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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015032302000164.html
2015年3月23日
関西電力美浜原発1、2号機(福井県)など、運転開始から四十年を迎える小型原発五基の廃炉が決まった。再稼働ラッシュや大型炉新設の口実にしてはならない。原発ゼロへの道は踏み外せない。
政治主導の廃炉である。
昨年十月、当時の経済産業相が、電気事業連合会に、運転開始から四十年を迎える原発の早期廃炉を決断するよう促した。
四十年寿命、廃炉は法が求める当然の措置である。だが背景には政権の思惑がにじんでいる。
新たなエネルギー基本計画は、原発を重要電源と位置付け、基準に適合した原発の再稼働を進めるとした。一方で原発への依存度を可能な限り低減するともうたっている。依存度低減を演出しつつ、大型炉の再稼働を円滑に進めるために、廃炉によって老朽化した小型(三十五万〜五十五万キロワット)の数をいくつか減らす必要がある。
事業者側がこれを受け入れやすくするために、政府は十三日、原発の廃炉に伴う損失を十年間に分割し、電気料金に上乗せできる新たな会計制度を施行した。
事業者側には計算がある。
法律は、最長二十年の運転期間延長を、一回だけ認めている。だが、特別点検の対策費がかさむ。それより、採算に合わない小型炉を廃棄して、効率よく利益を生む大型炉に置き換え(リプレース)たいというのも本音だろう。
政治や経済の都合を優先させて、原発依存度低減をうやむやにしてはいけない。あくまでも、住民、国民の安心安全が最優先、どんなエネルギーをどのように使うかは国民が決めるべきである。
廃炉を決めた。だがそれは長い道のりの始まりだ。課題も多い。
廃棄物をどうするか。安全確保は。費用は誰が負担するのか。何より立地地域の振興は。
茨城県東海村の東海原発は、廃炉から十四年。原子炉の解体作業には至っていない。解体ごみの受け入れ場所がないからだ。
廃炉により、交付税収入が断たれる立地自治体の不安も深刻だ。
福井県の西川一誠知事は廃炉事業による雇用確保を電力側に要請した。しかし、それだけでは、地域は再生・自立しない。原発依存を抜け出せない。
たとえば既存の送電網を活用した再生可能エネルギービジネスなど、地域発の新事業育成のために、交付税を付け替えるなど、国策として原発を推進してきた国の強力な支援が必要だ。
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