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安保法案の参院特別委員会が野党の強硬策により、１７日未明の時点で一向に始まる気配が無い。
毎度お決まりの野党の遅延戦略は見ていてもアホらしい限りなのだ。
以前も書いたが、国会前のデモ集団にしてもテレビのインタビューで答えている人たちにしても、安保法案の中身をまともに読んでいる人などいない。メディアのセンセーショナルな戦争法案だとか、徴兵制復活か？と言ったデマ情報に踊らされているだけである。
デモ集団の前で必死になってこれら間違った情報を訴える野党議員も如何なものか。仮にも国会議員であるなら、議会で訴えるべきであろうが、メディア戦略で目立つことを目的としているために、発する言葉もおよそ国会議員とは言えないような発言が目立つ。
閑話休題。８０年代のポストモダニズム思想を源泉とする主張が日本で流行った。中沢、浅田らがそれにあたる。その流行りすたりはジェンダーだとかセクシュアリティ研究だとかの経緯を経つつ、社会構成主義や社会構築主義になり、あたかも政治的背景に見るなら社会党による社民党への変遷と似ている。ただし、これらの研究者は東日本大震災を経験していなかったために、２０１１年以降、日本の思想界は混乱を来すことになる。現在の日本は思想的回帰の段階に見える。国民国家主義だとか何だとか言っても、その無力さ無意味さに気づかされたのが、結局は自然災害だったということに矛盾を感じているのだろう。
地球は数十億年前から同じことを繰り返してきただけなのだが、頭でっかちになった人類は自分たちの生きる意味の研究に困惑するだけだ。
その果てに、自分たちの未来に対する言葉にならない不安が増幅して、国会前のデモに帰結している。これらに乗じているのがＳＥＡＬＤＳ等の若者を扇動する連中であったり、議席を確保したい野党であったり、陰謀論で飯を食いたい連中だったりする。別に１００年後の日本がどうなっていようと、連中には全く関心が無い。９０年代の思想に取り残されたかのような国民国家論を振りかざしても、彼らは中東シリア、イラクのテロ問題やＥＵへの移民問題への説明は困難だろう。中国の海洋進出にどのような理屈をつけても、「お前のものはオレのもの」というジャイアン的発想以上のものではないのと同じで、反対のための反対である安保法案に対する抗議活動は、せんじ詰めれば「自分だけは助かりたい」という矮小な思想だけではないだろうか。
クルーグマンはその点を「嘘つき大統領」という言葉で、痛烈に批判している。マクロ的な思想と視点が欠落しているから、黒字財政のアメリカをどん底に落としたと言っているのだ。「テキサスの田舎者」という言葉もある。これはクルーグマンが民主党寄りというだけの意味合いではないだろう。
資本主義ＶＳ共産主義は終わりを告げ、資本主義ＶＳ民主主義の時代に入った現在、トーマス・ピケッティの『２１世紀の資本（論）』が「資本を握る者が資産を増やし続ける人類の歴史」をデータで結論付けたことの意味は大きい。それを２００年間体現しているのが、アメリカの二大政党制なのだ。共和党の「自由」とは、資本家の側の言い分で、それに異論を唱えているのが民主党の「平等」である。「経済的な優位が国家全体の繁栄に繋がるのだから、結果として国民は豊かになる」のか「国民の経済的平等を国家が担保するから国家の安寧が図られる」のかは今もって結論は出ていない。
時代に取り残された共産主義では最早限界であることを悟った鄧小平が中国の改革開放を訴えて以後、現在の中国は迷走状態から抜け出ていない。資本主義を受け入れたがために、中国国内は「民」が中心である筈の共産主義に翻弄され、格差と不平等と軋轢と弾圧を繰り返しているだけである。つまり爆発寸前の火薬庫状態なのだ。
鄧小平に影響を与えたのは、レーガノミクスの背景にある新自由主義ではないだろうか。父ブッシュはブードゥー政策と揶揄したが、少なくともレーガノミクス（新自由主義）は経済のグローバル化を一気に前進させたことで、歴史に名を遺すことになった。つまり、鄧小平は早くから共産主義の限界を知っていたのだろう。今の習近平の体たらくを見て嘆息を漏らす鄧小平の姿が見える。
これらの背景には、常に民の不安感が付随してきた。それを図らずも利用してきたのが、体制批判を繰り返すラディカリズムな保守／革新の対立だと分析する研究者もいる。
こう見てくると、陰謀論だとか何だとかまことしやかな虚言を吐くバカ共の思想的背景もよく分かる。
好意的に見るなら庶民の不安感の表象だろうが、普通に解釈すれば抽象論でケムに巻く宗教団体の教祖のやり口と同じで、絶対的に答えの出ない予言で民衆の財布から小銭をせしめることを目的としているだけの、クズということである。
だから、「人工衛星の軌道上に太陽光発電の巨大パネルを要する気象兵器で台風を起こし、茨城と福島に豪雨を起こしたヤツがいる」という荒唐無稽どころか、幼稚園児的発想の発言で信者に夢を持たせる発言が生まれるのだ。
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