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選挙遊説で再び襲撃 警護の「隙」どうする/木村祥子・nhk
2023年04月19日 (水)
木村 祥子 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/482352.html
今月15日、選挙の遊説中に現職の総理大臣が襲われました。
安倍元総理大臣が参議院選挙の応援演説中に銃撃され死亡した事件からわずか9か月余。
再び要人が狙われ、不特定多数の人が集まる選挙遊説での警護の難しさを改めて浮き彫りにました。
警護の「隙」はどうしたら埋められるのか。
選挙遊説における要人警護のあり方について考えます。
【解説のポイント】
@ 警護態勢はどうだったのか
A 襲撃を防ぐには
B 「隙」のない警護態勢を作るために
【警護態勢はどうだったのか】
まず、事件を振り返ります。
今月15日、選挙応援のため和歌山市を訪れていた岸田総理大臣が演説場所に移動し、街頭演説を始めようとしたその時、突然、総理のすぐ近くに銀色の筒が落下します。
容疑者は警察や漁業者などに取り押さえられました。
そして容疑者が取り押さえられてから50秒ほどしたあと、爆発音とともに岸田総理大臣が立っていた場所の近くから白い煙が上がりました。
警察は兵庫県川西市の木村隆二容疑者(24)を威力業務妨害の疑いで逮捕しました。
木村容疑者はこれまでの調べに対し、黙秘をしているということです。
今回、警護の態勢はどうだったのでしょうか。
警察庁は警備上の観点から警護の人数などについては明らかにしていません。
今回も何人の警察官を配置していたかはわかりませんが、映像をみる限り、岸田総理大臣の直近を警視庁のSPや和歌山県警の警察官が固めています。
さらに集まった聴衆についても不審な人が紛れ込んでいないか、様々な角度からチェックする制服や私服の警察官が相当数いたとみられます。
安倍元総理大臣の事件以降、警護態勢の一新を図り、去年8月には警護の基本を定めた「警護要則」をおよそ30年ぶりに改訂しました。
これまで都道府県の警察に任せていた要人の警護計画について、警察庁がすべて事前に審査し、必要な修正を指示する制度が設けられました。
今回は和歌山県警が「警護・警備計画」を作成し、これを警察庁が確認・審査をしたということです。
また、銃撃事件を機に導入された「予備審査」。
警察庁が地元の警察と合同で事前に現場を確認するという仕組みです。
しかし今回は「演説などが頻繁に行われる場所ではなかった」ことなどから「予備審査」は行わなかったということです。
警察庁によりますと今回の「警護・警備計画」の作成や、審査などには時間的な余裕があり、和歌山県警とも態勢を構築するなど必要な措置は講じていたとしています。
しかし、爆発そのものは防げませんでした。
会場に潜むリスクが見落とされた可能性はなかったのか。
警察当局にはしっかりと検証してほしいと思います。
【襲撃を防ぐために】
今回の事件は去年の銃撃事件と同様に、選挙の遊説中、市民との距離が近く、誰でも立ち入れる場所で起きました。
現場をみると、総理大臣と聴衆の間には高さが1メートルほどの柵はあるものの、握手を求めたり、スマートフォンで撮影をしたりと、総理大臣の目の前まで容易に近寄づくことができました。
国のテロ対策の委員も務める日本大学危機管理学部の福田充教授は「SPはいるものの総理大臣と周囲が無防備な状況になっており、警護態勢を根本的に見直す必要がある」としています。
選挙では政治家は「1人でも多くの人に訴えたい」「より身近に触れ合いたい」という思いがあります。
「ふれあい」と「安全」をどう両立させるのか。
福田教授は要人が選挙で遊説を行う際には次のような方法があると提案しています。
▽1つ目は公民館やホールといった「屋内」での実施です。
参加する人に入り口で手荷物検査などができるので、十分、犯罪抑止力になるといいます。
▽2つ目は、屋外でやることになれば、場所は大きな駅にあるロータリーがよいということです。
そこに街宣車を置き、屋根の上に立って演説をする。
そして街宣車の背後にもう一台、バスのような大きな車を置くのだそうです。
そうすることで背後からのリスクに備えられるといいます。
また、街宣車と聴衆の位置を10メートルから20メートル離すことで「距離」も確保できます。
屋根の上で演説をしているので「高さ」があるためナイフなどで襲われる心配はないし、
万が一、銃や爆弾を投げ入れられても「高さ」と「距離」があるため、外れる可能性は平場よりは高く、この方法であれば人の出入りを規制したり、手荷物検査をしたりする必要もなくなるといいます。
福田教授は「政治家が選挙の際に有権者の中に入っていく。そういう基本を大事にしつつ、安全も守っていく。今後はこうしたギリギリのところを探っていくことが求められる」と話しています。
和歌山の現場では不審な兆候があれば、手荷物検査や職務質問をするといった指示は出ていたということですが、会場には検査場などは設けられていませんでした。
有権者と接触する活動を阻害せず、どのように警備を強化していくのか、大きな課題が残されました。
【「隙」のない警護態勢を作るために】
今回の事件で逮捕された木村容疑者は調べに対し黙秘を続けているため、犯行動機や背景などはわかっていません。
捜査関係者によりますと、特定の組織に属しているとか、特定の思想を持っているとか、そういった情報は「ない」ということで、組織に属さずに単独犯の可能性があるということです。
また警察は投げ込まれた爆発物は形状などから「鉄パイプ爆弾」の可能性があるとみて調べています。
木村容疑者の自宅の捜索では火薬とみられる粉末や金属製のパイプのようなもの、それに工具類が見つかったことなどから容疑者が自分で作った手製の爆弾とみています。
こうした手製の凶器は去年7月に安倍元総理大臣が銃撃された事件でも起訴された被告がインターネットの情報をもとに自分で作ったとみられる銃が使われています。
反社会的な組織に所属しているわけでもない一個人が「過激化」し、インターネットを参考に自作した銃や爆弾で襲撃するという犯行は事前の動向把握が極めて難しく、事件の兆候をつかむことは容易ではありません。
警察庁ではインターネット上のテロや有害な情報を収集・分析したり、爆発物や銃器の原材料を購入する際には本人確認の徹底を求めたりするなど、対策を進めています。
事件を受け、ことし9月からはインターネット上の銃や爆発物の製造に関する情報のサイバーパトロールに、危険性が高いおそれがある情報を「有害情報」として自動抽出するAI=人工知能を導入する方針を固めました。
引き続き、こうした分野に目配りをしつつ、対策を地道に進めていくしかないと思います。
民主主義の根幹である選挙のさなかに、言論を暴力で封じ込めるような行為は断じて許されることではありません。
政治家が有権者の中に入っていき、訴えるスタイルは今後も継続されていくでしょう。
しかし、街頭演説の安全が脅かされている以上、政治家側もより一層、安全に配慮して選挙活動を行っていく必要があると思います。
警察と政党などが意思疎通を図りながら「隙」のない警護態勢をつくれるのか。
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