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「くらしはどうなる?富士山噴火の火山灰被害」(みみより!くらし解説/二宮徹・nhk
2021年11月30日 (火)
二宮 徹 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/457827.html
日本には111の活火山があり、このうち富士山については、国と専門家が、首都圏に降る火山灰対策の検討を進めています。今回は、富士山噴火の火山灰被害について、お伝えします。
<富士山噴火の火山灰想定>
最近の富士山は地震活動も低調で、目立った変動もありませんが、前回の宝永噴火から300年が過ぎています。専門家はいつ噴火してもおかしくないとしていて、国も前回並みの噴火を想定した対策の検討を進めています。
火山灰がどこにどれくらい降るか、去年、内閣府が公表したシミュレーション結果です。濃い緑色が3センチ以上、黄色が10センチ以上、オレンジが30センチ以上です。この範囲は風の向きや強さで変わります。
前回の1707年と同じ規模を想定し、今度はやや南寄りの西南西の風とした場合、半月後に、神奈川県相模原市で30センチ、東京・新宿区で10センチ、千葉県成田市で3センチなどと予想されます。
噴煙はおよそ20キロの高さまで噴き上がり、上空の偏西風に流されて、およそ2時間後に東京でも火山灰が降り始めます。大量の火山灰で都市機能が麻痺すると見られます。想定されている火山灰の量がとてつもなく多いのです。
こちらは気象庁が降灰予想を発表する際の区分です。0.1ミリ未満が少量、1ミリ未満がやや多量、1ミリ以上が多量です。1ミリ以上で道路が完全に覆われ、視界不良になり、外出を控えるよう求めます。
1ミリで多量という区分なのに、東京で10センチと予想されているのです。100倍です。極めて多量とでもいうべき量です。
しかも、頻繁に噴火している桜島でも、鹿児島市の市街地に降る灰は多い年で年間1センチ足らずなのです。半月で30センチや10センチ降るというのが、どれだけ多いかわかりますね。
想定される噴石や火山灰などの量は、およそ17億立方メートル。このうち4億あまりが住宅地や道路、田畑に積もると見られていますが、これは東日本大震災で生じた災害廃棄物のおよそ10倍です。
しかも、現代の大都市で、これほど大量に降ったことは世界でも例がないので、どれだけの影響が出るか、明確にはわからないのです。内閣府の試算では、被害総額はおよそ2兆5千億円とされていますが、もっと多くなると指摘されています。
<火山灰の特徴>
どうして火山灰で大きな被害が出るのでしょうか。
火山灰は木や紙を燃やした灰とはまったく違います。触ると少しざらざらしています。火山灰はマグマが噴火の爆発で粉々になったものです。ガラスの成分が含まれ、粒子がとがっています。しかも、水を含むとドロドロになって重くなり、乾くとカチカチに固まってしまいます。
<どんな影響があるの?>
このため、火山灰はさまざまな影響を及ぼします。
▼まずは航空機です。ジェットエンジンが火山灰を吸い込むと、エンジンが止まるおそれがあるため、周辺の空域は飛行できなくなります。偏西風の風下にある羽田空港や成田空港は閉鎖されます。
▼鉄道もわずかな降灰で運行できなくなります。0.5ミリ以上で運行システムや信号などに支障が出るおそれがあります。
▼3ミリ以上で停電する可能性があります。電柱にある「がいし(碍子)」と呼ばれる絶縁体に灰が積もり、雨に濡れるとショートしてしまうのです。また、火力発電所は、空気を取り込む装置のフィルターが詰まって発電能力が落ち、大規模に停電する可能性が指摘されています。
▼上水道も、浄水場に2ミリ以上積もると、供給に影響が出るおそれがあるほか、1センチ以上でろ過機能に影響する可能性があります。下水道は、流された灰で下水管が詰まると、あちこちであふれるおそれがあります。
<道路への影響は?>
・また、車は1ミリ以上で運転を控えるよう求められます。視界が悪いうえ、スリップしやすく危険です。
そして今、内閣府や専門家が特に懸念しているのが、この道路なのです。
火山灰の上で走行実験をしたところ、10センチ積もると、四輪駆動車でないと動けなくなってしまいました。雨が降ると、3センチ程度でも動けなくなる車が相次ぐと見られます。
そうなると、救急車やパトカーも通れなくなってしまうほか、復旧作業にも入れず、首都圏の外からの支援物資も運べません。「首都圏孤立」です。
こうした道路の灰を、どうやって取り除くかなどについて、内閣府や専門家が検討中で、今年度中にまとめる方針です。国は、深刻な課題と捉え、十分な対策を打ち出してほしいと思います。
<火山灰への備えは?>
では、家庭や個人は、どうすればいいでしょうか?
風向きとは垂直の方向に、灰が降らない地域まで逃げるのが一番ですが、その時間や手段がないかもしれません。
このため、健康被害への備えが必要です。ぜんそくなど、呼吸器系の疾患がある人は、症状が悪化するおそれがあります。また、目をこすったり、コンタクトレンズとの間に入ったりすると、角膜を傷つけるおそれがあり、ゴーグルやマスクが必要です。
私は、これまでの噴火取材で、ゴーグルは花粉症用、マスクは密着度が高い防塵マスクを着けました。上着は灰をはらい落としやすいように、つるつるとした素材にして、家や建物に灰を持ち込まないようにしました。
それに、食料や水の備蓄も大切です。コンビニどころか、避難所にも救援物資が十分に届かない事態もありえます。宝永噴火は16日間続きましたが、もっと長いかもしれません。1週間以上、水すら手に入らないことも考えられます。水は、1人1日3リットル必要とされますので、4人家族1週間分なら2リットル6本入りの箱、7ケースです。
<噴火は事前に予測できないの?>
元火山噴火予知連絡会会長で、内閣府のワーキンググループの委員でもある山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長は、「富士山が300年あまり噴火しないのは異例の長さだ。地震活動や地殻変動を注意深く観測しているが、異変に気づいてから数時間程度で噴火が始まることもあり得る」としています。
富士山の噴火も、現実的な災害として、備えておくべきです。今回は首都圏の火山灰被害についてお伝えしましたが、富士山に近い地域では、溶岩流や噴石など、より深刻な被害が想定されています。住民は、自治体が呼びかけている備えを確認してほしいと思います。
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