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@自民党は改憲案について正直に語るべきだ 嘘をついてもいずれ隠し切れない/小林節・日刊ゲンダイ
公開日:2022/07/16 06:00 更新日:2022/07/16 06:00
小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/308365
改憲論議がいよいよ具体的に動き始める今だからこそ、一番の権限と責任のある自民党に対して改めて言っておきたいことがある。つまり、「改憲案について『正直に』語るべきだ」と。
自民党は、ホームページでも広報資料でも改憲推進集会の挨拶でも、必ず、「『国民主権』『人権尊重』『平和主義』の、現行憲法の三原則は堅持する」と前置きをする。しかし、そのうえで自民党が提案している改憲案は、この三原則に明らかに反している。
現行憲法99条は、主権者国民の最高意思である憲法を政治家等の公務員(つまり権力者)が尊重擁護することを命じている。「国民主権」である。ところが、自民党が2012年に党議決定した改憲草案102条には真逆なことが書かれている。1項で国民に憲法を尊重することを命じ、2項で政治家等の公務員にその憲法を擁護することを命じている。つまり、国民が憲法を尊重するように政治家等の公務員が監視・管理する仕組みになっている。これでは紛れもなく「権力者主権」である。
A最大の課題は説得力のある「一つの改憲案」が提示できるのか/小林節慶・日刊ゲンダイ
公開日:2022/07/15 06:00 更新日:2022/07/15 06:00
小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/308284
改憲に前向きな会派の国会議員が両院の3分の2以上に達し、少なくとも自民・維新・国民の3党が一致して提案すれば国民投票で過半数の承認を得られる可能性が出てきた。
しかし、次なるハードルがある。それは、3党or4党で合意できて、かつ、国民の過半数を納得させることのできる「一つの」改憲案を提示できるのか? である。
そこで、その材料を捜すために4党の改憲案を確認してみると、次のとおりである。
【自民】@自衛隊を憲法に明記する。A緊急事態条項を新設する。B参院選挙区の合区を解消する。C教育を充実させる。
【公明】
@新しい理念(例:プライバシー)など改憲でしか解決できない課題があるか、検討する。A自衛隊違憲論を解消するために自衛隊を憲法に明記する意見があるが、多くの国民は自衛隊を違憲とは見ていない。B緊急事態に議員任期の延長を認めるべきか、議論を重ねる。
【維新】@教育の無償化。A統治機構改革(道州制)。B憲法裁判所の設置。C自衛隊を憲法に明記する。D緊急事態条項の制定。
【国民】@緊急事態条項の新設。Aデータ基本権(自己情報管理権)の新設。
このように、4党のスタンスは微妙に異なっている。しかも、公明は改憲には明らかに消極的である。しかし、前回の本欄で指摘したように、既に、自民・維新・国民が一致して提案できれば改憲が可能な政治状況にある。そして、3党に共通する改憲の課題は「緊急事態条項」の新設である。
緊急事態条項とは、戦争、天変地異、感染症の急拡大(パンデミック)といった非常時に、国家として迅速に対応するために憲法を一時停止する条項である。三権分立による合議と人権尊重による慎重な権力行使という、憲法の原則を一時停止して、首相に国家の全権を集中し、かつ、人権を停止して、国難を乗り切る手法である。
私自身は現行の非常事態法制を整備すれば十分だと思うが、まずは自民・維新・国民の3党で緊急事態条項について議論を詰めるべきである。
その過程を公開すれば、主権者国民(改憲の決定権者)の理解を深める一助にもなるはずだ。
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