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旧統一教会に解散命令請求〜今後の行方は/木村祥子・nhk
2023年10月13日 (金)
木村 祥子 解説委員清永 聡 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/488568.html
旧統一教会をめぐって、文部科学省は13日、東京地方裁判所に解散命令を請求しました。
質問権を使った調査を始めて11か月あまり。
請求にあたって「時間がかかり過ぎたのでは」という指摘も出ています。
その理由と今後の裁判の行方についてお伝えします。
【解説のポイント】
@ 解散命令請求〜長期化した背景
A 裁判の行方は
B 解散命令を見据えた攻防 です。
【解散命令請求】
文部科学省は13日午前、東京地方裁判所へ解散命令を求める申立書と証拠書類を提出しました。
今後、舞台は裁判所に移ります。法廷は開かれず非公開で審理が行われます。
旧統一教会は「偏った情報に基づいて、政府がこのような重大な決断を下したことは痛恨の極みです」などとしています。
この解散命令請求の検討は昨年から行われていました。なぜきょうになったのでしょうか。
【長期化の背景】
それは「質問権」の調査に時間がかかったからです。
質問権とは宗教法人に法令違反などが疑われる場合、文部科学省は組織運営の実態などについて報告を求めたり、質問したりできるもので、質問権の行使は今回が初めてです。
調査の手続きには「煩雑さ」と「限界」があります。
文部科学省は教団に対してこれまで7回にわたって500項目以上の質問を行いましたが、
その都度、宗教界や大学教授らで作る「宗教法人審議会」を開き、内容を諮問、了承を得るという手続きを繰り返してきました。
これは質問権の乱用や恣意(しい)的な運用を防ぐためで、憲法で保障された「信教の自由」に配慮したからでした。
一方、教団からの回答は回を重ねるごとに減少し、結果、2割にあたる100項目以上で回答がなかったということです。
質問権による調査は警察の家宅捜索のような強制力はなく、また、教団が主張する「プライバシー」や「信教の自由」を前に調査が停滞し、時間がかかってしまった感は否めません。
調査がいたずらに長引けば、重大な証拠が隠滅される可能性もあります。
いかに迅速に行っていくのか、課題を残した形となりました。
【裁判のポイントは】
今後の裁判のポイントはどうなるのでしょうか。
それはこちらです。
「法令に違反して、著しく公共の福祉を害することが明らかに認められる行為」など。宗教法人法で解散の要件の1つ。つまり裁判所がこうした条文に該当すると判断するかどうかです。
まず「法令」という言葉から見ていきます。
ここには「民法」とも「刑法」とも書かれていません。政府は当初「刑事事件が必要だ」としていましたが、その後「民法の不法行為も含まれる」と修正しました。
一方、教団は「民法は含まれない」などと主張しています。
これは95年のオウムの解散命令の際に東京高裁が「刑法等の」という言葉を含む決定を出したことが元になっています。
私は今回、裁判の経験が豊富な複数の元裁判官に取材しました。
当時を知る元幹部の1人は「当時オウムの事件が相次ぎ社会が騒然としていた。そうした背景から『刑法等』と例示したにすぎないのではないか」と指摘します。
私が取材した中で、刑事事件に限定すべきと答えた元裁判官はいませんでした。
【顕著で明白】
もう一つのハードルがこちら。「著しく」「明らかに」という点です。単に違法というだけでなく「顕著で明白」が求められます。
政府は「悪質性」「組織性」「継続性」の3つが揃ったとしています。
一方、教団はこれまで「3つのいずれもない。2009年に『コンプライアンス宣言』を出して改革を進めている」などと主張しています。
元裁判官の1人はこの3つのうち特に「悪質性」を重視すると答えています。
例えば正体を隠し「だまして」金を出させる、あるいは、詐欺など犯罪性を帯びた事例などを重視するという意見もありました。
被害の重大さを挙げる意見もありました。金額だけでなく家族が受ける精神的な打撃の大きさ、一家崩壊など結果の重大さを確認したいという意見もありました。
国は総合的に事実を積み上げ証明することができるかが、重要になってくるとみられます。
【コンプライアンス宣言後は】
継続性にも関わるのですが、教団が主張する2009年の「コンプライアンス宣言」後はどうなっているのでしょうか。
教団からの被害の救済に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会=全国弁連」によりますと、コンプライアンス宣言後も140件、合わせておよそ19億円の被害が出ているといい、宣言後も多くの信者に対して正体を隠した勧誘や献金、中には献金について「返金や訴訟を起こさない」という念書を書かせていたケースもあったということです。
文部科学省はこうした全国弁連からの情報や、職員を全国各地に派遣して、高額献金の被害を訴える元信者らへの聞き取りを進め、時間をかけて証拠を積み重ねてきました。
その結果「同様の被害が全国で起きていることがわかり、教団の組織性、悪質性、継続性があると認定し、解散命令請求ができる」と判断したのです。
【オウムの解散命令は】
これから裁判所の審理はどのようにしてどの程度の期間行われるのでしょうか。
私は30年近く前オウム取材班に加わっていて、オウムの解散命令の際も取材をしていました。
こちらは当時の解散命令請求の取材資料です。保存していたものです。この資料を元にオウムの時の解散命令までの流れを紹介します。
解散命令請求は95年6月30日。その1か月後(7月28日)にはオウムから反論の書面が提出されます。
10月2日には裁判官が「サティアン」と呼ばれた教団施設に出向いて検証を行い、6日には双方の意見を聞く審問が行われました。
そして地裁は10月30日に解散命令を出しました。
ここまでおよそ4か月です。
今回、文部科学省が裁判所へ提出した証拠は5000点に上るため、もう少し時間がかかるかもしれません。
ただ、教団側は争うことができますよね。確定まで時間がかかるのではないですか?
解散命令が確定すれば、財産は処分しなければなりませんが、最高裁まで争うことも可能です。
しかし実は、高裁で認められた時点から財産を清算する手続きに入ることも可能になります。
実際にオウムの時には高裁の決定の翌日に清算人が選ばれています。
仮に争い続けた場合、高裁の判断も1つのポイントになってくるでしょう。
【解散命令を見据えた攻防】
そこで今回、大事になってくるのは教団の財産保全の問題です。
現在の宗教法人法には解散命令が請求されても法人の財産を保全する条項はありません。
このため全国弁連は「解散命令が審理されている間に海外送金などにより財産が散逸・隠匿されれば被害者は泣き寝入りせざるを得えない」として、請求を受けた宗教法人の財産を保全する『特別措置法』の整備を早急に行う必要があると訴えています。
さきほど紹介したオウムの資料の中にも、審理のさなかに教団の不動産を別人や会社名義にするなどの動きがあったことが記され、資産隠しではないかとみられました。
こうした過去の事例からみても、解散命令請求の段階から、資産を流出させない仕組みは必要になってくると思います。
【解散命令請求はスタートライン】
「30年以上主張し続けてきた申し立てがようやく実現されることになる」。
長年、教団による霊感商法や高額献金などの被害に対応してきた弁護士たちの言葉です。
ただ、今回の解散命令請求はスタートに過ぎません。
申し立ての行方とは別に、多額の献金による被害者と、信者を親に持つ「宗教2世」で長年人権を侵害され、苦痛を受けていた人たちに対する支援も急ぐ必要があります。
司法には迅速な判断を望むとともに、被害を受けた人たちへの国による継続的な支援体制と社会の理解がいっそう進むことが強く望まれます。
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