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アレバ、仏政府が救済へ
4期連続の最終赤字、原発専業モデルが岐路に
原子力大手の仏アレバが経営不振にあえいでいる。鳴り物入りで登場した最新鋭の原子炉に相次ぎ問題が発生し、引当金の計上などで2014年まで4期連続の最終赤字に落ち込んだ。日本の原子力発電所の再稼働も遅れ、事業機会は大きく縮小している。仏政府はアレバの救済に乗り出す方針で、原発専業の事業モデルは岐路を迎えている。
建設中のオルキルオト原発3号機。周囲は資材が積み上げられ、人影もまばらだ
(フィンランド南西部)
北欧ボスニア湾にのぞむフィンランド南西部のオルキルオト島。強い海風が吹く4月下旬、ドーム屋根のオルキルオト原発3号機の周りは、建設資材が積み上げられていた。「以前はもっと作業員がいて活気があったのだが……」。現場を知る関係者はこう話すが、今は人影もまばらだ。
同原発はアレバが開発した欧州加圧水型炉(EPR)の初号機だ。出力160万キロワットの大型炉で、民間航空機の衝突にも耐えられる強固さと、事故で電源が失われても原子炉が自動停止する安全性を売りに05年に建設が始まった。だが設計ミスや部品の強度不足など相次ぐトラブルで完成時期は遅れ、当初計画の09年が18年にずれ込んだ。建設費は当初の3倍近くの90億ユーロに膨れあがった。
相次ぐトラブル
運営主体の現地電力会社TVOのサルパランタ・シニアアドバイザーは「18年に稼働すると信じているが、見通せない部分もある」と自信なさげだ。工期の遅れやコストの膨らみの責任を巡ってアレバと、タービンを受注したシーメンス連合と、TVOの訴訟合戦になっているからだ。
2番目に建設が始まったEPRの仏北西部フラマンビル原発3号機にも問題が浮上した。4月半ば、仏原子力安全局(ASN)がEPRの圧力容器の強度に「重大な懸念がある」との見解を表明したのだ。同機はただでさえ部品の落下や死亡事故などのトラブルが続き、完成予定が12年から17年にずれ込んでいた。
アレバは専門家らによる調査団をつくり、真相究明に乗り出したが、圧力容器を交換すれば数億ユーロの負担が生じる恐れがあり、完成時期がさらに後ずれする可能性がある。同じ圧力容器を使いEPRを建設中の中国は安全上の問題が解決するまで台山原発1、2号機への燃料搬入を延期するようアレバに求めたという。
商機逃す懸念も
建設中のEPR4基が問題を抱え、アレバは頭を抱える。受注が固まった英国のヒンクリーポイントC原発への悪影響が出る懸念があるほか、インドなど原発建設に関心を示す新興国へのEPR離れが起きかねないからだ。
アレバの14年の最終損益は48億ユーロの赤字で過去最大。4期連続の最終赤字だ。潮目が変わったのは、11年の東京電力福島第1原発の事故だ。ドイツなど欧州の一部の国が脱原発を決め、日本の原発の再稼働が大幅に遅れ、アレバはビジネス機会を失った。
アレバのフィリップ・クノル最高経営責任者(CEO)は「中長期的に原発市場は回復する」と訴える。アジアや中東などの新興国は、自国の経済成長に見合う電力をまかなうため原発導入意欲が旺盛だからだ。三菱重工業とはトルコで中型炉「アトメア1」の受注に成功した。だが受注には激しい競争を勝ち抜く必要がある。問題続きのアレバの先行きは明るくない。
(オルキルオトで、竹内康雄)
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「電力公社傘下」が有力 原子炉事業、建設と運転を一体に
アレバを巡って足元で関心を集めているのは、フランス政府主導で進むアレバ救済策の行方だ。仏政府は仏電力公社(EDF)にアレバを救済させる方向で詳細を詰めている。雇用や産業競争力を維持したいオランド政権の方針が色濃くにじむ形で決着しそうだ。
アレバとEDFは国が大株主の実質的な国有企業。軍事、民生を含めると、フランスの原子力分野での雇用は約40万人とされる。アレバの経営不振が長引けば人員整理は避けられず、雇用問題に敏感な仏政府は「原子力産業を立て直す」(オランド大統領)として、救済を主導する。
仏紙によると、有力案はアレバの原子炉事業をEDFが買収か一部出資する内容だ。EDFは約60の仏国内の原発を運転するが、このところは国外進出を強化。原子炉の製造部門を傘下に置けば、建設と運転を一体的に手掛ける企業になれる。
ただアレバ労組にはEDFの支配下に入ることへの反発が強いほか、EDFにもアレバの財務上のリスクを負うことに慎重な意見もある。
このほか、仏政府がアレバの増資に応じたり、中国がアレバの持つウラン権益に出資したりする案が取り沙汰される。仏エコロジー・持続的開発・エネルギー相のロワイヤル氏は「できるだけ早めに決着する」と話す。
[日経新聞5月5日朝刊P.4]
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