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渡辺喜美「今の自民党にはリーダーもいなければパワーもない」…岸田首相が仕掛けた権力闘争で自らが生贄になる/みんかぶマガジン
http://www.asyura2.com/15/gaikokujin2/msg/876.html
投稿者 仁王像 日時 2024 年 2 月 06 日 07:13:57: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

渡辺喜美「今の自民党にはリーダーもいなければパワーもない」…岸田首相が仕掛けた権力闘争で自らが生贄になる/みんかぶマガジン
みんかぶマガジン による
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E5%96%9C%E7%BE%8E-%E4%BB%8A%E3%81%AE%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%82%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%91%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%83%91%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%82%E3%81%AA%E3%81%84-%E5%B2%B8%E7%94%B0%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%8C%E4%BB%95%E6%8E%9B%E3%81%91%E3%81%9F%E6%A8%A9%E5%8A%9B%E9%97%98%E4%BA%89%E3%81%A7%E8%87%AA%E3%82%89%E3%81%8C%E7%94%9F%E8%B4%84%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B/ar-BB1hJrFc?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=3f764ce591f64114a291f67e455713e5&ei=15

自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、東京地検特捜部は3つの派閥の会計責任者らを立件した。

政治資金規正法の欠陥が指摘される中、岸田文雄首相(自民党総裁)は「政治刷新本部」を新設し、政治資金の透明性を高めるため派閥から「カネと人事」を切り離すといった中間とりまとめを決定した。

今回の事件背景や政治改革の必要性などについて、かつて自民党で行政改革担当相などを務めた渡辺喜美氏に聞いた。(聞き手・経済アナリストの佐藤健太氏)
まるで昭和の自民党のようだ
――特捜部は最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)と「志帥会」(二階派)、そして岸田首相が最近まで率いていた「宏池会」(岸田派)の3派閥の会計責任者らを立件しました。池田佳隆衆院議員が逮捕、大野泰正参院議員は裁判を求める在宅起訴、谷川弥一衆院議員(辞職)は罰金刑を求める略式起訴となりました。その他の幹部議員らの立件にはハードルがあったと伝えられています。

渡辺喜美氏)今回の事件で思い出すのは「昭和の自民党」ですよ。かつて所属した自民党の古い時代を知っている私からすれば、今回の事件で報道されている金額はケタが1つくらい少ないとも感じてしまいますね。1994年に政党交付金制度ができたわけですが、今では年間315億円もの政党交付金が共産党以外の政党の資金の柱になっています。自民党も政党交付金への依存度が高いわけです。そういう中で自民党の派閥は今回のように裏金づくりのようなことをやってきたのだろうと思います。

現在の政治資金規正法というのは、会計責任者の形式犯を処罰する建て付けになっています。議員本人との「共謀」を検察が立証しなければならない。東京地検は全国からエース級の検事を集め、100人態勢で捜査していたと報じられましたが、あれだけ派手に強制捜査をやったのに「一体、何だったのか」と国民が思っているのではないでしょうか。

改革が中途半端だと、「まさか」の政権交代がある可能性も
――岸田首相(自民党総裁)は「中間とりまとめ」の中で、派閥からカネと人事を切り離すといった改革案を決定しました。岸田派、安倍派、二階派、森山派が解散する一方で、麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長が率いる派閥は維持する方向と伝えられていますが、どう見ていますか。

渡辺氏)今回の「中間とりまとめ」が中途半端で、人気回復につながらないことは明らかですよ。「派閥解消」というものを形ばかりで終わらせないためには、株式会社に会社法があるように「政党法」をつくるくらいのことをやらないと巻き返しを図れないのではないでしょうか。

国会議員は全国民の代表なのだから、党議拘束を緩和し、政党間の交差投票(cross voting)も認めるべきです。そういう根本的な解決策を打ち出す時と言えますね。現在の株価は高く、野党も大したことないとタカを括っていると、とんでもないしっぺ返しを受ける「まさか」が待っているかもしれません。

昔は各派閥で十数億円は集めていた
――自民党に派閥は欠かせないものなのでしょうか。

渡辺氏)そもそも派閥というのは、中選挙区制時代の亡霊みたいなものなんです。選挙区の定員が5であれば、5つの派閥ができた。派閥が候補者の発掘・選挙支援・教育、さらには身の上相談や「身の下相談」まで何でもありの“共同体”だったということです。

派閥の領袖を総理・総裁にすることが目的で、領袖がすべて責任を持ってカネ集めをやっていた。当時の制度にあった「指定団体」を経由して派閥に入れていれば、合法的に処理できたんです。

政治資金規正法の上限はあったものの、指定団体を通せば青天井でマネーロンダリングができた時代だった。金丸信元副総裁の脱税事件は、それをせずに「溜まり」にしてしまったんです。

昔は、政党交付金がなくて政治資金規正法も緩かったため、各派閥で十数億円は集めていたはずですよ。自民党全体では100億円を超えていたのではないでしょうか。小選挙区制に移行し、いろいろ変わらなければならなかったのに今回の事件で立件された派閥は「悪しき慣行」を続けてきたということでしょうね。

政治にはやはりお金がかかる。何にお金がかかっているのか
――やはり政治には、お金がかかるのでしょうか。

渡辺氏)公費で雇うことができる公設秘書は3人までになっています。私設の秘書を何人抱えるかによって、かかるお金が変わってくると言えます。

次の選挙を考えれば、私設秘書を雇うことになる。秘書の活動費は給料と同額程度かかると言われたものです。

事務所経費、ポスター印刷・掲示、ビラ配り、冠婚葬祭の出席や電報。特に弔電は数が多いのでカネはかかります。

私の時代になってからは小選挙区外の事務所を構える力はなくなりました。自民党を離れてからは政治資金パーティーを開かなくなったので、その収入もなくなりました。引退前には秘書は公設の3人だけです。

現在の政治資金規制法が「ザル法」である理由
――政治資金規正法が「ザル法」との指摘がたえません。与野党からは早期に改正すべきとの声があがっていますが、どう考えていますか。

渡辺氏)政治資金の規制強化の私案としては、まず政党所属の議員・候補者(予定者を含む)は政党支部を資金の受け皿として作れるわけですから、政治団体は認めない。当然、国会議員の派閥は×です。

現在の政治資金規正法は、お金の「支出」は綿密にチェックされています。少額領収書も公開されているからです。その一方で、お金の「収入」はかなり広い“間口”がある。

年間5万円を超える寄付は氏名などを収支報告書に記載しなければならないが、パーティー券は購入額20万円まで名前を出さなくていいことになっています。「収入」の公開も公職選挙法の陣中見舞いのように1万円以上にしたら良いでしょう。

裏金や埋蔵金を容易に発見できる仕組みに変えるべき
渡辺氏)寄付者側には「免税適用」と称する所得控除がありますが、これを「ふるさと納税」のように全額税額控除方式にしたら良いと考えます。「返礼品」もあり、です。例えば「国会見学できます」とか、「議員の話を聞けます」とか。個人寄付が増えれば企業団体献金の全廃や政党助成金の減額も可能になるでしょう。

上場企業の粉飾決算や有価証券報告書の虚偽報告は、社長の責任が問われます。投資家を欺く行為は罪が重いわけです。今回の裏金キックバック(還流)のような悪質虚偽記載ケースは議員本人も連座制などの形で処罰規定を作るべきですね。

また、発生主義の複式簿記会計を政治資金に導入すると裏金は作れなくなりますよ。地方自治体には総務省によりすでにその会計ソフトが開発されています。全て自動仕訳の上、BS・PL・キャッシュフロー計算書が一貫して作成できるシステムです。複式簿記の自己検証機能で裏金も埋蔵金も一発で発見できます。監査も現行の登録監査人による形式監査から、公認会計士によるパーティも含めた収入面や支出の妥当性評価の監査に変えるべきですね。上場企業の有価証券報告書並みとはいかなくとも、せめて青色申告の決算書並み以上にはできるはずです。

渡辺美智雄元副総理「党の前に国家・国民がある」
――政治改革は古くて新しいものでもあります。自民党は1989年に「政治改革大綱」を決定しましたが、その方向性通りにやってきたとは言えませんね。

渡辺氏)1993〜94年の政治改革は、政治とカネ問題を何とかしようというのが主眼だったのに、根本的な議論をしないまま表面的なものに終わったと言えますね。根本的な議論というのは、誰にも拘束されない全国民の代表としての立場と、政党の一員としての立場の整合性の問題で、西ドイツでは「政党法」を制定して解決しました。

日本では「政党」という言葉の定義は憲法にも国会法にも出てこない。にもかかわらず、小選挙区制と政党交付金がつくられ、選挙の仕方からお金の集め方まで、すべて政党中心で行われています。親父の渡辺美智雄(元副総理)がよく言っていたのは「派閥の前に党がある。党の前に国家・国民がある」という言葉です。はたして「党の前に国家・国民がある」という方はどうなっているのか。全国民の代表としての政治家という考え方はどこかにいってしまっているように感じます。

岸田首相が自ら仕掛けた権力闘争でスケープゴートになる未来が見える
――岸田首相は最近まで自らが会長を務めていた岸田派を解散すると表明し、他派閥からは反発もあがりました。今後の政局はどうなると思いますか。

渡辺氏)岸田首相の政治的な「自爆テロ」で派閥解消に論点がすり替わってしまった。茂木幹事長ら執行部は今回の裏金事件で立件が見送られた安倍派幹部に自発的な離党などを求めたことで、権力抗争の様相を呈しています。その茂木派も小渕優子さんや青木一男さんら象徴的な人達が離脱。まさにカオス状態です。

昔から自民党が危機に陥った時には「解党的出直し」が叫ばれ、中川一郎、渡辺美智雄、石原慎太郎といった人達が派閥横断的に「青嵐会」を結成したり、新自由クラブや新生党などがつくられたりしました。

しかし、今の自民党には明らかにそのエネルギーとリーダーがいない。古今東西、世の中が膿んできた時には罪や穢れを一身に背負わせて抹殺するスケープゴート(生け贄の山羊)が現れています。それによって新しいエネルギーが吹き込まれる「儀式」なのかもしれません。今後の政局を考えると、岸田首相自身がそうなる時期は早まっているかもしれない、とも感じています。  

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