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石井孝明
@ishiitakaaki
当たり前ですがリスク換算すると、仮にガン発生が100mSvで0。5%増としても、発がん率は交通事故の10分の1以下です
RT「除染目標の年間1 mSv」、こだわるべきではない http://agora-web.jp/archives/1631258.html …
「除染目標の年間1 mSv」、こだわるべきではない
GEPR
川合将義
高エネルギー加速器研究機構名誉教授
原発事故の起こった福島で、機会あればさまざまな形で原子力と放射線についいて説明しています。原子力にかかわってきたものの責務であると考えるためです。除染をめぐって、長期目標に設定された年間追加被ばくの1mSv (ミリシーベルト)が正しいのかということを、頻繁に質問されます。私の行う説明を皆さんに紹介し、少しでも福島、また日本の皆さんの不安を和らげたいと考えます。
結論を述べると、年1mSvという基準は過剰に安全に配慮したものです。それにこだわる必要はありません。
(1)1mSv/年のリスクはどの程度か
放射線の被ばく影響は、広島と長崎原爆被災者に対する放射線影響協会の疫学調査で調べられています。右図に示すように、200mSv以上で、過剰相対危険度(リスク)が、被ばく量とともに上昇すること、ほぼ線形になっていることが分かります。民間団体で世界各国の政府に放射線の防護基準を提言するICRP(国際放射線防護委員会)は、この結果に基づいて、100mSv被ばく当たり(生涯)がん死亡率は0.5%と評価しました。ただし、これは放射線防護の考え方を論じたものであって、その確率で必ずがんになるということではありません。そして、放射線に関わる業務を行っている職業人の被ばく限度は、平均的には20mSv/年としています。(5年間積算で100mSv、単年度で最大50 mSvというのが規則)
図1
http://livedoor.blogimg.jp/ikedanobuo/imgs/0/d/0df90d31.jpg
出典:小笹:京都府医大誌, 120, 903(2011)
図1は原爆の被爆者とインドの高線量地域の住民の疫学調査の結果ですが、100mSv(0.1Sv)以下の被ばくは共に健康被害が観察されないことを示しています。
これを交通事故死のリスクと比較します。この場合に、気をつけなければいけないのは、単位をそろえることです。交通事故死は、よく10万人当りの死者数で表されていますが、上記の放射線の影響は、生涯死亡率の増加で表されています。生涯死亡率は、概ね平衡状態にあると考えれば、その年の死者数の割合で計算できます。
原子力学会の放射線影響部会が著したサイエンスポータル第225号より採った2008年の我が国死者数と死亡内訳を表1に示します。これによれば、生涯死亡率について、がんが30.1%、交通事故死が0.66%です。その放射線被ばく100mSvによるがん死亡率0.5%は、交通事故死の0.66%とほぼ同等であることが、分かります。
また、この時の全死者数約90万人から10万人当りの死者数の4.5人と割合(リスク係数)の4.5x10-5が得られます。上表により、放射線を業務とする人と一般人のリスク係数を計算してみます。
職業被ばく 20mSv/年: リスク係数= 9x10(-6乗)
一般人 1 mSv/年: リスク係数=4.5x10(-7乗)
http://livedoor.blogimg.jp/ikedanobuo/imgs/f/9/f9421f68.jpg
上記の値は、ともに交通事故の場合の5.9x10(-5乗)に比べれば、かなり小さく、この値を超えたからと言って、危険を示唆するものではありません。
(2) 低線量被ばく影響
広島•長崎原爆による被ばく影響の調査やその後の医療従事者や原発作業者に対する調査結果において、100mSvより低い線量では、影響が低いために統計的に有意なデータが得られていません。一方で、がんの放射線治療において、100mSvの低線量全身照射や免疫をつかさどるひ臓への照射が、がんの転移に対して抵抗が増すという東北大の坂本博士の報告があります。がん患者という正常者とは違った状況にあるため、同一視できないかも知れませんが、これは朗報と言っても良いと思います。とにかく低線量であれば影響は低いということは信じてよいでしょう。
人は、自然放射線にさらされています。それでも、がんが多発することはありません。がんの発生は、人の細胞中のDNAが異常を来たし、異常な速度の細胞分裂を起こすことによって起きます。そのDNA損傷は、放射線やストレスによって作られた活性酸素や、放射線が直接DNAに当たってできます。しかし、損傷したDNAの多くは修復再生されます。また、再生し損ねて生み出された異常細胞は、アポトーシスといって自然消滅したり、白血球などによってほぼ駆除されたりします。
このように人体には、何段階もの放射線に対する防御機構が備わっています。ただし、それらの機能は個人差があり、また若いほど強いと言えます。老齢化して免疫力が弱くなると、体内にひそんでいたがん母細胞が突然に増殖し出して、発ガンするようになります。そのため、特別に被ばくしなくても男子の場合30%の人ががんによって死亡します。
100mSv以下の低線量被ばくよりも、ストレスの影響は大きいとされています。一つのデータを示します。産業医大・放射線衛生学講座「放射線学入門」中の資料によれば、活性酸素によるDNAの2本鎖切断が、放射線を浴びた場合も日常のストレスでも起こります。放射線を1日1mSv浴びた場合に比べて、ストレスの方が300倍も高いのです。この日常のストレスの大きさと比較すると、後述する自然放射線による年間2-3mSvの被ばくや、医療被ばく(胃のX線検査で0.6mSv/回、CT検査で5-30 mSv)の影響は、かなり低いと言えます。
ICRPは、前述した放射線被ばくにおけるリスク係数の低さや、上述の生体の防御機能の効果や日常ストレスの影響も考慮して、事故時の避難勧告の線量として、20-100mSvのいずれか適当なレベルで決めなさいと言っている訳です。
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