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学校の施設や設備が原因の事故が多く起きていると消費者事故調が注意を呼び掛けています。事故を防ぐには何が必要か解説します/水野倫之・nhk
2023年04月04日 (火)
水野 倫之 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/481566.html
多くの学校で今週から新学期、期待に胸膨らませているお子さんも多いのではないでしょうか。
ただその学校の施設や設備が原因の事故が多く起きているとして、消費者庁の安全調査委員会・消費者事故調が注意を呼びかけています。水野倫之解説委員が解説します。
今回の調査のきっかけは、6年前に福岡県の小学校で起きたフットサルのゴールポストが倒れ、児童が死亡した事故。
その後も学校の施設や設備が原因の事故が続いていることから、消費者事故調は公立の小中学校の実態調査を進め、先月報告書をまとめた。
報告書によるとまず死亡事故は、去年3月までの10年間に、9人が亡くなっている。
最も多いのは窓からの転落で、教室の窓の脇の棚などに上ってバランスを崩し、転落するケースが多く報告されている。
また、ゴールポストの死亡事故では、ポストが固定されていなかった。
ほかにも校庭の大型ネットの支柱が腐食で折れてぶつかったり、椅子からの転落、吹き抜けからの転落などによる死亡事故が報告されている。
またけがをした事故について去年3月までの5年間に起きた103件を分析したところ、窓のガラスで腕などを切る事故が最も多いが、下駄箱やテントが倒れけがをする事故もあり、設備の点検がしっかり行われていれば防げたケースもかなりあることがわかったという。
その学校の施設や設備の安全点検は法律で教職員が各学期に1回以上行うことが義務付けられているが、事故調によるとほぼすべての学校で点検が行われているという。
なのになぜ事故が起きるのか?
点検のやり方に多くの課題があることがわかったという。
各学校では文部科学省の資料に基づいて点検表を作成し、安全点検をしているが、事故調が365の小中学校の点検票を調べたところ、点検の項目ややり方が記載されていないケースが多くあった。
例えば教室というように場所しか記載されておらず、教室のどこを点検するのか具体的に書かれていないケース。
それから教室の「窓」など点検項目は示されていても、子どもが乗りそうな棚などが置かれていないかどうかなど、点検方法が具体的に書かれていないケースが目立ったということ。
そこで事故調が小中学校4校を訪問して調べたところすべてで、窓の脇に机などが置かれて転落の危険のある場所や、棚が固定されておらず転倒の危険性のある場所が確認された。
事故調では、点検表が具体的でないなど効果的な安全点検の手法が確立していないことが、事故多発の原因の可能性があるとしている。
そこで文部科学省に対して、まずは窓と棚について緊急の点検を行うこと、また点検表の改善など安全点検の効果的なやり方を検討することを求めた。
これに対して文部科学省は安全点検の方法が具体的でなかったことを認めたうえで、まず緊急点検については、専門家会合でどこをどのように点検するのか具体的に決めた上で、大型連休明けに各学校に点検を求めることにしている。
また点検表の内容など効果的な点検方法についても専門家の意見を聞いて今後詳細を決めて各学校に通知したいと。
子どもの安全にかかわるわけなので、よりスピーディな対応が求められる。
それと今回事故調は文部科学省に対して、もう一点対策を求めた。
教員への支援。安全点検は先生たちにとって、簡単ではないから。
実際学校で安全点検はどのように行われているのか、千葉県柏市の小学校を取材。
児童数100人余りの小規模な学校で、校内の43か所を校長以外の12人の教員全員が一人3か所から5か所を分担する形で、毎月1回安全点検を行っている。
その際チェックするのが学校が作成した点検表。
例えば教室については、戸がはずれやすくないか、スムーズに動くか。
床の破損はないかなど23項目にわたって点検項目が示されていてかなり具体的だった。
安全点検には特に力を入れているということで、先生たちはこの点検表に沿って、教室のドアであれば実際に開け閉めしてはずれたりしないかチェック。
教室の壁の掲示板については、全体を手のひらでなぞるようにして確認する。
なぜそんなことをするのか?
先生は「画びょうをつけたり外したりする際に、画びょうの頭だけ取れて中の針が壁に残ったりすることがあります。そうした危険な突起物がないか実際に手で触りながら確認します」と話す。
実際にこどもがけがしたことがあるわけではないということだが、子どもは廊下を歩くときに壁をずっと触りながら歩くなど、大人では考えられない行動をすることがあり、長年の教師の経験からこうした点検方法を取り入れたということ。
また安全点検の結果、改良した設備もあった。
窓から身を乗り出して転落することがないよう、ストッパーをつけて全開とならないようにしたということ。
このほか校庭の遊具も、鉄棒の腐食が進んでいないかどうかゆすって確認したり、バーの金属がささくれだってけがをすることがないよう実際に手で握って確認していた。
ただ毎月入念に点検を行うのは授業の準備や子供たちの指導で忙しい先生にとってはかなり負担だという。
実際、文部科学省は時間外勤務が月に45時間を超えないよう指導しているが、小学校教員の37%、中学校教員の54%が45時間を超えている。
また教員は安全の専門家ではなく、今回取材した先生も、遊具の腐食がどこまで進んでいるのか把握するのは簡単ではないと話していた。
そこで報告書では、教員の勤務実態も踏まえて外部人材の活用促進も求めた。
例えば労働現場の安全に詳しい労働安全コンサルタントなどの専門家の登用が考えられるとしている。
地域によってはすでに専門家と連携した取り組みを進めているところもある。
横浜市の中学校では、科学技術が専門の技術士の有志のグループが学校に協力し、ボランティアで教員の安全点検に同行してアドバイスしている。
これなら先生も心強い。
なんでも先生ではなく、遊具の腐食など劣化状況がわかりにくい設備は専門家に任せ、同時に教員の負担を減らしていく取り組みが必要になってくると思う。
ただ専門家に依頼すれば通常は費用もかかるわけで、文部科学省はこうした費用の支援策も検討し、子どもがもう被害にあうことがないよう学校の設備の安全性を高めていかなければ。
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