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濃度が高い放射性物質を含む廃液が漏れ出た専用容器を上から見た写真。ふたにも廃液がたまっていた=東京電力提供
<福島原発>汚染水の廃液容器14%で漏れ ガス排出口から
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150504-00000053-mai-soci
毎日新聞 5月4日(月)22時0分配信
東京電力福島第1原発で、汚染水を処理した際に発生する放射性廃棄物を入れた専用容器について、点検したうち1割超の容器から放射性物質を含む廃液が漏れていたことが分かった。漏れを防ぐ見通しは立っておらず、放射性廃棄物の管理の難しさを改めて示す結果だ。
漏れが見つかった容器には、汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去設備「ALPS」(アルプス)の処理後に出る汚泥や廃液を入れる。直径約1.5メートル、高さ約1.9メートルの円筒形で、容量は約3トン。東電が、第1原発構内の容器1354基のうち105基を抜き取り調査したところ、15基(約14%)で漏れやにじみが見つかった。
この容器については、4月上旬に点検中の東電社員が、容器の下の床面やふたに水がたまっているのを発見。容器上部にある内部のガスを抜く穴から廃液が漏れていることが分かった。東電は、水素などのガスが廃液中にたまって容器内の容積が増し、ガス抜き用の穴から漏れたとみている。
漏れた廃液の放射性セシウム濃度は1リットル当たり最大約9000ベクレル、ベータ線を出す放射性物質は同390万ベクレルと、それぞれ高い濃度だった。容器は第1原発敷地内にあるコンクリート製の施設で遮蔽(しゃへい)されており、東電の白井功原子力・立地本部長代理は「廃液が敷地外に漏れることはない」と話す。
容器は使用前に落下試験などを実施しているが、実際の廃液を入れる試験はしていなかった。東電は「ガス抜き用の穴から中身が漏れ出すことは想定外だった」と話す。
今後は、中に入れる廃液の量を現在よりも約10センチ低くするなどして漏れを防ぐ計画だ。一方、アルプスの処理を続ける限り汚泥や廃液が発生するため、今後も容器の数は増え、保管場所の確保や耐用年数(約20年間)を超えた後の劣化の問題も懸念される。
原子力規制庁の担当者は「漏れた水は同原発内の汚染水の中で最も濃い。数も多いので早期の対策が必要」と指摘。容器周辺は放射線量が高くなっているため、確認作業などにあたる作業員の被ばく管理の徹底を東電に求める。【斎藤有香】
◇多核種除去設備「ALPS」
東京電力福島第1原発事故処理で発生する高濃度の放射性物質を含む汚染水から、放射性物質を除去する設備。放射性セシウムを除いた後の汚染水を、活性炭や樹脂などを入れた吸着塔に通し、汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、トリチウム以外の62種類の放射性物質を取り除く。現在、3設備が試験運転中で、3設備で1日当たり計約1500トンを処理している。
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