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原発再稼働なしで、省エネ30%削減、再エネ発電35%に上げれば、EU並み90年比40 %削減可能。学者グループが試算(FGW)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=51434
4月 30th, 2015 Finance GreenWatch
政府は2030年の日本の温室効果ガス削減目標を公表したが、日本の学者グループは、省エネ削減率を30%、再エネを発電量の35%にまで引き上げれば、現在、一基も稼働していない原発をそのまま凍結状態としても、2030年比でEU並みの40%削減(90年比)が可能、との試算を発表した。
試算をまとめたのは東北大学の明日香寿川教授、西岡秀三国立環境研究所特別客員研究員らで構成する「日本のエネルギー・ミックスと温暖化数値目標を考える研究者グループ(JUST)」。
同グループがまとめた報告によると、日本政府が30日に提案した削減案は、省エネ量、再エネ電力量、原子力発電量、石炭火力発電量の評価について、日本全体で考えた場合の経済合理性を欠く前提に基づいている、と指摘。このままでは、国際社会から強い批判を受けるだけでなく、日本が低炭素社会で経済発展するための機会をも失うと警告している。
同グループは政府案に代えて、省エネ量を2010年比で30%削減し、再エネ割合を発電量の35%とする案を提示した。政府案は省エネについて、2010年比で約15%削減としているが、グループは産業分野の省エネ見込みは現状比(2012年)で約6%でしかなく、少子高齢化社会とサービス経済化が進行する中で、政府案は、産業部門のエネルギー消費量が今後も増大するという非現実的な前提を置いていると指摘している。
特に鉄鋼や化学などの素材4業種の省エネ対策見込み量は1%程度と、ほとんど「何もしなくていい」扱いを認めている。しかし、現行の省エネ法のベンチマーク規定を2030年に順守するだけで、これらの業種も10%程度の省エネが可能になるとしている。政府案では他の部門も同様の削減余地を温存した扱いとなっている。
省エネ発電についても政府案には問題が多いとばっさり指摘している。政府案は発電量の22~24%とし、特に太陽光と風力のような変動電源発電の割合は10%に制限する方針を示した。これも風力中心で30%の電源を確保しているスペインや、太陽光、風力合わせて100%再エネ発電を目標とするデンマークなどの欧州諸国に比べるまでもなく、極めて再エネ制限的だ。日本が再エネ普及を制限する姿勢をとるのは、政府に原発再稼働を優先確保する考えがあると指摘している。
政府案の原発比率20~22%も経済合理性を欠くとしている。政府案の前提は、60年廃炉、設備利用率80%、原発新設などによる。しかし、老朽原発の廃炉期間を延長すれば、追加検査の実施等で設備利用率が下がるのに、政府想定では利用率が上昇するとしている。
設備利用率80%は過去に1995~2001年の短期間に一時的に実現しただけ。このように省エネ・再エネを抑え、原発再稼働推進を中心に据えた電源構成だと、結局、石油火力や旧型LNGへの依存が起き、国富の継続的流出と、温室効果ガス排出量の増大を招きかねないとしている。こうした日本政府の矛盾した目標設定については、「自国の産業擁護、特に既存電力擁護」との国際的な批判を招く可能性が極めて高い。地球温暖化対策で先進国に求められる経済合理性を徹底的に追及した国際貢献からはほど遠いといえる。
https://www.dropbox.com/s/1dvsbipzlvg92pa/JUST%20issue%20briefing%20%233.pdf?dl=0
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