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『原発一揆: 警戒区域で闘い続ける“ベコ屋”の記録』(針谷 勉/サイゾー)
警戒区域内へも立入る、“ベコ屋”の意地をかけた原発一揆は現在も続く完全ドキュメンタリー
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150322-00006234-davinci-ent
ダ・ヴィンチニュース 3月22日(日)11時30分配信
3.11は、多くの人の運命を変えた。天災だったのか人災だったのか、理不尽なソレに言い知れない憤りや絶望を覚えつつも、ある人は運命を受け入れ、ある人は抗いながら、新しい人生をすでに歩んでいる。
本書のタイトルである「原発一揆」という言葉は非常にセンセーショナルだが、「3.11に何があったか、そして今、被災者はどうなっているかを知ってほしい」という、著者の叫びにも似た痛烈な思いが込められている。
東日本大震災により引き起こされた福島第一原発事故は、さまざまな悲劇を生んだ。本書で「一揆」を決意する吉沢正巳はベコ屋…つまり牧場経営で牛を育てていたが、全頭が被ばくするという悲劇が降りかかった。売り物にならないのはもちろん、国からの指示は全頭処分。人間のコントロールが及ばない環境で人を知らずに育った野生の、しかも被ばくしている牛の脅威は、容易に想像できる。それは吉沢も重々、承知している。しかし、家族のように手塩にかけた牛を見捨てることは、ベコ屋の意地が許さなかった。決断したのは、なんとかして牛を生かし続けること。ベコ屋の精一杯の一揆。そのための苦しい模索が、ありありと描かれている。
自己責任について、国内で議論を呼んでいる。本書の吉沢は、警戒区域内への立ち入り制限が設けられても、自己責任で警備をかいくぐり、牛にエサをやり、世話を続ける。もちろん、自らが被ばくするリスクを覚悟しながらである。自己責任を背負う人間の心情は、はたからは推し量れない。
クワ、カマ、スキではなく意地だけを武器に立ち上がった一揆は、やがて「希望の牧場」を実現させる。この物語は、現在も続く完全ドキュメンタリーである。
ジャーナリスト・針谷勉の筆が当時の状況を正確に伝える
写真から現地の惨状がせきららに見える
「決死救命、団結。そして希望へー。」に込められた思い
文=ルートつつみ
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