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2021年9月16日 11時46分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/131203/1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/131203/2
17日告示の自民党総裁選への出馬を表明している河野太郎行政改革担当相。長年、東京電力福島第一原発事故以前から核燃料サイクル政策を批判し、脱原発を主張してきたが、先日の出馬会見では、「安全が確認された原発を再稼働していくのが現実的だ」と、安倍・菅政権時代と変わらぬ原発温存路線を踏襲した。政権を取るために節を曲げ「脱・脱原発」したのか。それとも政権を取ったら…という秘めた考えがあるのか。(石井紀代美、荒井六貴)
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◆再稼働容認は条件付き
「考えが変わったということか。それとも持論を抑えているのか」。10日午後に開かれた河野太郎氏の出馬会見。冒頭あいさつ後の質疑応答で、最初に飛び出た質問は、これまで掲げてきた脱原発の姿勢を問うものだった。
それに対し、河野氏はこう答えた。「安全が確認された原発は、当面は再稼働していく。それが現実的なんだろうと思います」
この発言には前段がある。河野氏はまず、気候変動に対応するために政府が掲げる目標「2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)達成」に言及。実現には、石炭、石油、天然ガスを使った発電から脱却する必要があり、その代わりに再生可能エネルギーを最大限活用する一方、省エネも推進する。前出の再稼働容認は「それでも足りない」場合に、との意味合いだ。
とはいえ河野氏は、特に東京電力福島第一原発事故以降、脱原発の立場を鮮明にしてきただけに、条件付きながら再稼働を容認するのは「後退」ととれる。
◆「脱原発派か」問われ「1つの言葉でくくるのは...」
一方、総裁選向け政策パンフレットには原発関連の記述はなく、「産業界も安心できる現実的なエネルギー政策をすすめます」とあった。経団連は今年3月、エネルギー政策に関する提言書を発表。そこでは、原発を「脱炭素電源」とし、カーボンニュートラル実現のためにも積極的な活用が必要だと強調。現在の稼働年限、60年を超える運転や原発のリプレース・新増設まで主張している。
会見では、「新増設は現時点では現実的ではない」とはしながらも、「今現在、自分は脱原発派だと思いますか」との問いに「どういう定義で脱原発と言うのか、人によって違うと思いますから、何か1つの言葉でくくるのはやめておいた方が良い」とした。
◆市民団体に不満と期待
かつて、河野氏を講演会に招いたことがある脱原発系市民団体の関係者は、今回の河野氏の発言をどう受け止めているのか。
「脱原発の色が薄まった言葉遣いに不満はある」。福島事故があった11年12月、岐阜県垂井町での河野氏の講演を企画したNPO法人「泉京(せんと)・垂井」の神田浩史理事はこう語る。
定員700人の同町文化会館大ホールが満席だった講演を振り返り、「熱い口調で『脱原発は今すぐにでも』というような言い方。非自民派の聴衆に『自民にもこんな議員がいるんだ』と強い印象を残した。それと比べると、今の河野さんに物足りなさは感じる」。
12年4月には、原発城下町の福井県敦賀市でも熱弁を振るっていた。主催団体の事務局長だった山本雅彦さんは、河野氏が「福島の事故は奇跡の上に奇跡が重なって、あの被害にとどまった。そうでなければ、東京全体が壊滅していた」と言ったのを覚えている。
自分の考えと同じだっただけに、河野氏に対する山本さんの心境は今、複雑だ。「がっかりはしているが、自分個人の意見は述べないようにしているだけではないか。もし総理になれば、脱原発にぐーっと傾いていくのでは。そこに期待しないと、しょうがない」
◆初入閣後にトーンダウン
河野氏は、2004年、使用済み核燃料を再利用するための核燃料サイクルの総費用として、電気事業連合会が19兆円との試算を示した際にも、自民党の部会で再処理中止を求めるなど、福島原発事故以前から、日本の原発政策に批判的だったが、同事故以降はさらに旗幟きし)を鮮明にした。
事故直後のこちら特報部の取材に「一番危ない浜岡原発(静岡県)を止めて、安全確保をちゃんとやると示さないと。少なくとも新規立地をやめましょうということ」と語った。12年には、脱原発超党派議員連盟「原発ゼロの会(現在の原発ゼロ・再エネ100の会)」を発足させ、共同代表として活動していた。
しかし15年10月、第3次安倍政権の内閣改造で行革担当相として初入閣後、トーンダウン。同会も同時に「休会」した。入閣直後には、「核のゴミに目をつぶり、やみくもに再稼働するのは無責任」などと安倍政権の原発政策を批判してきたブログの公開を中止したことが話題になり、河野氏は「外に向かっては、政府の政策を擁護する」と表明。その後、安倍・菅政権で重要ポストを歴任した中でも、その姿勢を続けた。そこへ今回の発言だ。
◆近しい議員「ずっと同じ主張」「信念はある」
河野氏の真意を知りたいと、総裁選で河野氏を応援し、「自民党発!『原発のない国へ』宣言」(東京新聞)を出版した秋本真利衆院議員に尋ねたところ、総裁選への影響を考えたのか「取材対応は差し控えたい」との返答。ただ、秋本氏は自身のツイッターで「『脱原発封印』的な報道を目にするが、一度も『即時脱原発』と言ったのを聞いたことはありません。過去からずっと会見時に述べたことと同じ主張をしている」と述べ、徐々に原発をなくすという河野氏の立場に変わりはないと解説する。
原発ゼロの会事務局長の阿部知子衆院議員(立民)も「与党の制約はあるだろうが、長年一緒に活動してきて、河野氏に脱原発の信念はあると思っている。変節とは感じていない」と語る。同会共同代表の近藤昭一衆院議員(同)は「総裁選関連の発言を聞く限り、核燃料サイクルには反対しているようだ。(トーンが落ちたのは)1点突破ではいけないと思っているのだろう」と受け止める。
20年来、河野氏を取材してきた政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「ファンからすれば、発信力が魅力の『河野カラー』とは違う印象を受け、『日和ったね』と思われるかもしれない」と推測。だが、それは総裁選を勝ち抜く選挙戦術だとする。「立ち居振る舞いを現実的にして、党内の支持を得るため気遣いをしている」と分析する。
その上で「政策をよく見てみると、脱原発は放棄していない。首相になってからかじを切る」とみる。ただ、党内の反発が予想され、脱原発はたやすくない。「水面下で根回ししながら、脱原発に向かうと思うし、そう信じている」
◆識者「次世代につけ残してはいけない」
河野氏が脱・脱原発に転じたのかどうかにかかわらず、原発は国民的な問題だ。龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「原発は発電のコスト面でうまくいかず、根幹の核燃料サイクルも技術的、資金的に行き詰まっている。必ず破綻していく」と断言する。
経産省でさえ、30年時点の発電コストで原発は事故対策費などが膨らみ、太陽光の下限値を上回ると試算した。再処理工場は稼働が見通せず、使用済み核燃料は行き場を失う。
大島氏は「推進側は小型炉開発など、負ける戦争に資源をどんどんつぎこむ。どこかで、誰かが止めなければいけない」と指摘。その上でこう訴える。「総裁選の立候補者には、将来的に原発はなくなっていくという認識は持ってほしい。これ以上、次世代につけを残してはいけない。今の世代で決着をつけるべきだ」
◆デスクメモ もっと説明必要では
福島原発事故後、河野氏は最も突出した脱原発の旗頭だった。その当時からすれば、今回の「再稼働容認」はやはり驚きというほかない。あと少しで首相の座が見えてきた時の「選挙戦術」だとしても、やはりもっと説明が必要ではないか。事故から10年という節目だけになおさらだ。(歩)
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