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川内原発1号機 核燃料入れる作業開始[NHK]
7月7日 16時41分
九州電力が来月中旬の再稼働を目指している鹿児島県の川内原子力発電所1号機で、7日午後原子炉に核燃料を入れる作業が始まりました。作業は4日間の予定で行われ、再稼働に向けた準備は最終段階に入ります。
川内原発1号機と2号機は原発事故後に作られた新しい規制基準に去年、全国の原発で初めて適合しているとされ、現在、再稼働に必要な設備の検査を受けています。
このうち検査が先行して行われている1号機で九州電力は、7日午後1時39分に原子炉に核燃料を入れる作業を始めました。
今回の作業では原子炉建屋の隣の建物の燃料プールに保管されている157体の燃料をクレーンなどを使って1体ずつ原子炉に入れていきます。
川内原発1号機は福島第一原発の事故の2か月後に停止したあと、おととし1月末にすべての燃料が原子炉から取り出され、原子炉に燃料を入れるのはおよそ2年5か月ぶりです。
燃料を入れる作業は今月10日まで4日間かけて行われる予定で、九州電力は作業員を入れ替えながら24時間体制で作業を進めることにしています。
その後、川内原発1号機の再稼働に向けた準備は最終段階に入り九州電力は緊急用の設備の検査や重大事故を想定した訓練をへて来月中旬に原子炉を起動して再稼働する計画を示しています。
準備は最終段階へ
原子炉に核燃料が入ると、再稼働に向けた準備は最終段階に入ります。
これまでは、新しい設備がそれぞれ設計どおりに作られているかの検査が行われてきましたが、これ以降は、設備がすでにあるものも含めて全体として正しく機能するかが検査されます。
具体的には、原子炉に水を循環させる配管などの「1次冷却系」と呼ばれる設備を水で満たし、圧力を加えて水漏れがないか検査します。
そして、配管が破断して原子炉の水位が低下するといった緊急時に水を注入するポンプが正しく動くかなどの検査が行われます。
こうした設備の検査と並行して、新しい規制基準で義務づけられた重大事故対策の訓練が行われ、原子力規制委員会の検査官が立ち会い、発電所の所員などに事故に対応する能力が十分に備わっているかを検査します。
これらの検査や準備が順調に進めば九州電力は来月中旬に制御棒を引き抜いて原子炉を起動させる計画で、その後、3日から4日程度で発電が開始されます。
地元の声は
鹿児島県の川内原子力発電所1号機で、原子炉に核燃料を入れる作業が始まったことについて、地元の薩摩川内市の28歳の男性は「早く再稼働すればよいと思っています。原発が止まってから町を歩く人も少なくなった気がするので、再稼働して町が元気になってもらいたい」と話していました。
80代の男性は「安全と言って再稼働の手続きが進められているので、動かしてもいいと思う」と話しました。
一方、62歳の女性は「再稼働に向けて進んでいくので本当に悲しいです。福島の事故もあって100%安全とは言い切れないのに、みんなあの事故のことを忘れているのではないかと思います」と話していました。
薩摩川内の隣の鹿児島県さつま町に住む78歳の男性は「本当に安全なのか確証がないのに、国は再稼働を勝手に進めて不満です。子どもや孫の将来を考えると再稼働には反対です」と話していました。
鹿児島県の伊藤知事は「九州電力には引き続き、安全確保を最優先に適切な対応をお願いしたい」というコメントを発表しました。
川内原発が立地する薩摩川内市の岩切秀雄市長は「およそ4年間停止していたということもあり、九州電力に対しては発電再開に向けた工程において入念な点検・確認と、慎重な対応をお願いするとともに、残る検査などに対しても真摯(しんし)に取り組んでいただきたい」というコメントを発表しました。
地元議員が安全対策を視察
原子炉に核燃料を入れる作業が始まった鹿児島県の川内原子力発電所で、7日、地元の薩摩川内市議会の議員が安全対策を視察しました。
視察は1号機の原子炉に核燃料を入れる準備中の午前に行われ、薩摩川内市議会の議員16人が参加しました。
福島の原発事故のあと津波対策として新たに設けられた防護壁や、竜巻が発生してもポンプ車などが飛ばされないようチェーンを使って車を固定している様子などを見て回りました。
視察を終えて議員が、九州電力の担当者に事故の際の対策などについて尋ねたのに対し、九州電力の担当者は「常に52人で宿直体制をとっているので、基本的に、初期段階でも対応できる」などと答えていました。
川内原発の安全対策などを審議している薩摩川内市議会の特別委員会で副委員長をつとめる森満晃議員は、視察した議員を代表して記者団の質問に答え、「十分に安全対策をしていることが確認でき、安心した。燃料の装荷についても確認しながらきちんとやってもらいたい」と話していました。
全国の原発の審査状況は
再稼働の前提となる審査の申請は7日現在、川内原発を含め、全国の15原発25基で行われています。
「PWR=加圧水型」と呼ばれる川内原発と同じタイプが7原発15基。
「BWR=沸騰水型」と呼ばれる福島第一原発と同じタイプが8原発10基です。
このうち「新しい規制基準に適合している」と判断された原発は、川内原発1号機と2号機、福井県にある関西電力の高浜原発3号機と4号機で、いずれもPWRです。
高浜原発3号機と4号機は設備の詳しい設計の認可に向けた手続き中で、関西電力は11月に再稼働するという計画を示していますが、ことし4月、福井地裁から再稼働を認めない仮処分の決定が出され、決定が覆らなければ再稼働はできません。
次いで同じPWRで、愛媛県にある四国電力の伊方原発3号機について、原子力規制委員会はことし5月、審査に事実上合格したことを示す審査書の案を取りまとめ、近く正式に合格、つまり「新しい規制基準に適合している」と判断するとみられます。
このほか同じPWRの佐賀県にある九州電力の玄海原発の3号機と4号機、福井県にある関西電力の大飯原発3号機と4号機は地震や津波の想定が妥当とされ、審査は終盤に入っています。
それ以外の原発では地震や津波の想定や安全対策を巡って議論が続き、審査が終わるめどは立っていません。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150707/k10010142011000.html
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