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[真相深層]廃炉で1基4000トン発生
原発、もう一つのごみ問題 扱い決まらず宙に浮く
電力各社が運転開始から約40年がたつ原子力発電所5基の廃炉を決めた。今後、施設の解体に伴って1基あたり平均4000トンの放射性廃棄物が出てくるが、その扱いは宙に浮いたまま。処分先は決まっておらず、あてもない。これまで「原発のごみ」といえば使い終えた核燃料の後始末ばかり考えられてきたが、廃炉の時代を迎え、新たな難題が浮上した。
3月18日、中国電力の苅田知英社長から島根原発1号機の廃炉決定の報告を受けた地元・松江市の松浦正敬市長は、今後の作業に注文をつけた。「いつまでもここにとどまっていると不安感が出てくる。できるだけ早く対応してほしい」
低レベルでも…
懸念の先にあるのは、廃炉によって発生するごみの行方だ。コンクリートや金属など、その種類はさまざま。普通の工場の解体と違い、なかには放射線を出すものが含まれる。地元からすれば、一日も早く運び出して処分してほしいのが本音だ。
島根1号機だけの話ではない。3月にはほかに日本原子力発電の敦賀1号機(福井県)、関西電力の美浜1、2号機(同)、九州電力の玄海1号機(佐賀県)も廃炉を決めた。5基合わせると約2万トンの放射性廃棄物が出る(推計)。いずれも処分の道筋は決まっていない。
原発のごみといえば、よく知られているのが原子炉で燃やした使用済み核燃料から出る「高レベル放射性廃棄物」。人が近づくと約20秒で死に至るほど強い放射線を放つ。深さ300メートル以上の地中で数万年にわたり貯蔵しなければならない。
日本が商業用原発を導入して半世紀がたち、今ある使用済み核燃料は約1万7千トンに達している。長らく処分場が決まらず、「トイレなきマンション」との批判を受けてきた。問題解決に向け、政府がようやく動き出したところ。月内にも処分に関する新たな基本方針が閣議決定される見通し。
これに対し、廃炉に伴う解体ごみは「低レベル放射性廃棄物」と定義されている。文字通り、相対的にみた放射能レベルは低いが、受け入れ先が簡単に見つからない事情は同じ。原発敷地内で暫定保管することさえ「地元の了解が得られないと決められない」(関電幹部)。
とくにやっかいなのが「炉内構造物」と呼ぶ原子炉内部の部品の扱いだ。長期間、放射線を出し続ける物質を含み、深さ50メートル以上の地中に埋設することになっている。
欧米の廃炉の動向に詳しい日本原子力研究開発機構の林道寛氏は「海外では廃炉に先立って解体廃棄物の処分場か保管施設を用意している」と指摘する。日本が後手に回ったのは明らかな怠慢だが、電力会社にとっても想定外だった面はある。
2011年1月、福井県庁を訪れた関電の八木誠社長は美浜2号機について「できるだけ長く運転する方向で考えたい」と述べ、運転開始から40年以降も稼働を続ける意欲を示した。この時点ですでに同1号機も最長50年の運転を目指すことも決めていた。
「50年運転」幻に
そのもくろみは2カ月後の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故によって狂う。国の規制が強化され、原発の運転期間が原則40年に制限されるとともに、多額の費用を伴う厳しい安全対策も必要になった。美浜1、2号機は計画より早く廃炉に追い込まれ、放射性廃棄物の処分先を探す余裕もなかった。
国の準備も十分とは言いがたい。炉内構造物を安全に処分する基準は存在せず、今年から原子力規制委員会が検討に着手したばかりだ。国策民営で原発を推進してきたが、事故をきっかけに早まった廃炉時代への備えは官民ともに脆弱だった。
3月に廃炉を決めた原発が施設の解体に取りかかるのはしばらく先とはいえ、どこかの段階でごみの問題には決着をつける必要がある。政府はいまのところ「発生者責任に基づいて電力会社に処分先を決めてもらう」という基本姿勢を貫くが、いつまでも知らぬ存ぜぬでは、らちがあかない。
福島第1原発事故で汚染された土壌や樹木、いまだ発生し続ける汚染水も、最終的にどう処分するかの検討はなかなか前に進まない。行き場がなく日本のあちこちでさまよう放射性廃棄物。「負の遺産」への解決策が見えないまま、夏以降、原発が再び動こうとしている。
(鈴木大祐、生川暁、三田敬大)
[日経新聞4月17日朝刊P.2]
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