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日本共産党が中国共産党と和解するのはなぜか 岸田文雄政権の防衛費拡大への危機感が後押し/東洋経済オンライン
岡田 充 によるストーリー • 昨日 9:30
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A%E3%81%8C%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A%E3%81%A8%E5%92%8C%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%8B-%E5%B2%B8%E7%94%B0%E6%96%87%E9%9B%84%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%AE%E9%98%B2%E8%A1%9B%E8%B2%BB%E6%8B%A1%E5%A4%A7%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8D%B1%E6%A9%9F%E6%84%9F%E3%81%8C%E5%BE%8C%E6%8A%BC%E3%81%97/ar-AA1bBeiV?ocid=hpmsn&pc=EUPP_LCTE&cvid=ae81e54364974b13a38a5ff7c37bef4c&ei=17
1998年、それまで対立してきた日本共産党と中国共産党の関係が修復した。当時の不破哲三委員長(左)と志位和夫・現委員長。ところが、2016年、再び断絶を導く事件が発生する(写真・共同通信)
1998年、それまで対立してきた日本共産党と中国共産党の関係が修復した。当時の不破哲三委員長(左)と志位和夫・現委員長。ところが、2016年、再び断絶を導く事件が発生する(写真・共同通信)
© 東洋経済オンライン
尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権問題や中国の人権問題などをめぐり、「断絶状態」にあった日本共産党と中国共産党が2023年5月、和解へ向けた第一歩を踏み出した。背景には、岸田文雄政権が中国を軍事的に抑止する「大軍拡路線」が日本世論の支持を得ていることへの危機感がある。軍拡が両者の背中を押したのだ。
「中国の立場と共通」と評価
日本共産党の志位和夫委員長は2023年5月4日、在日中国大使館を訪問し呉江浩駐日大使と会談、悪化する日中関係の打開に向けた両国政府への「3項目提言」を手渡した。呉大使は提言に賛意を示し、「中国の対日政策の参考にする」と答えた。
日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によると、志位は「両国政府に受け入れ可能な提言にするとともに、(日中関係を)前向きに打開するうえで実効性のある提言にした」と呉に説明。さらに両党関係について、「さまざまな見解の違いがあり、その立場に変わりはないが提言の中にはすべて入れなかった」と述べた。
これに対し呉は、同党が日中関係の悪化を憂慮している姿勢を高く評価すると回答。「提言は全体として中国政府の立場と共通する方向性が多い」と評価した。
志位が中国大使館を訪れ大使と会談するのは2012年9月以来。会談は日本でも短く報じられたが、両党が2016年以来対立して断絶状態にあった事情を知る人は少ないはずだ。
提言内容は、@日中双方が「互いに脅威とならない」とした2008年の「日中共同声明」に反する行動をとらず合意を誠実に履行、A尖閣問題については2014年の日中両政府の「4項目合意」を踏まえ、「対話と協議」を通じて問題解決を図る、B東南アジア諸国連合(ASEAN)が提唱した「ASEANインド太平洋構想(AOIP)」を共通目標として、東アジア平和の地域協力の推進、の3項目。
志位は大使館訪問の約1カ月前となる3月30日、岸田首相と会談して同じ提言を申し入れている。岸田は、@「互いに脅威とならない」との合意は大事な原則であり、日本政府も維持、AAOIPは日本政府も支持、と賛意を示した。共産党は、同日までに提言を中国側に届けたという。
両党の事情に詳しい関係筋によると、日本共産党は2023年2月から提言内容について関係筋とすり合わせ作業を開始したようだ。3項目の@は、胡錦涛前総書記が2008年に来日した際、福田康夫・元首相とサインした「戦略的互恵関係」に関するコミュニケでうたわれた。
安倍晋三元首相も2018年10月の訪中で、習近平国家主席に対し@競争から協調へ、A互いに脅威とはならない、B自由で公正な貿易体制を発展の「新三原則」を提起し、習も@とAについて同意した経緯がある。
一方、岸田政権は2022年12月に閣議決定した安保関連3文書で、中国を軍事的に抑止する敵基地攻撃能力(反撃能力)保有と、5年間で防衛予算を国内総生産(GDP)比2%に倍増させる大軍拡路線を決めた。
党関係改善へ「4項目合理」盛る
中国側はこれを、中国敵視に基づく包囲網政策として強く反発、共産党は両国の関係改善のためには「互いに脅威とならない」は必須と考えた。
尖閣問題について日本共産党は「日本固有の領土」とみなし、日本政府とほぼ同様の立場をとり、中国と対立する最大要因だ。提言Aの「4項目合意」とは、2014年11月両国政府が北京で合意した「日中関係の改善に向けた話合い」に関する文書を指す。
その第3項は「双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有している」とし「対話と協議」を通じて「不測の事態を回避」で合意したのである。
この第3項について中国側は「新たな棚上げ」と解釈するが、日本側は「尖閣など東シナ海海域と書いたのであり、領有権に関する合意ではない」と、異なる解釈をする典型的な「玉虫色合意」だった。
4項目合意について日本共産党はこれまで、「安倍が首脳のシャトル外交を再開するために出した『通行手形』のようなもので意味はない」(関係筋)と極めて冷淡な反応を示してきたから、この合意を入れたのは対中姿勢の変化と言える。
このため提言に入れたのは「中国に向けた関係改善のサイン」と考えていい。@とBは日中両政府に向けたもので、岸田の肯定的回答はそれを裏付ける。
提言を中国大使館に提出した3月、呉大使は提言について「やや意外だった」という反応を示し「本省に支持を仰ぐ」と、同党に回答したという。「やや意外」とは、志位がこれほど早く中国に和解を求めてくるとは想像していなかったという意味であろう。
中国で政党間の交流や協力を担当するのは外交部ではなく、党中央対外連絡部(「中聯部」、部長は劉建超氏)。中聯部で日本や朝鮮・モンゴルを担当するのは第2局。おそらく第2局は、提言について、王毅政治局員がトップの「中央外事工作委員会弁公室」に指示を仰いだはずだ。そして王毅を通じ習に「お伺い」を立てた。両党の関係修復は中国トップのマターなのだ。
断絶と修復の歴史
日中両党の関係は、中ソ対立や文化大革命など国際共産主義運動と中国共産党の政策をめぐって動揺し続けてきた。文化大革命の評価について1966年3月、毛沢東と宮本顕治の首脳会談が決裂し交流は断絶した。
関係が修復するのは、不破哲三 (1930〜)委員長当時の1998 年 6 月、北京での両党会談だった。中国側は関係修復に伴い、同年8月「赤旗」と産経新聞の北京支局再開を認めた。不破体制下の共産党は、中国の社会主義市場経済を「新たな探求」として肯定的に評価した。
しかし2000年に委員長に就任した志位は、尖閣や南沙諸島問題など領土問題や、チベット・ウイグル・香港デモなどの人権問題をめぐり次第に中国批判を開始した。
とくに習近平体制に移行(2012年)後の2014年に行われた日本共産党第26回党大会は、中国を「覇権主義や大国主義が再現される危険もある」と公然と警告した。
そんな危うい関係を断絶に導く事件が発生した。それがマレーシア・クアラルンプールの「アジア政党国際会議」(ICAPP 2016年9月1〜3日)での両党対立。代表団長として出席した志位らによると、日本共産党代表団は総会宣言に「核兵器禁止条約の国際交渉のすみやかな開始を呼びかける」という文言を盛り込むよう主張した。
これに対し、中共代表団は「こういう文章を入れることは、侵略国の日本がまるで被害国のように宣伝されてしまう」などと反対、中共代表団がこの部分の削除を要求して宣言から記述は削除された。
日共側は、中共の対応を「覇権主義的なふるまい」として強く反発。翌年2017年1月の共産党第27回党大会は、@核兵器問題での深刻な変質、A東シナ海と南シナ海での力による現状変更をめざす動き、などを挙げ「新しい大国主義・覇権主義の誤り」と、中国名指し批判に踏み切った。
両党関係に詳しい横浜市立大学の矢吹晋名誉教授によると、志位は2017年に秘密訪中し習近平と会談した。その目的は関係修復にあったのだが会談は決裂し、再度の断絶に導く訪問となった。
志位の大使館訪問に話を戻す。会談した両者は、クアラルンプール会議について「ページはめくられた。今後はこの問題を互いに触れない」ことで合意した。志位は呉に「さまざまな見解の違いがあり、その立場に変わりはないが提言の中にはすべて入れなかった」と説明しており、決して全面和解ではない。
両者が和解に向け歩み始めたのは、岸田の中国敵視政策に基づく軍拡路線に対し、日本世論の支持が予想以上に高いことにある。朝日新聞の読者層ですら「防衛力をもっと強化すべきか」の質問に賛成が6割を超えた。岸田政権支持率も上昇機運にある情勢に、両党が危機感を共有したことが接近の背中を押したことになる。
軍拡批判と中国対立の不整合
日共側の事情をまとめれば、@岸田政権の大軍拡の前提は中国脅威論にあり、大軍拡を批判するうえで中国批判は整合性がとれない、A機関紙読者の減少、各種選挙での退潮は止まらず、中国批判によって党勢は回復しない、B党内外から対中政策見直しを求める突き上げ、などが挙げられる。
中国側は関係断絶を決定した志位自身が和解の申し入れに来たことを奇貨とし、和解を受け入れたのは間違いない。中国共産党は、日共を含め、反軍拡を掲げる市民団体との連携を強めており、幅広い統一戦線工作の構築に乗り出した。
今回は和解に向けた第一歩にすぎない。ただこれまでの中国批判は、次第に影を潜めていくはずだ。当面は両党とも様子を見ながら、今後の展開を見定める方針のようだ。(一部、敬称略)
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