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原発4号機も建設されるはずだったフィンランドのオルキルオト原発完成予想図
フィンランドの電力会社 安全対策費用増で原発新設を断念。「原発が他の発電より一番安い」と試算した日本の「安全度」は?(FGW)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=51658
5月 16th, 2015 Finance GreenWatch
フィンランドの電力会社テオリスーデン・ボイマ(TVO)は、同国西部オルキルオト原発に予定していた4号機の建設計画を断念することを決めた。 先に着工した3号機が安全対策の追加等でコストアップ、工期延長が相次ぎ、4号機の建設見通しがつかなくなったため。
TVOが建設を計画していたのは、安全性を向上させた欧州加圧水型(EPR)。1979年の米スリーマイル島原発事故を教訓に、事故で炉心溶融(メルトダウン)を起こしても、「コアキャッチャー」と呼ばれる巨大な皿が溶けた核燃料を受け止めるほか、貯水タンクの水が自動的に流れ込み、冷やす仕組みを取り入れるなど、日本の現在の原発よりも安全性を高めている。
しかし、その分、コスト高であるうえに、2001年の米国での9.11同時テロの後は、大型旅客機の衝突に備えて、強化コンクリートの分厚い壁で原子炉を取り囲むなどの追加投資も必要となった(日本の原発にはそうした備えはない)。その結果、2009年に完成するはずだったオルキルオト原発3号機は建設費の見積もりが当初の3倍に膨れ上がり、1兆円を超えた。さらに福島事故によってさらなる安全対策の必要に迫られた。
このため建設を請け負ったフランスのアレバ社の経営危機にもつながっている。TVOは、4号機の建設について6月までに着工判断の許可を得ていたが、「現下の情勢では、4号機に関して何らかの重要な決断をすることできない」として、建設断念を決めた。TVOは臨時株主総会を開いて、株主の了解を求める予定。建設途上の3号機についても今後の取り扱いが焦点となりそうだ。
安全度に配慮した原発がコストアップし、建設を担当した企業は経営不振、発注した電力会社も追加建設を断念するという展開は、必要な安全対策を施せば、原発の費用は他の発電設備に比べてかなりの割高になることを意味している。しかし、日本では、先に経済産業省が「原発コストがもっとも安価」という試算を公表、審議会も了承するという流れになっている。原発の方式が異なるとはいえ、日本の原発がEPRに比べて、安全性が高いとはいえないのも事実。
福島事故を経て、世界中で原発の安全に対する要求は一段と高まっている。欧州で現在、建設中の原発は、オルキルオトとフラマンビルの二基だけだ。米国でも、スリーマイル島事故以来、原発の新増設はない。英国で議論になっているヒンクリーポイント原発は膨大な国費を投じてまでも建設しようとして、オーストリアなどEU内の他国から不公正競争につながる政府補助金だとして、欧州裁判所に提訴されている。
世界中が「安全性の高い原発」を志向し、そのコスト増で、原発新設を断念する傾向が定着している。それなのに、福島事故を引き起こした日本だけが、安全性への投資を抑えた原発を掲げて「原発コストはもっとも安い」と政府が宣伝ている。さらに、2030年の原発比率を実質的に福島事故前の水準とほとんど変わらない20〜22%に戻そうとする構図は、国民無視・安全性軽視の「異質なニッポン」に映る。
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