http://www.asyura2.com/15/genpatu43/msg/316.html
Tweet |
20150627 R/F #129「小出裕章ジャーナル」【水以外で原子炉を冷却する方法、石棺について】
文字起こし
汚染水対策の行方「すずとか鉛というような物を送ることができるのであれば、それが液体状態になって、炉心を冷やしてくれるのではないかと期待しています」〜第129回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no129/
2015年06月27日 ラジオフォーラム
矢野宏:
今、福島第一原発の現状ですけれども、核燃料から出る崩壊熱ですよね。それを冷やすために今もう水をひたすら入れていると。それが地下水と一緒になってしまって、汚染水として1日に400トンですか、それぐらいの汚染水が出ている。これを何とかまずしなければいけないということで、小出さんは、「この水ではなくって、すずとか鉛、融点の低い金属で冷やすことも可能だ」というふうにおっしゃってますが、それは可能なんですか?
小出さん:
分かりません。4年以上経った現在では崩壊熱が減っているので、必ずしも冷やす度に水でなくてもいいだろうと思うようになりました。そのために水に代わる材料として、比較的低い温度で溶けてくれる金属、すずとか鉛というような物を送ることができるのであれば、それが液体状態になって、炉心を冷やしてくれるのではないかと期待しています。
でも、ほんとにそれができるかどうかということは、はじめにお伝えした通り、私もよく分からないのです。でも、このままでは、やはり放射能汚染水問題がますます深刻になって、手の打ちようがなくなりますので、いつの時点から、やはり決断してやってみるべきだと私は思っています。
矢野:
なるほど。金属だけではなくって、場合によっては空冷、空気でも冷やせるんだということをおっしゃってますが。
小出さん:
はい。車という物であっても、液体で大抵はエンジンをラジエーターで冷やしているわけですが、でもバイクなんかは空冷なんですね。ですから、発熱の大きさによっては、水あるいは液体でなくても、空冷ということも可能かもしれないと思います。格納容器という巨大な容器の中に、たぶん溶けた炉心がどこかにある。あるいは、一部は突き破って出ているかもしれませんけれども、格納容器という巨大な容器。かなり表面積が大きいですので、その表面をブロアーで冷やすということで、冷却ができる可能性がかなり高いと私は思います。
矢野:
わかりました。そしてもうひとつなんですけれども、小出さんは「石棺で封じ込めるしかない」というような発言をされてますよね?
小出さん:
そうです。
矢野:
私達は石棺と言うと、チェルノブイリを思い出すんですけれども、ああいった簡単にと言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、コンクリートで埋めて固めて、福島第一原発は大丈夫なんでしょうか?
小出さん:
さまざまな問題があると思います。例えば、チェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、溶け落ちた炉心が地下に流れていったのですが、当時のソ連政府が、地下に液体窒素などを流す、あるいはコンクリートのスラブを造るというような形で、溶け落ちた炉心が地面の方に流れ出ていってしまうということは防いだのです。
そして、地下水がその原子炉建屋の中に流れ込んでくるというような現在の福島第一原子力発電所のようなこともありませんでしたので、とにかく壊れてしまった原子炉建屋、そこを地上の部分ですね、地上の部分をさらに大きなコンクリート構造物で覆えばいいということで、ようやくにして石棺というものを造ったのです。ただ、その石棺も事故からすでに29年経ってボロボロになってしまいまして、その石棺をさらに大きな第2石棺で覆わなければいけないという状態になってしまっています。
福島第一原子力発電所の事故の場合には、すでにもう地下の部分で地下水と混然一体となってしまっていますので、チェルノブイリのように、簡単に地上だけで石棺を造るということもできません。
地下にもやはり、地下水との接触を断つような構造物を造らなければいけませんし、地上にもやはり、コンクリートの構造物を造る必要があると思うのですが、その前に、まずは1号機も2号機も3号機も、原子炉建屋の使用済み燃料プールの中に、まだ使用済みの燃料が大量に残ってしまっていますので、それをとにかく外部につかみださなければいけないのです。
でもその現場すらが放射能で大変汚れてしまっていて、人が近づくことすらができないし、いつになったらプールの中から使用済み燃料をつかみだすことができるのか、それすらが分からないという困難な状況にあります。でも、いつの時点かで、やはりやらざるを得ないのです。
矢野:
なるほど、そういうことですよね。今おっしゃって頂いた、そのチェルノブイリとの違い。その福島第一原発の場合には、地下水が流れ込んでくる。東京電力と国は、その地下水を防ぐために凍土壁を造ろうとしていますよね?
小出さん:
はい。
矢野:
これについてお伺いしたいんですけど、これは現実可能なんでしょうか?
小出さん:
まあやってみるしかないとは思いますけれども今、福島第一原子力発電所で造ろうとしている凍土壁は、深さ30メートル、長さが1.4キロから1.5キロの凍った土の壁を造ろうとしているわけです。
常時冷やし続けられなければ、その壁がまた融けてしまって壁の意味がなくなってしまうわけですから、まずそんな巨大な氷の壁を造ること自身が私は難しいし、たぶんできないと思いますし、仮に一時的にできたとしても、長期間そんな壁を維持することは到底できないと思います。ですから、いつの時点かで、やはり恒久的なコンクリートと鋼鉄、あるいは、ねん土という案もありますけれども、そのような壁を造らざるを得なくなるはずだと思います。
矢野:
なるほど。できないとおっしゃっいました。確かに、停電が起きると、その氷の壁は融けてしまうわけですもんね?
小出さん:
そうです。停電だけでなくて、ポンプが例えば故障したということであっても、冷媒は送れなくなりますのでだめですし、何かパイプが詰まってしまったということでもだめなわけですし、何十年にもわたってそんな物を維持できる道理がありませんので、結局破綻すると思います。
矢野:
なぜ私達でも分かるこういったことを国とか東京電力は進めようとしてるんでしょうか?
小出さん:
彼らは、やってることが失敗しても全く困らないのです。何百億円かのお金をせしめて、ゼネコンがそれを請け負うわけです。やはり、これはうまくいかないということになると、今度は次のまた壁を造ろうということになって、別のゼネコンがそれを請け負うわけです。何百億円だか何千億円だか知りませんが、それをゼネコンがせしめて儲けていくということになるわけです。
ゼネコンという組織は、原子力発電所を建設する時に儲けて、事故が起きてしまったら今、除染ということで大儲けをしているわけですし、凍土壁を造る、あるいはまた別の壁を造るという時でも、またどんどん大儲けができるというそんな構造になってしまっているのです。
矢野:
なんとも腹立たしいお話ですよね、これは。
小出さん:
ほんとにそう思います。
矢野:
このゼネコンを儲けさせるために今、そちらに向かってるということなんでしょうねえ。
小出さん:
そうです。
矢野:
はい、ありがとうございました。
小出さん:
こちらこそ、ありがとうございました。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素43掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。