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4月スタート 女性を支援する新法/熊田佳代子・nhk
2024年03月08日 (金)
熊田 佳代子 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/492329.html
3月8日は国連が定める「国際女性デー」。世界各地で女性の人権や地位向上にまつわる記念行事が開かれます。
ところで日本では、4月から女性を支援する新しい法律がスタートします。
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」、通称「女性支援新法」です。
対象になるのはその名の通り「女性」。
女性は日常生活や社会生活を送る上で、女性であることにより、様々な困難な問題に直面しやすい状況にあります。
たとえば、性暴力など「性にまつわる問題」や、DVなど「家庭の問題」、不安定な仕事で生活困窮するなど「お金の問題」など多岐にわたります。それでも「仕方がない」とか「自分さえ我慢すれば」と耐えて、どこにも相談しない・できないまま問題が深刻化してしまうこともあり、そうした女性を支援するためにこの法律が作られました。
Q 男性や性的マイノリティの人たちも様々な困難がありますが、あえていま女性に特化したのはなぜでしょうか。
これまで性別にかかわらず、高齢者や生活困窮者などを対象とした福祉の法律がそれぞれ作られてきました。
また時代の変化に応じて「DV防止法」などもできましたが、いずれも対象や対応に細かな制限があり、女性をめぐる課題に対応しきれないという事情がありました。
そうした中、新型コロナウイルスが拡大したとき、深刻な状況に陥る女性がより増えました。初めて緊急事態宣言が出された直後(2020年4月)、仕事を失った男性は35万人でしたが女性はその倍以上の74万人にのぼりました。その背景には不安定な非正規雇用の女性が多いことが指摘されています。DVに関しては全国の「配偶者暴力相談支援センター」・「DV相談プラス」への相談件数が2020年度は18万以上にのぼり、女性の自殺者も急に増えるなどしました。このため女性の「福祉」に特化した法律が必要だと、超党派の女性議員たちが中心となり2022年5月議員立法としてこの新法が成立したのです。
Q いよいよ来月スタートしますが具体的にはどういう内容でしょうか。
現在各都道府県には、すでに女性支援に関して、一時的な居場所や様々な情報を提供する「婦人相談所」や入所施設の「婦人保護施設」があります。
実はこれまで女性支援は67年前に作られた、ある法律に基づいて行われていました。その法律とは、「売春防止法」。
売春をする女性や、そのおそれのある女性を「婦人保護事業」として「保護」し、「更生」させることを目的に作られました。しかし「収容して指導する」という発想は時代に合わなくなってきていて実際、婦人保護施設の入所者の利用率は現在、定員の2割にも至っていません。そこで、女性支援新法では現代の、困難な問題を抱える女性にもっと「寄り添って助けていく」という理念に変わりました。
Q 新しい理念にそってどのような支援が行われるのでしょうか。
よりこまやかで継続的なサポートが行われることになっています。
支援機関の名称も変わって、婦人相談所は「女性相談支援センター」へ、入所施設の婦人保護施設は「女性自立支援施設」になります。
特に鍵になるのが、専門的な知識とスキルを持つ相談員です。こちらも現在の「婦人相談員」が「女性相談支援員」へと呼び名が変わります。都道府県などの役所や施設に所属していますが、保護するだけでなく役所の手続きに同行したり、弁護士や医療関係者など専門家をつないだりして一緒に本人を支えるなど、これまで人数も少なくなかなか行われてこなかったこまやかで継続的なサポートをしていくことが想定されています。
Q 同じ人に相談ができて、その人がコーディネートしてくれるのは安心ですが女性相談支援員はそんなにたくさんいるのですか?
新法では市町村にも配置することが努力義務になりますが、今はまだなり手も十分ではありません、今後ニーズに応じて研修をしたり待遇を改善したりして、体制を強化することが必要と言われています。
Q ほかに新法の特徴はありますか
相談しやすさと継続的サポートを実現するために、より生活に近い民間団体も一緒に対応することが謳われています。
法律作りの参考にされたひとつが、東京・国立市で行われている独自事業です。
「くにたち夢ファームJikka」というNPO法人や民間の宿泊施設と協力しながら女性を支援しています。
たとえばDV被害を受けた女性は、市やJikkaどちらにも相談できます。それに対し市では、必要に応じて公的な機関だけでなく、市がそのために契約しているホテルやシェアハウスも含めて一時的な宿泊施設を提供します。またJikkaでは女性が施設を出たあとも自立して暮らしていけるよう、精神的ケアなど幅広く長い目で支えていきます。
Jikkaのスタッフと、国立市の支援相談員は頻繁にお互い行き来して情報を共有するほか、本人をまじえて一緒に会議をしながら、本人が望む方向で最適な方法を一緒に探していきます。
こうしてDV被害者だけでなく、たとえば非正規雇用などで暮らしに困るシングル中高年女性や家族との関係が悪化した女子高生まで、さまざまな悩みを抱える女性たちが相談できるような仕組みになっています。
この法律作りにも関わったお茶の水女子大学名誉教授の戒能民江さんは「行政とNPO法人など民間がそれぞれの強みを生かしながら対等な立場で協力し合うことでより柔軟に女性のニーズに対応できる」と話しています。
Q 何か相談したいと思ったときの相談窓口はどのようになっているのでしょうか。
お住まいの都道府県や市町村、支援団体などに窓口があります。またこの法律をきっかけにできた厚生労働省の特設支援サイト「あなたのミカタ」では女性が抱える問題にはどういったものがあるのか、わかりやすく事例が紹介されているほか、地域の身近な相談窓口が検索できるようになっています。
法律の中身の充実はまだこれからですが「こんなことで相談していいの?」という人もまずはちょっとアクセスしてみるといいかもしれません。そしてこの女性支援新法を知る人を増やしていくためにも、周りに困っていそうな女性がいたら「今はこんな法律ができたよ。ちょっと相談してみれば?」と伝えていくのもいいのではないかと思います。
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