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“廃炉”阻む汚染水――完全解決へのめどが立たない東電福島第一原発事故
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150303-00010000-nipponcom-pol
nippon.com 3月3日(火)15時0分配信
東京電力福島第一原子力発電所事故から3月11日で5年目を迎える。政府・東電は(1)放射性物質の除去、(2)地下水の流入阻止、(3)海洋への漏えい防止――の3つの対策に取り組んできたが、丸4年たった今も達成できていない。汚染水対策のめどが付かないと、次に控える廃炉スケジュールにも影響が及ぶのは避けられない。
■いまも1日300トンの汚染水が発生
3.11の事故で溶け落ちた核燃料は、冷却するために注水された水や、タービン建屋に日々流れ込んでくる地下水と混ざり、現在も放射性物質を含んだ「汚染水」が新たに1日約300トン発生している。さらに、津波で建屋の中に入り込んだ海水も汚染水となって建屋の底に大量にたまっている。
東電の初期対応は後手に回り、汚染水の海への流出や地上タンクからの漏えいなどが相次いだ。日本政府がこの問題で前面に立ち、本格的な対策に乗り出したのは、事故から2年半もたった2013年9月だった。政府の策定した「汚染源を取り除く」「汚染源に水を近づけない」「汚染水を漏らさない」という3つの基本方針の下で、東電は緊急対策を実施するとともに、中長期的な抜本対策を策定して取り組んできた。投入する国費は総額約470億円。
■放射性物質除去装置を投入も、半分の26万トンが未処理
東電が「汚染源を取り除く」ために取り組んだのは、施設内のタンクに貯蔵された汚染水の浄化。福島で放出された放射性物質はセシウムやストロンチウムなど31核種。汚染水からこれらの核種を安全な基準レベルまで除去することを目指している。切り札として投入されたのが、トリチウムを除く62もの核種を除去できる多核種除去設備(ALPS=アルプス)7系統と、セシウム吸着装置2系統、ストロンチウム除去装置2系統だった。
ALPSは13年3月から順次3系統が運用を開始し、14年9月には効率よく除去できる改良型ALPS3系統を追加。14年10月には国の補助金事業として151億円を投入し、薬液の代わりにフィルターを使って前処理を行う高性能ALPS(1系統)を増設した。これまでにタンクに貯蔵されていた約56万トンのうち28万トンを処理。15年1月時点で、約26万トンが残っている。
ただ、ALPSでもベータ線を放出するトリチウム(三重水素)は主に水の状態で存在することから、ろ過などでは除去できず、引き続き残留することになる。毒性は低いとされ、一定濃度以下なら自然界に放出することが認められているものの、最終的にどう処理するかはまだ決まっていない。
2号機および3号機の各建屋から海側に伸びる海水配管トレンチ(配管やケーブルが通るトンネル)にも1万1700トンの高濃度汚染水がたまっており、一部が地下に漏れ出して地下水を汚染している。東電は14年4月から、汚染水を凍らせて隙間を防ぎ、建屋から汚染水が流れ込むのを止めた上で、汚染水を抜き取るという世界でも例のない対策に乗り出したものの、水の流れが速くて凍る前に水が流れるため止水に失敗。11月には「氷の壁」による止水を断念した。
■最大のネックは地下水の流入
東電は、「汚染源に水を近づけない」対策でも依然手を焼いている。福島第一原発の立地する土地は、海沿いから30〜40メートルも高くなっており、原子炉の真下を海に向かって地下水が流れ込んでいる。建屋の山側から流れてくる地下水が建屋などに入り込み、事故で溶けた燃料を冷やす冷却水と混ざって、1日約300トン(14年末時点評価)もの汚染水が新たに発生しているからだ。
この地下水の流入をいかにして食い止めるか。14年5月から取り組んでいるのが山側で地下水をくみ上げ、いったんタンクに貯留し、水質検査を実施した上で海に排水する「地下水バイパス」の運用。建屋に流入する前にくみ上げ、地下水の流れを変えて地下水位を下げることにより、建屋への流入量を減少させるのが狙いだ。東電はこれにより、毎日約400トン流入していた汚染水が14年9月時点で100トン程度減少したとしている。
元々建屋の周囲を囲むように掘られている井戸「サブドレン」(集水設備)を活用して地下水をくみ上げ、海に放出する方法も検討されているが、海洋汚染を懸念する漁業関係者の理解が十分得られていないため、実施には至っていない。
東電は14年6月から、凍土方式による陸側遮水壁の設置工事にも着手した。1〜4号機の建屋の周囲(約1500メートル)に、一定の間隔でパイプを地表に垂直に埋め、このパイプにマイナス30度まで冷やした液体の冷却剤を循環させて周囲の土壌を凍らせ、その「氷の壁」で大量の地下水の流れを遮断するのが狙いだ。この工法は、地下鉄工事や海底トンネル工事などでも使用され、実績があるという。ただ、既に海水配管トレンチでの凍結・止水に失敗しており、同じ工法をより大規模に採用した陸側遮水壁工事も難航している。
■溶接型貯蔵タンクを増設
「汚染水を漏らさない」対策の目玉は、「海側遮水壁」(全長780メートル)の設置。1〜4号機の護岸に沿って海の底深くまで鉄の「遮水壁」を打ち込む。汚染水が地下を通じて海に流れ出るのを防ぐためだ。11年10月に工事に着手し、今年1月時点で約770メートルまで完成している。現在、遮水壁内側の埋め立て工事を実施中だ。
汚染水貯蔵タンクの増設・交換にも取り組んでいる。13年8月には約300トンの高濃度汚染水が、ボルト締め型(フランジ型)タンクから漏えいした。漏れた量はこれまで最高で、原子力規制委員会が国際的な事故評価尺度における「レベル3」(8段階中、下から4番目の影響度)と評価するほどの「大事故」だった。フランジ型タンクは鋼鉄の板をつなぎ合わせてボルトで留めたもので、継ぎ目はゴムパッキンで埋めた粗雑な作り。政府は溶接型タンクへの交換作業を加速している。
タンクの収容量は1000トン。毎日300トンずつ汚染水が増えるならば、3日に1個ずつ作らなければならない。400トンのときは2日に1個作らなければ間に合わなかった。それも、防護服を着ての作業だった。しかも、汚染水は止めどもなく湧き出てくる。事態を重視した東電は14年7月、地上タンクの増設目標を10万トン分上積みし、15年3月末までに90万トン分を確保する方針を決めた。原発敷地内に1000基を超えるタンクが横たわる光景は異様である。
■「全量浄化」断念や「凍土壁」難航で、対策の抜本的見直しも
東電の広瀬直己社長は1月23日、政府に対し、貯蔵タンクの汚染水浄化について、ALPSの稼働率が想定したほど上がっていないことなどを理由に、14年度中の全量浄化目標を達成できないことを報告した。同社長は、「このままのペースだと、処理完了は15年5月中になる」との見通しを示したが、ストロンチウム除去装置だけで浄化した水は最終的にALPSで再度浄化する必要性が指摘されている。そうなれば、最終浄化はさらに先に延びる。
汚染水の全量浄化については、安倍晋三首相が13年9月、東京五輪の招致活動の過程で、原発事故の影響懸念を払しょくするため、「状況はコントロールされている」と発言。東電は首相の強い要請を受けた形で14年度中の全量浄化処理を約束し、いわば「国際公約」となっていた。
また、難航している凍土壁の設置について、東電は2月9日の原子力規制委員会の検討会で、建屋の山側部分(986メートル)のうち約6%に相当する60メートルのみを先行して凍結を開始する考えを表明。当初目指していた14年度中の全面運用開始を断念した。凍土壁の開発・建設費用は319億円で、国が全額負担することになっている。東電が実際に凍結を開始するためには規制委の認可が必要だが、まだ得られていない。
汚染水問題の解決のめどが付かない限り、原子炉を解体する本格的な廃炉作業には入れない。廃炉作業は30年から40年もの長い時間がかかるとされる。日本の廃炉対策は、入口の汚染水問題で立ち往生している。対策の抜本的見直しを求める声も出ており、先行き不透明感は強まるばかりだ。
nippon.com 別館、文=長澤 孝昭(nippon.com編集部)
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