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『ニューズウィーク日本版』2015−7・7
P.70
核実験を小さく見せた?
「唯一の核保有国」アメリカ
1946年7月1日号
「実験は世界に原爆の威力を見せつけるためのものでも外交や政治上の影響を意図したものでもない」
ある人は重力が破壊されてすべてが吹き飛ぶことを恐れていた。またある人は、地球上の海水という海水が気体と化し、船が海底に着いてしまうと予言した。ビキニ環礁の底に大きな穴が開き、海水がなくなると考える人もいた」―。46年7月1日号のニューズウィークの特集記事は、こんな書き出しで始まる。人々を不安に陥れていたのは、実施を間近に控えたマーシャル諸島ビキニ環礁での核実験だ。
終戦から1年もたたない46年7月、アメリカは太平洋中西部に位置するビキニ環礁の上空と水中で2つの原子爆弾を炸裂させた。この直前、ニューズウィークは一連の核実験「クロスロード作戦」を前にしたアメリカの様子を特集。記事によれば、実験の目的は、77生から成る艦隊をターゲットに核爆弾を爆発させ、その破壊力と破壊の過程を調べること。表紙に掲載されたオレンジ色の戦艦ネバダは、1回目の実験でB29から投下される長崎型原子爆弾の標的となった。
広島と長崎への原爆投下は第二次大戦に幕を引くと同時に、人類に新たな核時代の到来を告げた。当時は冷戦が始まり、ソ連がひそかに核開発を目指していた時期。アメリカは世界で唯一の核保有国だった。記事は国際社会の目を意識するかのように、実験の目的が世界に対する威嚇ではないと不自然なほど強調している。
「これらの実験は見せ物ではない。世界に対して、原子力爆弾の威力を見せつけるためのものでも、外交や政治上の影響を意図したものでもない。廃墟と化した広島や長崎、あるいは爆弾が落とされる実験用市街地と違って、大量の海水に囲まれた艦隊にもたらされる視覚的イメージは、それほど破壊的でないだろう」
核爆発が海底を物理的に破壊するかもしれない、という不安は専門家の問でもささやかれたが、記事は一方で放射能についてほとんど伝えていない。原爆の影響の1つとして「衝撃波と熱風から安全な距離にいる人間さえも無力化し得る放射能」と書いただけだ。
こうした報道は、終戦後しばらくの問アメリカで原爆被害の実態がほとんど語られていなかったことと無関係ではない。
『原爆と検閲』(中公新書)の著者でジャーナリストの繁沢敦子によれば、米メディアが終戦直後に広島と長崎を取材したにもかかわらず、その惨状の詳細は検閲や自己鋭利で伝えられなかった。「長期的に見て、今回の実験で何が最も重要なのか、誰にも分からない。しかし実験は極めて実用的かつ限られた目的のために実行される」と記事は書いた。
しかし、アメリカの当局者は「何が重要なのか」について気付いていたはずだ。
「クロスロード作戦」は3回に分けて行う予定だったが、水中で予定されていた3回目は中止された。2回目の水中実験による放射能汚染が深刻だったためだ。
さらに、2回目の実験の「視覚的イメージは、それほど破壊的でない」どころか、海上の戦艦が水柱で持ち上げられるほどだった。
アメリカの核の独占は49年にソ連の核実験成功で終わる。世界が核兵器の脅威
に陰える日々がそこから始まった。」
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