カジノ反対派の横浜市大山中教授が正式に出馬表明 立民推薦<横浜市長選・会見詳報>(東京新聞) 2021年6月29日 21時01分 https://www.tokyo-np.co.jp/article/113564 https://www.tokyo-np.co.jp/article/113564/2 https://www.tokyo-np.co.jp/article/113564/3 8月の横浜市長選を巡り、横浜市立大医学部教授の山中竹春氏(48)が29日、市役所で記者会見を開き「データを活用し、市民に誠実な市政を行いたい」と正式に出馬を表明した。立憲民主党は同日、山中氏の推薦を決めた。 市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致については「いつの時点も、どの調査でも横浜市民の多くは誘致に反対している」「データに真摯に向き合えばカジノがだめだと分かる」と述べ、あらためて反対を明言した。 山中氏は国立がん研究センター生物統計部門部長などを経て、2014年から現職。最近は新型コロナウイルスの感染を防ぐ「中和抗体」に関する研究を進めている。 市長選は、自民党衆院議員の小此木八郎氏(56)がIR誘致の「取りやめ」を明言し、出馬を表明した。他にいずれも無所属で、市議の太田正孝氏(75)、動物愛護団体代表理事の藤村晃子氏(48)、元衆院議員の福田峰之氏(57)が立候補を表明しており、新たに水産仲卸会社社長の坪倉良和氏(70)も立候補を表明した。林文子市長(75)は出馬するかどうか明らかにしていない。 市長選は8月8日告示、22日投開票。(丸山耀平) 【関連記事】自民・小此木氏が出馬表明「最初の仕事はIR誘致取りやめ」 菅首相から「わかった」<横浜市長選・会見詳報> https://www.tokyo-np.co.jp/article/112767 ーーーーーーーーー 山中氏の会見内容は次の通り。
【冒頭発言】
◆データを活用し市民に誠実な市政を 現在の横浜は、カジノやコロナ、行政サービス、住民自治の軽視などに関して市民の不満が募っている。政治の責任。私は市立大学の教授として、これまで市役所の考え方、進め方を肌で感じてきた。データ分析、データ解釈の専門家。データを活用し、市民に誠実な市政を行いたい。 横浜は住みたい街、あこがれの街の上位にランキングされるが、在住者がずっと住みたいか、外から積極的に移住したいか、企業から選ばれるかを考えた時、市のポテンシャルが十分に生かされているとは思えない。課題に対して真正面から向き合い、根拠に基づいた市政を行う。この繰り返しにより、もっともっと魅力ある街にしたい。 ◆カジノ誘致は断固反対、即時撤回 カジノの誘致には断固反対、即時撤回と考える。いつのどの調査でも市民の多くがカジノ誘致に反対している。コロナ禍で経済が疲弊し、人々が不安に陥り、行政サービス上の問題もさまざまある中、なぜ今カジノか。 カジノにはさまざまな問題がある。依存症が増えることはデータから明らか。風紀や治安も乱れる。教育環境も悪くなる。いずれもデータで示される。政府や市は観光立国というが、カジノは世界的に飽和状態で過当競争。カジノ目当てで横浜に人が来るとは考えられない。 (カジノができれば)周辺地域の経済の吸い上げが必ず起きる。データを見れば当然わかる。データと医学の専門家として、依存症が増えるのは許せないし、経済的に莫大な負担を背負うことも許容できない。市民団体がわずか2カ月で19万3193筆もの署名を集めて住民投票を求めたが、思いは現職市長と与党市議団に否定された。民主主義の破壊だ。 今回の市長選は、候補者がカジノ誘致をどう考えるか、当選後にどんな行動を取りうるか、を見極めることが一つのポイント。公約でカジノ中止をうたいながら当選後に翻意する可能性のある候補者を選ぶほど不幸なことはない。私はカジノに断固反対、即時撤回の立場。永久に変わらない。 ◆医療知識と人脈でコロナ制圧を コロナの制圧に直ちに取り組む。政令市の中でも低いワクチン接種率、増大する不安の解決には、医療に詳しい人間が必要。さまざまな手段で接種の超加速化を図りたい。市民の不安解消には、情報開示を早く、正確に、何よりもわかりやすく伝えたい。現職市長が行っていない、市長自らの口でコロナについてわかりやすく伝える。コロナ禍で疲弊している事業者や家庭に強力な経済支援を届けたい。自分自身が築いた医療ネットワークを結集し、リーダーシップを発揮したい。 待機保留児童、中学校給食、高齢者福祉、デジタル化の遅れなど、問題は山積している。データや定義を変えて解決したように伝えるのは不誠実。事実とデータに向き合い、選ばれる横浜を目指す。今の横浜には住民自治がない。今回の市長選は、市民に寄り添い市民の声を聞き反映させられる市政か、国や政党にしがらみがあり住民自治を行わない市政か、の選択だ。 【一問一答】
記者 無所属での立候補か。 山中氏 はい。 記者 推薦や支持を得た、または今後要請する政党や団体は。 青柳陽一郎・立民県連幹事長 本日、立民の推薦が決定。このほか想定されるのは国民民主、社民、神奈川ネット、共産。市民の会、ハーバーリゾート協会、港湾関係、横浜未来構想会議、労組、連合かながわ横浜地域連合などにも広く支援を呼びかけたい。 記者 IR誘致に反対の立場で、山下埠頭をどう使うべきだと考えるか。 山中氏 山下埠頭という横浜市にとって大変重要な場所に、市民不在で話が進んでいることが一番の問題。再整備の方向性については、市民や関係団体が納得できる整備計画を一緒に作りたい。 ◆小此木氏との違いは 記者 小此木・前国家公安委員長はIRを「横浜ではとりやめる」と語った。受け止めや立場の違いを。 山中氏 小此木八郎さんはカジノ管理委員長であり、現在カジノを強力に進めている政府の元閣僚であり、県連の元会長。そのような方がカジノに対してどのような思いを持っているかは一目瞭然。この選挙のためにカジノ反対と言っているが、これまでの経緯や所属党の考えを総合的に勘案すると、言わずもがなだ。 記者 市大教授の辞表を出したのはいつか。大学には受理されたか。 山中氏 6月24日に退職届を横浜市大の事務に提出した。6月30日付けで退職の予定。 記者 ワクチン接種率の低さについて。予約の混乱はなぜ起きたか。どうすれば今後スムーズに進むか。 山中氏 地域ごとの医療機関の数や接種率などのデータに基づき、弾力的に集団接種が可能な会場を設けていく、あるいは横浜市民の多様なライフスタイルに合わせ、24時間体制を整備するなど。関係者と調整が必要だが、たくさん私にはアイデアがある。 記者 IRの住民投票運動を主導した団体には、運動に携わっていないことをどう説明したか。 山中氏 私自身は半公務員という立場で、署名運動には参加できなかった。市が推進しているものであり、その市が運営する大学職員として私の中でも葛藤があった。そういう思いを市民団体に伝え、今回絶対阻止のため退路を断ち、市民団体の皆様とともに戦いたいと伝えた。 ◆イソジンの質問に「研究チームに入っていない」 記者 イソジンのうがい薬の吉村知事のフリップに「解析」と名前が出て、お墨付きを与えた印象もあるが。 山中氏 私は、あの研究の研究チームには入っていない。データを提供したこともないし、結果の解釈にも一切関わっていない。
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