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「危機管理訓練が欠如」 原発事故にアレバ元CEO 汚染水処理の仏企業[共同通信]
東京電力福島第1原発事故直後の汚染水処理に当たった原子力世界最大手フランス・アレバの元最高経営責任者(CEO)アンヌ・ロベルジョン氏(55)が5日までの共同通信の取材に「日本には危機管理の訓練が欠けていた」と述べ、日本政府や東電が十分な対策を取っていれば、事故は避けることができたとの認識を示した。
パリ市内で取材に答えた。2011年6月にCEOを退任して以降、第1原発事故の対応をめぐり、日本メディアの取材に応じたのは初めて。
ロベルジョン氏は「日本は当初、自分たちだけで事故を管理するというやり方を選んだ」と指摘。建屋の水素爆発が相次ぎ、原子炉への注水継続が困難を極めた事故初期に、関係国へ協力を求めなかった日本側の対応に疑問を呈した。
日本政府や東電の対外的な情報提供が不十分で、事故の状況把握や支援に支障を来したと強調。当時の日本には「電力会社に厳しい姿勢で臨む強い規制当局と透明性、(緊急時の対応能力を高める)危機管理の訓練が欠けていた」と指摘した上で、十分な津波対策や原子炉冷却手段が確保できていれば、事故は避けられたとの認識を示した。
アレバが東電に納入し、11年6月に稼働した汚染水処理設備がトラブル続きで3カ月しか稼働しなかった点については「誰も今回の福島のような場所で作業した経験はなかった。緊急時には、調整が必要な問題は当然生じる」と釈明した。
第1原発の汚染水処理や廃炉作業の現状については「溶融燃料の回収など解決すべき課題は多いが、4年前と比べて改善した」と評価した。
ロベルジョン氏は事故直後の11年3月末に来日。海江田万里経済産業相(当時)らと会談し、汚染水処理の支援を表明した。その後、サルコジ仏大統領(同)との対立などを背景にCEOを退任した。
【アンヌ・ロベルジョン氏一問一答】 事故の悪化に恐怖覚えた
フランス・アレバのアンヌ・ロベルジョン元最高経営責任者(CEO)のインタビューでの主な発言は次の通り。
―福島第1原発事故を振り返り、日本の問題点は。
「日本に欠けていたのは電力会社に厳しい姿勢で臨む強い規制当局と透明性、さらに危機管理の訓練だ」
「決して起こるべきではない事故だった。防潮堤をあと8メートル高くし、原子炉冷却の手段が確保できていれば起きなかった事故だった」
―事故直後の対応は。
「東京電力や経済産業省などに支援の意思を伝えた。消防車を大型輸送機で送ろうとしていたが、日本側から何も返答はなかった。経産省や三菱重工業の要請で、防護マスクや(核分裂を抑える)ホウ酸などを送った」
―日本政府や東電からの情報提供は。
「日本は当初、自分たちだけで事故を管理するというやり方を選んだ。米原子力規制委員会(NRC)にも具体的な情報はあまりなかった」
「事故の悪化に恐怖を覚えた。大きな無力感を感じた。本当は何かできるはずだった」
―3月末の来日時の日本側とのやりとりは。
「細野豪志首相補佐官(当時)らに支援を伝えたところ、最優先事項は汚染水処理だと説明があった。使用済み核燃料の移送についても協議し、ただちに解決策を提案した」
―アレバの汚染水処理設備はトラブルで3カ月しか稼働しなかった。
「私が6月末に退任した際は稼働していた。誰も今回の福島のような場所で作業した経験はなかった。緊急時には、調整が必要な問題は当然生じる。米国企業の汚染水処理設備でもトラブルはあった」
―汚染水対策や廃炉に向けた第1原発の現状をどうみているか。
「汚染水や使用済み燃料の管理、溶融燃料の取り出しに向け、まだまだ解決しなければならない課題があるが、4年前に比べれば改善している」
(共同通信)
2015/05/06 14:01
http://www.47news.jp/47topics/e/265018.php
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