http://www.asyura2.com/15/genpatu42/msg/820.html
Tweet |
合意のための原発論その7 原発を止めたら貿易赤字??
http://takedanet.com/archives/1027609846.html
2015年05月16日 武田邦彦 (中部大学)
原発が止まったとき、政府や専門家は「燃料を買わなければならないから、年間3兆6000億円の貿易赤字を産む」と繰り返しました。あまりに奇妙だったので、あるときに経済の専門家(学問的にも実務的にもしっかりした人)に直接聞いてみました。
「もちろん、そんなことはありませんよ」と言下に言われました。
「トヨタ自動車が400万円の車を10万台、受注した。これは大変なことになった。年間1000億円の貿易赤字になる」と言ったら、誰でも奇妙に思うでしょう。それと同じトリックなのです。
トヨタ自動車は10万台の車を作るのに、まず自動車を作る原料として、海外から鉄板(鉄鋼会社が鉄鉱石を買っても同じ)、プラスチックなどを1000億円購入し、それを工場に運んで、2000億円で自動車を製造し、10万台の車を3500億円で海外に販売したとします。
最初に原料を1000億円分のドルを使って輸入しますから、その時点では1000億円の貿易赤字を産みます。でもその後、自動車製造過程で2000億円の雇用を生み(税金なども含みます)、さらに最終的に500億円の利益を得て、3500億円のドルを受け取ります。
日本は貿易立国ですから、基本的にはどの産業も同じようなもので、もし電力会社が3兆6000億円の燃料を購入し、それをドブに捨てれば、3兆6000億円の赤字になりますが、それで電気を作り、トヨタ自動車などが使い、電力会社は4兆円ほどの収入を得ますから、差し引き4000億円の収益になります。もちろん、電気はいろいろな分野で使われ、総合的には日本の貿易収支となって数字になります。
つまり、海外から燃料を買って、電気を作り、それを販売するまでの間に運用資金が必要というわけですが、それはどの企業も同じで、もちろん原子力発電も同様です。普通は銀行はそのために存在するのですし、日本社会でこんなことを知らない人は少ないでしょう。
でも、メディアも専門家もあえて批判しません。どんなに奇妙なことでも日本では「空気」になればそれに逆らうことはできないということです。だから個人的に聞けば、即座に「そんなことはありませんよ」と言うのに、これだけ多いテレビの解説者が誰も言わないのです。ちょうど、放射線を防護できない服を「放射線防護服」と言うようなものです。
このようなことが続くと、「合意」には至りません。つまり「合意」に至るためには「ウソをつかない」ということです。いわゆる素人だましとかデータを調べればすぐ分かるようなトリックは日本社会を混乱させるだけです。
でも似たようなことが「原発反対派」にもあります。東電福島の事故の後に多かったのは「また爆発するぞ、こんどは大変だ!」というもので、私のところには半年おきぐらいにご心配の方からメールが来ます。ブログなどを引用されてくるので、それを見てみると科学的にはすべて荒唐無稽でした。
確かに爆発する可能性はゼロではないのですが、爆発しても2011年とは原発の中の放射性物質の量や発熱などが桁違いですから、表現が間違っているのです。これは原発の専門家ではないから間違っているという場合もありますし、ちょうど、政府がウソをつくように人を怯えさせようという目的を持ったものもありました。
残念です。
原発問題のように日本の将来、子供の未来にとってとても大切なことを、大人が自分の都合でウソを言い、それが混乱の元になっているようではどうにもなりません。ここでは合意を目的としているので、双方のウソをなくすことが大切だということを指摘したいと思います。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素42掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。