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仏アレバ、原子炉事業売却へ
2015年5月28日(木) The Economist
仏原子力大手アレバが業績不振に陥っている。先進国における原子力発電需要の低迷と、独自に開発した原子炉建設の大幅な遅れが原因だ。同社の原子炉事業は、仏電力公社が買収する見込みだ。
経営難に陥っている仏原子力大手アレバの救済計画が、少し明らかになった。5月19日、仏電力公社(EDF)のCEO(最高経営責任者)ジャン=ベルナール・レヴィ氏が、EDFが今後果たす役割について説明した。
レヴィ氏は、EDFによるアレバ原子炉部門の「野心的な」買収計画を支持すると表明した。アレバにはウラン採掘と燃料処理、廃炉といった事業が残されることになる。買収価格は適正でなければならない。EDFとアレバ、両社の株式の約85%を保有する仏政府は、6月初めに最終的な決定を下すと予想されている。
フィンランドEPR建設は10年遅れ
これまで原子力産業は、フランス企業がリードしてきた。同時にフランス経済も原子力産業に依存している。フランスは電力の約4分の3を原子力発電で賄っている。この割合は、ほかのどの国よりも多い。こうした理由から、仏政府の閣僚たちはこの産業を何とか健全な状態に戻したいと考えている。
買収はアレバにとって少しも早すぎるものではない。同社は2007年以来、原子炉の新規受注を得ておらず、2009年以降配当もしていない。2014年通期決算は、83億ユーロ(約1兆1000億円)の売上高と、48億ユーロ(約6400億円)の赤字を計上した。新経営陣は現在、2017年までに10億ユーロ(約1300億円)のコストを削減する計画で、バランスシートの強化に努めている。だが、問題は根深い。
アレバが開発した高額で最新鋭の欧州加圧水型炉(EPR)は、大きな苦労に直面している。どんな大型の産業プロジェクトにも、スタート時の苦労はつきものだ。しかし、EPRが抱える問題はこれを超えている。
フィンランドでのEPR建設は予定から10年ほど遅れており、その費用は予算のほぼ3倍かかっている。その結果アレバは、数十億ユーロに及ぶ損失処理が必要になった。レヴィ氏は、残る負債をEDFに負わせないことが、救済の条件になると述べている。中国で建設中のEPR2基と、フランスで唯一新規に建設されているフラマンビル原発のEPR1基も予定より遅れている。この中国とフランスのプロジェクト管理にEDFは重要な役割を果たした。
新興国で原発需要増えるがアレバの受注は望み薄
アレバとEDFは、プロジェクト管理の甘さに対する批判に加えて、技術面の基準についても疑問視されている。仏原子力安全当局は今年4月、フラマンビルで建設中のEPRの主要原子炉容器に使用されている金属に欠陥があったと発表した。EDFはその調査結果に抗議し、アレバとともに新たな検査を始めている。
このニュースのため、英国で進んでいる、まだ契約に至ってはいない案件が成立する期待は小さくなっている。アレバのEPR2基を利用する原発の建設プロジェクトを、EDFが主導するコンソーシアムに委託する提案だ。
アレバ製の現行の原子炉に対して、外国の買い手が多く現れることはないだろう。国際エネルギー機関(IEA)は、2040年までに原子力による発電量が60%増加すると予測している(2011年の福島原発事故と、再生可能エネルギーの価格下落が、原子力発電の魅力を減らしているにもかかわらず…)。だが、増加分の大半は新興国によるものだ。欧州における原子力発電量は縮小する。こうした状況は、手頃な価格の原子炉に豊富な融資を添えて販売する企業に有利だ。
独自設計の原子炉売り込む中国企業
レヴィ氏は、よりシンプルで安価な原子炉の開発を示唆している。だが、それには時間がかかるだろうし、一部の競合企業が既に急成長を遂げている。
例えば、ロシアの原子力企業ロスアトムは多くの注文を抱えている。西側が制裁を科しているものの、格安の価格と手厚い融資、寛大な技術移転が受注を後押ししている。中国の2大メーカー、中国核工業集団(CNNC)と広核集団(CGN)は現在、独自に設計した「華竜1号」を売り込んでいる。今年2月、CNNCは原子炉を供給する仮契約をアルゼンチンと結んだ。
アレバに対する新たな注文がフランス国内で増えることもないだろう。現在フランスにある58基の原子炉はいずれも旧式だ。しかし、それらを操業しているEDFはこれらを、交換でなく改良して使用する計画だ。EDFがアレバを吸収することで、少なくとも既存プロジェクトの進行は改善するだろうか。「私がフラマンビルで見たものから判断する限り、そう期待する根拠はない」。炭素取引企業、CFパートナーズのローランド・ヴェター氏はこう語る。
フランスの原子力発電依存度を2025年までに50%(現在は75%)に削減する新たな法律が今年の夏には施行される予定だ。この法律によってアレバの今後の見通しはいっそう暗いものとなる。EDFがアレバのビジネスの大部分を吸収するほかに選択肢はないだろう。
フランス政府は間違いなく、外国企業がアレバの株式の大部分を保有することを許さないだろう。また、EDF以外に、アレバが取り組むビジネスの少なからぬ部分を欲しいと考えるフランス企業もないだろう。
© 2015 The Economist Newspaper Limited.
May. 23rd, 2015 All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150526/281621
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