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原発を再開する前の準備(2) 報道とパニック
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2015年03月26日 武田邦彦 (中部大学)
福島原発一号機の爆発映像はNHKで見た。続いた3号機の爆発映像は先進国から流れてくる映像だった。そして4号機はアラブのアルジャジーラしか私は見ることができなかった。
それは私の人生でも衝撃的事件だった。日本に生まれ、情報は自由、表現の自由が守られていると信じてきたからだ。中国の天安門事件の時より報道規制か、あるいはマスコミの自主規制は厳しかった。
私はIAEA(国際原子力機関)に日本の気象庁から福島の風向きを知った。日本では発表されていなかったばかりか、NHKは風向計の故障を理由に、気象学会は会員に風向きを発表するなと通達した。
さらに、風向きによって放射性物質がどのように飛散しているか、ドイツ、イギリス、ノルウェーの気象庁のホームページからデータを得た。日本からは日本人の健康を守る風向きは発表されず、報道されず、スピーディーは隠された。
今では「被曝など平気だ」という人が多いが、政府、自治体、マスコミの人は相当、怖かったのだろう。そして何をすれば良いのか、国民よりむしろ政府や専門家の方がパニックになっていたように思う。
それから4年。なぜ報道を規制したのか、まだ理由の説明がない。一つの理由は「パニックが起こるから」ということだが、事実を知らせることによってどのようなパニックが想定されたのか、それも述べられていない。報道の倫理も崩れた。マスコミ各社は記者やカメラマンを福島から引き上げ、そして「安全です」を繰り返した。
それ以後、日本の報道は「事実を報道するとバッシングされるか、政府から意地悪をされるので、視聴者に危険がそれほどでもないときだけ報道し、本当に危険が迫ったら報道を避ける」ということになった。
原発を再開するなら、次の時にはマスコミはどのように報道するのか、パニックというのはなにか、など準備をしておかなければならないことは多い。また福島の事故の時には地震で停電し、現地ではテレビも止まり、寒さもひどく、携帯の充電もできず、ガソリンもない・・・という状態に陥った。
まず報道をどうするか、そして報道にも接することができない国民をどうするかなどを決めなければならない。
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