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岸田政権支持「下野直前」に迫る 議員処分は/曽我英弘・nhk
曽我 英弘 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/492406.html
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題の実態解明が進まない。この間内閣・自民党の支持率はともに、大きく落ち込んだままだ。不透明感高まる政治の課題と行方について考える。
【支持率「自民下野直前」に迫る】
NHKの3月の世論調査で内閣支持率は2月と変わらず25%。「支持しない」は1ポイント下がって57%。最も高かったおととし7月から34ポイント下げ、内閣の「危険水域」とされる30%割れは5か月連続だ。
支持が低迷しているのは自民党も同様だ。自民党の支持率は2月より1.9ポイント減って28.6%と政権復帰以降最低を更新した。内閣、自民党の支持はともに麻生政権が15年前の2009年(8月)の衆議院選挙で大敗し下野する直前の水準(内閣23%、自民26.6%)に迫っている。
ただ当時と状況が異なるのは、野党側も支持が伸び悩んでいる点だ。立憲民主党は6.8%。野党各党を足し合わせても20%に満たない状態で、自民党に対する批判の声を取り込めていない。
こうした中で特に支持する政党のない「無党派」は42.4%を占め、自民党との差は13.8ポイントにまで拡がっている。政治資金問題の実態解明と再発防止に国民の納得が得られなければ、今後この差はさらに広がる可能性もある。
【政倫審で説明責任果たされたか】
関係議員の数、不記載の金額の多さを見ても、かつてなく深刻で根が深い今回の問題。これまでに衆議院政治倫理審査会が15年ぶりに開催され、最終的に安倍派、二階派の事務総長だった5人が説明を行った。
ただこれにより、説明責任が「果たされた」という人は「十分」「ある程度」あわせて7%に過ぎず、逆に「果たされていない」は「あまり」「まったく」あわせて83%に上る。与党支持層でも79%が「果たされていない」と考えている。
この結果をどう考えたらよいのだろうか。一番のポイントは、関係議員の説明に実態の解明につながる新たな内容はなかったこと。また誰が政治責任を取るのかといった疑問に答えるものでもなかったためではないか。安倍派の会計処理について幹部4人はいずれも関与を否定し、キックバックが始まった経緯も明確な説明はなかった。
一方で説明に食い違いもあった。それは安倍元首相の会長就任後、おととし4月に一旦はキックバックを中止する方針を決めながら、安倍氏が死去した後、復活した経緯についてだ。
この点について西村前経済産業相は安倍氏が死去した翌月の8月に幹部が協議したものの「結論は出なかった」と説明した。これに対し塩谷元文部科学相は「困っている人がたくさんいるからしょうがないというぐらいの話し合いの中で継続になった」と述べている。野党側は今後問題に関係したすべての議員に政倫審への出席を求め、とりわけ8月の安倍派の幹部協議に参加していた下村元文部科学相に説明を求めるなど追及を強める方針だ。
【岸田首相の政倫審出席】
岸田首相が突然出席の意向を表明した。その理由を首相は「国民の政治不信がますます高まってしまうという強い危機感から、前例にとらわれず決意した」と述べた。
今回現職の首相として初めて政倫審に出席したことを「評価する」は「大いに」「ある程度」あわせて45%。「評価しない」は「あまり」「まったく」あわせて47%と国民の間で見方が分かれている。ただ、問題の会計処理などの説明は「いつどのようにはじまったかは判然としないものの遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」などとするにとどまった。これには野党側から「すでに公表された党の聴き取り調査をなぞっただけだ」などといった批判が出ている。
また今回の岸田首相の出席には世論同様、自民党内も評価ばかりではない。首相自ら名乗り出たことで、公開での開催に難色を示していた関係議員の背中を押し、膠着状態を打開したとの声が党内にはある。一方でいつまでも開催しなければ国民の批判が一層高まり、政権がもたないという焦りからの「独断専行」との冷めた見方もある。
実は去年暮れ、岸田首相による突然の「派閥解散」宣言を機に茂木幹事長らとの間に距離や溝ができ、政権が機能不全に陥っているのではないかとの指摘が与野党双方から出ている。そしてそのことが、今回の政倫審開催をめぐる遅れや混乱の背景にあるとの見方もある。
【政治資金問題 処分は】
今回の政治資金問題、今後を考える上で重要なのは3つ。実態の解明、再発防止のための法改正、そして関係議員への処分だ。このうち法改正は各党の案や方針が出そろうなか、自民党の検討が遅れ具体的な協議を始められずにいる。処分についても岸田首相は「できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」としているが、難航も予想される。
理由のひとつは対象範囲だ。問題の関係議員は多数に上り、不記載の金額や責任の度合いも様々だ。中でも安倍派の幹部、とりわけ事務総長経験者とそれ以外の議員との扱いをどう判断するのか。また安倍派同様、会計責任者らが立件された二階派と岸田派の誰を処分の対象とするかも検討課題となってくる。
また過去の事例との整合性も重要な論点だ。自民党の処分には重い順に@除名A離党勧告B党員資格停止など8つの段階がある。このうち新型コロナの緊急事態宣言中に東京・銀座のクラブを訪れた党所属議員3人は2021年、2番目に重い離党勧告を受け、その後離党した。党内にはこれより重い処分を行わなければ国民は納得せず、選挙にも影響するとの意見がある。一方で安倍派幹部などは閣僚や党の役職をすでに辞任し一定のけじめもつけているとの声もある。処分の内容や対象議員の線引き次第では反発や対立を招く可能性もある。3月のNHK調査で関係議員に対し自民党が「処分を行うべきだ」という人は75%と4人中3人に上っている。今後こうした国民世論と党内の動向を睨みながらの判断となりそうだ。
【政治の行方】
今後の政治はどうなっていくのだろうか。国会では政治改革や能登半島地震の支援以外にも、子育て支援金制度の創設などを盛り込んだ法案、経済や外交・安全保障などをめぐる審議も控えている。今後公表される春闘での賃上げや、好調な株価をテコに岸田政権が巻き返しを見せるのか。それとも野党側が政治改革などを軸にさらに攻勢を強めるのか。4月に衆議院の3つの補欠選挙、そして年内の解散総選挙も噂される中で、与野党の対決色は一層強まりそうだ。
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