新しいものを作ってもらいたいが、その前に、いつ大地震がくるかわからない。私が運輸相だった時、阪神・淡路大震災があった。当時も地震学者の誰もが大地震を想定せず、日本列島はなまずが目を覚まして大騒ぎになった。地震大国なので原発は考え直したほうがいい。 石原:具体的にどうする? 亀井:東日本大震災が起きた3月11日、私は官邸にいた。東京電力は冷静に対応できず、菅(直人元首相)が癇癪(かんしゃく)を起こし、福島第一原発に行くまでまったく情報がこなかった。信頼できる技術を慎太郎さんが完成させるまで、原発の再稼働は止めなければならない。 石原:全部止めろと? 亀井:そう。今も全部止まっているけど、電力は余っている。代替の再生エネルギーなどの知恵を出すのが政治家の務めだと思う。私は太陽光発電、バイオマスをやろうと思っている。 石原:じゃあ、政治家辞めて、経営者になりなさいよ。でも、電力は余っていないし、(再エネは)採算があわないでしょう。 亀井:二足の草鞋(わらじ)でやる。政府の横やりで再エネは行き詰まってきたからね。 石原:日本は世界で一番大きい火山脈の上にあり、危険な国土だが、逆手にとって新しい技術を開発して、地熱発電をやればいい。 亀井:私は吉野杉の間伐材のバイオマスをやるつもり。政府は福島の汚染をのど元過ぎれば、と忘れて、再稼働と言っているが、冷静さを取り戻さないといけない。今の原発はトイレなしに飯を食う状態だ。 石原:使用済み燃料の再処理ができる高速増殖炉はもうやらないのかな。日本とフランスが一番、進んでいるのに、「もんじゅ」はつまらない理由で止まったままだ。 亀井:今は新しいエネルギーに目を向ける叡智を持ち、人類がどう生き延びていくかを考える時だ。 石原:それは本気で考えるね。僕は孫が7人いるから、この子たちが大人になった時に地球はどうなっているかと心配になる。地球を滅ぼさないよう、われわれも努力しよう。 (構成 本誌・古田真梨子、西岡千史) 2015年7月24日号より抜粋 http://dot.asahi.com/wa/2015071500076.html |