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中東諸国を中心に、和平交渉や条約締結が行われた事例は、2000年代前後ですら200以上に及ぶ。
その実に8割以上が、国家と非国家集団(或いは非政府組織)との間で結ばれている。当然ながら、和平交渉そのものが実現出来なかった事例もまた数多い。
国際アナリストのBenedetta Bertiは、国家が為し得なかった平和と安定に対して、非政府組織が果たしてきた武力以外に民衆の生活を保証する手法が、そもそも非政府組織の台頭を許してきたと指摘している。
時の政権が民衆の生活の安定を政争の具にしている隙に、困ったことがあったら我々に任せろと言わんばかりに、国際企業を立ち上げ、インフラを整備し、商売人には金を貸して治安維持を図ってきた。
散々、欧米諸国や国家権力、或いは宗派間の争いで疲労困憊している民衆にとって、治安を維持し生活の安定を保証してくれるなら、非政府組織であろうと何であろうと、何だっていいから頼りたくなるのは人情である。
そこで、爆撃が行われたり戦闘員を制圧する中で、民間人に被害が及べば、それがそのまま遺恨となりますます悪循環が繰り返される。
特に非政府組織の中でも、政権打倒を目指し手段を問わないテロ行為を繰り返す組織の多くは民衆の不満を増長する形で自分たちの影響力を維持しようとしてきた。
これら反政府勢力の動きは、多くは原理主義に傾倒してしまう。
極端に走るのだ。数世代にわたる恨みの想念が、積み重ねられたものとなって後世に受け継がれてしまう。
それらの人々と、国家という自分たちの本意ではない形で引かれた線引きに対する戦いなのだ。
ややこしいのは、これら反政府勢力が同じ地域で、それぞれの主張にしたがって複雑に絡み合っているという点だろう。
そこに欧米諸国が後押しをするものだから、どうにもならない怪異を作り出している。
これは一つの見方でしかないが、その複雑さに介入することの難しさも表しているに違いない。
中東に介入し続けてきたアメリカは、そんな背景などとっくの昔に分かっているのだが、アメリカの国際社会における発言力を維持するために、否応なくその立ち位置を変えていない。
ウクライナ問題を経て、現在、中東問題に食指を伸ばしてきたロシアとの力関係もあるだろう。
中国も先進国の仲間入りのために、折に触れて口を挟もうとしてはいるのだが、殆ど相手にされていない。これは地政学的にも無理があるし、中国自身が国内における少数民族への弾圧を行ったり、南シナ海での国際社会の常識を無視したやりたい放題を他国が容認してはいないのだから、他人に認められるにはまず、自らが範を示すという人として国家として当たり前の態度に出なければいけない。
もっと言うなら、今後心配されるのは、中ロ関係だろう。
強いロシアの復興を掲げるプーチンは、新たな欧米への海路を切り開こうとする習近平を許すだろうか?
今は、何となくっついているように見えるロシアと中国だが、外交面でプーチンほどのしたたかさを習近平が持っているとは言いがたい。
有体に言うなら、ロシアは中国のカネはあてにするが、それ以上のことは軽くあしらって終わるに違いない。
寧ろ、新たな国境線を引こうとする中国は、現在の中東問題と同じ発火点にあるということだ。
東南アジアの中国に対する反発は、予想を超えている。
仮に、南沙諸島の略奪が成功し、軍事行動で周辺諸国を制圧でもしようなら、周辺国から中国を批判する非政府組織の温床を生み出す結果となるだろう。
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