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核のゴミの処分場をどうするか「膨大な危険物ですので、どこも引き受けてくれる場所がないということで今日に至っています」〜第130回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no130/
2015年07月04日 ラジオフォーラム
湯浅誠:
今日は、「核のゴミ最終処分場について」ということなんですが、政府は、原発から出る核のゴミの最終処分について、政府自身が適当な場所を選んで受け入れを働きかける新方針に改めました。手挙げ方式は限界にきたということなんでしょうね。まずですね、ちょっとおさらいをお願いしたいんですが。まず、最終処分場とはどのようなものでしたかね?
小出さん:
はい。皆さんもうお分かりくださってると思いますが、原子力発電所というものを動かせば、ウランを核分裂させるわけで。核分裂生成物、いわゆる、死の灰という物を生み出してしまいます。
今日、標準になった100万キロワットという原子力発電所が、1年運転するごとに、広島原爆1000発分の核分裂生成物を生み出してしまうという、そういう機械なのです。原子力発電所というのは。そんなことをしたら大変なことになるということは、原子炉を造った当初からみんなが知っていたのです。でも科学が進歩すれば、いつか何とかなるだろう、放射能が消せるだろうという風に期待してきたのですが、結局、現在に至っても消せないのです。
そうなれば、原子力発電をやって生み出してしまった、その核分裂生成物、放射性物質ですが、それを何とか生命環境から隔離しなければいけないということになったわけです。どこに隔離するかということで、さまざまな案がこれまで出てきました。
宇宙にロケットで飛ばして捨ててしまえとか、深い海の底に埋めたらどうだとか、南極はどうだとか、いろんな案が出たのですけれども、技術的に難しい、あるいは国際的な国の関係で難しいというようなことがあって、現在はとにかくどこか陸地に深い穴を掘って、そこに埋め捨てにしてしまおうという案がほぼ唯一の案として残ってしまっているわけです。
日本の場合には、核分裂生成物は使用済み燃料という形で出てくるのですが、それを再処理工場という所に送って、使用済みの燃料の中からプルトニウムという物質だけは取り除いて、残った物は全てガラスに固めて埋めてしまうということが既に法律で定められてしまっているのです。それをやろうとしているわけですが、もう膨大な危険物ですので、どこも引き受けてくれる場所がないということで今日に至っています。
湯浅:
そういう最終処分場に手を挙げてくれる自治体を求め、かつて調査だけは手を挙げてくれた所があったんですね?
小出さん:
はい。まあ要するに、原子力発電所もそうでしたけれども、地方で財政が困窮した自治体に押し付けるということでやってきたわけです。
しかし、この核のゴミというものは、原子力発電所に比べても、はるかに膨大な放射性物質の塊になってしまうわけで、それを10万年、あるいは100万年に渡って保管を続けなければいけないという途方もない話なのです。
そのため、ほんとに財政が困窮した市町村が、もう仕方がないからといって受け入れかけた所はあるのですけれども、どこもみんな嫌だということで、未だに決まっていないのです。高知県の東陽町という所だけが、一度手を挙げかけたのですけれども、町長がリコールされて、結局白紙に戻ってしまうということで、未だにどこも調査さえ受け入れてくれないという状態になっています。
湯浅:
それで、業を煮やしてということになるんですかねえ。国の方が決めて、とは言え、自治体がうんと言わなければ造れないわけで。
小出さん:
まあ、そうですけれども、これまではきれいごとと言うんですしょうか。自治体の方から誘致をするというようなかたちに持っていきたいと、たぶん国の方は思っていたのですが、さすがにそれがいくらやってもダメということで、今度は強権的に国の力で「お前の所だ」と言って指名して、そこに押し付けるという、そういうかたちに出てきたことになります。
湯浅:
理屈としては、科学的有望地というものを選定して、そしてそこに造る。候補地にすると。政府が言うには国土の7割。かなりの自治体が科学的に有望だという話のようなんですが、どうなんですかね?
小出さん:
全く馬鹿げていると私は思います。日本というのは世界一の地震国であるわけですし、火山も山ほどあってですね、地震の予知も火山の予知もこれまでできた試しがない。どんなに科学的な調査を行ったところで、思わぬ時に火山が爆発してしまうということは御嶽山もそうでしたし、先日の口永良部もそうでした。地震だって、ほんとに予期もしないような地震が2011年3月11日に起きたわけですし、科学的に有望だなんてことを現在は言えないという、そういう状況だということをきちっと知らなければいけないと思います。
湯浅:
構図は原発の立地と、基本は同じですよね? 経済的に厳しい過疎に苦しむ、そういう所に持っていくと。
小出さん:
そうです。
湯浅:
ただ、原発の立地とは違って、先程おっしゃったように、『100000年後の未来』でしたっけ? 映画観ましたけども、ああいうタイムスパンということになると、実際にはかなり強権的なことをやらなければならないだろうなというのは、わりと容易に予測されるんですけれど。
小出さん:
そうです。科学的に保障できるような時間の長さではないわけですから、日本には学術会議という学者の集まりの組織があります。
学者の国会とも言われてるような組織なのですけれども、その学術会議すらが、確か2年程前だったと思いますけれども、現在、日本の政府がやろうとしているような核のゴミの埋め捨てというのは科学的に正しくないから、もうゼロに戻って考え直せという、そういう答申を出しているくらいなのです。
本来であれば、日本の政府も学者の国会である学術会議の答申を受けて考え直さなければいけないはずなのですけれども、今の日本の政府は全然考え直すつもりもなくて、むしろ強権的に突破しようという、そういう動きに出てきたわけです。
世界中、同じような状況になってるわけで、世界の英知を集めて、やはり考え直すしかないと思いますし、まず一番大切なことは、これ以上こんな毒物を作らないことだろうと私は思います。
湯浅:
そうですよねえ。はい、今日もありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
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