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(回答先: (対談)佐藤優×片山杜秀「ウクライナは西側諸国と同じ価値観」というメディア主張は無理筋(NEWSポストセブン) 投稿者 HIMAZIN 日時 2022 年 9 月 30 日 18:39:48)
https://www.news-postseven.com/archives/20221001_1777499.html?DETAIL
【対談】佐藤優×片山杜秀 ウクライナ侵攻で露呈した「西側=国際社会」の限界
共著『平成史』で「平成という時代の病」を論じたのが、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏と慶應大学法学部教授の片山杜秀氏である。「ウクライナ侵攻」を論じる日本のコメンテーターから、令和ニッポンに潜む「みえざる危機」を読む。【全4回の第3回。第1回から読む】
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佐藤:いまの日本には2種類の平和ボケが蔓延している。ひとつは憲法9条があるから、大丈夫という平和ボケ。もうひとつが血なまぐさい戦場の現実も知らずに、核武装などについて勇ましく語る政治家やコメンテーターの平和ボケ。
片山:対極に位置するように見えますが、戦後平和主義がもたらしたという点では根っこは同じかもしれませんね。ウクライナに支援した防弾チョッキにしても武器じゃないから送ってもいいという理屈でした。
佐藤:私はむちゃくちゃな解釈だと思いました。防弾チョッキは殺傷能力がないと言いますが、戦場での使われ方次第なんですよ。仮にどんな銃弾でも跳ね返せる防弾チョッキを装備した兵士が自動小銃を持てば、攻撃性は極めて高まります。
片山:岸田政権は、国際社会と足並みを揃えて防弾チョッキを支援したと話したでしょう。ソ連崩壊後から“国際社会”は、便利な言葉として使われてきました。しかし世界情勢のバランスが崩れたいま、国際社会とはなんなのか、という疑問が出てくる。
佐藤:イタリアのベルルスコーニ元首相は、ウクライナ侵攻を受け「ロシアは西側から孤立したが、西側は残りの世界から孤立した」と語りました。西側イコール国際社会ではないという指摘は本質を捉えている。
片山:中国、インド、アフリカ……。あれだけの人口を抱える国々を含まない国際社会に意味はあるのか、という話ですね。
佐藤:しかも、現実には日本は“国際社会”と協調しているとは必ずしも言えません。G7のなかで、日本だけがロシア機の飛行を制限していない。それにロシアの意向はともあれ、日本はサハリン1、2からは自主的に撤退していない。
片山:なるほど。建前では、国際社会と協調するけど、現実はそうでもないと。ウクライナ侵攻後のロシアとの関係に備えて、保険をかけるという意味で悪い話ではない気がしますが。
佐藤:見方を変えれば、岸田政権の機能不全がリスクを分散させたとも言えます。岸田総理の側近、経産省、国交省の間で対ロシアにおける調整が行なわれていないだけという可能性があります。
片山:戦前、戦中を想起させる状況ですね。当時も総理大臣の権限が弱かったから、内閣、議会、陸軍、海軍などが各々勝手に動いて統制がとれずに最後はバラバラに崩壊した。岸田政権にも、弱腰で何を目指しているのか分からないという批判があります。
佐藤:岸田さんのやりたいことは、ひとつだけはっきりしているんですよ。それが、菅政権よりも1日でも長く権力を維持すること。そのために、支持率が上がることならなんでもやる。
片山:そう考えると岸田政権の行動原理も説明できます(苦笑)。
佐藤:岸田政権の対ロ政策で言えば、鍵になったのは3月1日に行なったプーチンへの個人制裁でした。プーチンは日本に資産を持っていない。制裁をかけても実害がないから影響は少ないだろうと日本の外務省は考えた。でも、これが間違いでした。ロシア人の発想は違う。実効性がないにもかかわらず、制裁を科すのは嫌がらせだと受け止める。つまり「岸田にケンカを売られた」と。その答えが、平和条約交渉の停止であり、岸田さんの入国禁止です。
片山:安倍元首相の遺族にはプーチンから弔電も届きました。安倍政権下なら、プーチンとの個人的な関係もあり、対ロ政策も変わっていたのでしょうか?
佐藤:2014年のクリミア併合と似た対応になったと思いますよ。ウクライナは日本と離れていますが、国際社会も日米同盟も大切だからその範囲でお付き合いしますよ、と一定の距離を置いた。安倍政権下なら、プーチンへの個人制裁はなかったはずです。
(第4回につづく)
- (対談)佐藤優×片山杜秀 『東京ラブストーリー』リメイクが描き出した日本経済の衰退(NEWSポストセブン) HIMAZIN 2022/10/02 15:12:10
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