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https://dot.asahi.com/aera/2022110400019.html?page=1
国家権力側や多数派の立ち位置から揶揄する風潮 ネット用語「草生えた」「w」も影響?
2022/11/06 08:00
小長光哲郎
国家権力や多数派の立場から、そうでない人たちを揶揄する風潮が見られる。どのような背景や心理があるのだろうか。AERA 2022年11月7日号の記事を紹介する。
<座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?>
インターネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき(西村博之)さんが10月3日、笑いを浮かべた自らの写真とともにツイッターにそう投稿した。
その写真は「座り込み抗議3011日」と書かれた立て看板の脇で撮影された。沖縄・辺野古への米軍基地移設に反対する運動が続く基地ゲートの前だった。
ひろゆきさんのフォロワー数は200万人超。この投稿には約30万件もの「いいね」がついた。
「僕がたまらなく嫌だったのは、ひろゆきさんが『笑っていたこと』です」
こう話すのは、ジャーナリストの安田浩一さんだ。このような笑いをさまざまな場面で目にすることが増えたという。
「以前に辺野古で取材したとき、貸切バスで押しかけてきた連中が反対運動に参加している高齢者に対して、笑いながら『年寄りは臭い』などの言葉を浴びせたのを見たことがあります。外国人排斥を主張して街頭で行われる『ヘイトデモ』では、笑ってVサインをしながら在日コリアンを侮蔑する光景をよく見てきました。いずれの笑いも、真剣な怒り、生き様、言葉を無効化するんです」
■「ネット用語」の影響も
ネットの世界では「www」「草生えた」のような用語が広まっている。そうしたことも影響したのでは、と見る。
「怒った人間を軽く揶揄(やゆ)することができる言葉です。それがリアルの世界と相互乗り入れして浸透し、『笑いの作法』として日本社会を覆い尽くしてしまっている。笑いによって人をおとしめ、本気で怒って何かを訴えている人間を笑い、ちゃかすことで、自らを優位な立場に持っていくことができる。おのずと国や国会議員など権力に近い側に自分の身を置ける。そんな回路のようなものを感じます」
10月20日、ツイッター上の中傷投稿への「いいね」で名誉感情を傷つけられたとして、性暴力被害を訴えているジャーナリストの伊藤詩織さんが杉田水脈衆院議員(現・総務政務官)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であった。石井浩裁判長は杉田議員の「いいね」を違法な侮辱行為と判断し、55万円の支払いを命じた。
国会議員であり、ツイッターのフォロワー数約11万人(当時)の杉田議員。そんな国家権力側の人物が「いいね」を押せば、自分も「いいね」で続きたいと思った人が数多くいた可能性がある。判決では、その影響力の大きさを認めた。
■シニカルに物事眺める
一方で、冷笑する人たちは「マジョリティー側」に立つ意識が強いのではと指摘するのは、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所の津田正太郎教授だ。
「権力側に寄り添おうという、そんな意識はあまりなく、むしろマジョリティーの側に立ち位置をとりたいという意識が強いのでは、と思います」
SNSでは、たとえば原発問題なり表現の自由問題なりで激しく意見を交わす「戦い」がよく起きている。だが、自分の立場を明確にして論戦する人はごく一部だ。多くは「またやってるな」と俯瞰(ふかん)して見ている。特定の立場に支持や批判をして旗幟(きし)を鮮明にしてしまうと、「自分がネットで揶揄される対象になってしまうのでは」という不安があるからだと、津田教授は言う。
「俯瞰の立場から冷静に物事を見続けるほうが、心地よいわけです。ただ、その立ち位置は決して中立ではなく、マジョリティー側。だからマジョリティーが嫌がるものを皆で攻撃し、揶揄し、シニカルに物事を眺めるという方向になっていく」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年11月7日号より抜粋
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